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映画「春画先生」主演の内野聖陽が向き合う、芝居と性愛

映画「春画先生」主演の内野聖陽が向き合う、芝居と性愛

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俳優・内野聖陽が向き合う、芝居と性愛。

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映画『春画先生』で主演を務める内野が、作品にかける思いに迫った。

格調高いようで、実はただのエロい本音だったりする

― 作品を拝見して、春画というものの見方がすごく変わりました。内野さんは完成した作品をご覧になって、どういうふうに感じましたか?

果たして観ている方がいろんな想像を喚起されるようなお芝居になっていたかどうか。出演した作品というのは、どうしても冷静に観れなくて。逆に聞きたいぐらいですね。

― 俳優さんにインタビューさせていただくと、初号試写で自分のお芝居を観るのが嫌だという方が多いです。

狙っていたことがきちんとできているのか気になるんです。今回は自分でも笑いそうになったところもありましたけど、ハリウッド系のコメディ映画とは全く毛色の違うコメディなので、皆さんに受け入れていただけるかなという不安はあります。

― お芝居の温度感の調整がすごく難しそうですよね。ちゃんとコメディなんだけど、リアルに存在しているような温度感があり、その世界観にすごく引き込まれました。

かなり抑制を求められた演技でした。彼(内野さん演じる“春画先生”こと芳賀一郎)の本音というのは別にあるわけじゃない?

― 芳賀先生は腹黒なのでしょうか。

腹黒なのかもしれないし、(北香那さん演じる春野)弓子との出会いを純粋に楽しんでいるところもある。そういう、彼の心の中で起こっているワクワク感みたいなものをなるべく表面に出さないような表現を求められました。

― 塩田明彦監督から、わかりやすさを抑えてと?

抑えてというか、そぎ落としてくれと。セリフの抑揚だったり、感情の振れ幅だったりをそぎ落として、どちらかというとぶっきらぼうなしゃべり方をしてくれとはいつも言われていました。だからなにを考えているのかわからない。でもちょっとチャーミングで魅力的ではある。

― 芳賀先生の行動は、天然なのか、計算なのか見えてきませんでした。

そこが塩田さんの狙いだったんじゃないかな。

― 蛍のシーンも象徴的ですよね。

そうそう。いきなり弓子の手を握って、どこかへ連れて行くのかと思いきや「蛍」を見せる…というね。

― 北さんもあのシーンは芳賀先生のずるさが出ているとおっしゃっていました。

だって電気消すんですよ、仕事してるのに、突然!

― 弓子も覚悟したのに、みたいな。

ああいうのっておもしろいですよね。お客さんをはぐらかすような。すっとぼけた、人を食ったような表現という意味では、塩田さんからはルイス・ブニュエルの『自由の幻想』を観ておいてと言われました。

― 塩田監督ならではの演出ですね。

そうですね。わかりやすく提示しないし、全体的に格調高い文学的な匂いがするじゃない? それも、塩田さんの狙いなんですよ。格調高いものを観ているようで、実はただの男のエロい本音だったりする(笑)。

― 2度観ると違った映画に観えてきそうです。最初のシーンからは、最後ああいうふうに着地するとは想像だにできなかったので。

たしかに最後のびっくりするような展開の伏線が、なにげなく表現されているかもしれないですね。

作品の大事な部分を掴めないと怖くて演技できない

― 役に向かう際には、いつもどういった準備をしていますか?

その役にはなにが必要とされるのかというところが、とっかかりとしてありますよね。今回だったら本音が見えないけれど、すごくなにかに飢えて、渇望している部分を掴むことが最初。その根っこを自分でイメージして把握してからセリフを口にしてみたり、動いてみたり。僕の場合はね。

ー まずはイメージを膨らませる。

自分が狙いたいところはこっちじゃないなとかぐるぐる考えて、それを現場で監督とすり合わせて、あるいは共演者と交わる中で、こうしたほうがいいかもとか気づいていく。でもそれは作品によってまちまちで、決まった方法論は持ってないので。その作品の世界観の大事な部分を掴んでからじゃないと怖くて演技できないです。

― 怖さがあるんですね。

だから毎回、書斎にいる時間が長い。

― イメージするというところに時間を割いているから。

自分なりのイメージを掴んでからじゃないとセリフが入ってこないんですよ。だからセリフをしゃべるのは一番最後で、ひたすら裏を探っています。今回の台本も久しぶりに見返すと、芳賀先生の本音、実はセリフの裏ではこういうふうに思っているんじゃないかということがメモ書きで結構書いてあって。実はエッチなことをストレートに考えていたり、とか。

― 見てみたいです。

見せませんけどね(笑)。

― セリフを実際に入れる段階までは、孤独で不安で大変な時間なんでしょうね。

そう。でもその時間がないと現場でセッションできない。自分なりのイメージを持って監督や共演者とセッションしたときに、根底から覆ることもある。『春画先生』も僕は最初、芳賀先生が自分にとって理想的な若い女性に出会って、自分の思い通りに育んでいくようなお話なのかなと思ってて。でも塩田監督はそうじゃないんだと。たとえば次々に現れる現実の要素をうまく使いながら人を欺いていく詐欺師のように、瞬間瞬間に起こったことにドキドキしながらも楽しんで進んでいく。そんな作り方でいきたいというようなことを言われて。

― ゴールはちゃんとあるけれども。

あるけれども、そこへの持っていき方はすべて偶発的に、ハプニングとして起こっているように見せていきたいとおっしゃられていて、なるほどと。そのほうがお客さんも乗っかれるじゃないですか。

― たしかに。純粋に耽美なだけの作品じゃなくて、観ている側もまんまと振り回されたというか。

そうそう。まんまと振り回される。

ひとつの役を演じるのって時間がかかるんです

― ちょっとエッチな芳賀先生ですけど、内野さんとなにか通ずる部分はありましたか?

女性に対して器用なほうではないところ……違うか(笑)。物事に一生懸命になっちゃうと人とのコミュニケーションがいびつになるところでしょうか。

― 芳賀先生は間違いなく突き詰め型ですね。

突き詰めていると、いつの間にか人との距離感や会話がずれていく。似ているとまでは言わないけど、僕も夢中になるとズレちゃうことってありますよ。そういうところは、相手は大変だけど、はた目からはおもしろいのかもしれませんね。

― 今回の作品においては、そんないびつなコミュニケーションもキャラクターたちの愛嬌につながってるような気がしました。

そうですね。塩田さんが魅力的に料理してくださいました。

― いびつなコミュニケーションといえば、弓子と(柄本佑さん演じる)辻村の3人のトリオが最高でした。

いびつだよね。だって辻村は編集者なのに弟子っぽい扱いになっていて、弓子とも特別な関係性をつくっていく。

― 裏ではめちゃくちゃなんですけど、表では普通に見える。お二人はどんな俳優さんでしたか?

北さん、とても魅力的でしたね。役と同じで、本当に監督が見初めた、育てがいのある女性のような。弓子が直情的に怒ってくる表情などから、たくさんインスピレーションをいただきました。佑くんも飄々とやってるけど、すごく天才的に直感で捉えているところと、計画的に計算しているところが両方ある人なんだなって改めて思いました。

― 内野さんが考える、良い役者や良いお芝居の条件ってありますか?

僕たちの生きている世界は、虚構の中でいかに存在するかじゃないですか。その虚構というフィクションの中に、なんのストレスもなく連れていってくれる人というのが、自分にとって良い俳優さんかな。あえて言葉にすれば。

― そのためにも最初にイメージをしっかり掴むというところが大事になるのでしょうか?

なのかな。自分が良い俳優さんだとあんまり思ってないので。

― 間違いなく良い俳優さんですよ(笑)。

いやいや、マジで自信がない(笑)。

― では、良い俳優になるために大切にしていることはありますか?

まずは、本当に実感を持って、心の底から出た言葉としてセリフを言えるか。「こんなセリフよく吐けるね」「なにこの人」という違和感から始まって、どうしたらこういうセリフが言えるのかを掘っていく。だからセリフが言えるようになるまでにめちゃくちゃ時間がかかるんですよ。あるいは衣装のリアリティへのこだわりなど、自分の中で「このキャラはこうじゃないでしょう」という違和感を抱かないということは大事にしているかもしれません。

― 聞けば聞くほどセ、リフを発するまでの準備がいかに大事か伝わってきます。

そうなんですよね。だから、ひとつの役を演じるのって時間がかかるんですよ、本当に。

― 『春画先生』は性愛をテーマしたR15+指定の映画ですが、これから大人になっていく子供たちに対して、性愛とこれからどうやって向き合っていけば良いかアドバイスをいただけませんか?

アドバイスなんてないですよ。だって人生は自分で転びながら学んでいくものじゃないですか。

― 内野さんも転びましたか?

そうそう(笑)。でもセックスというのは、やっぱり神秘的なものですよね。すばらしいときもあり、犯罪に利用されることもあり、すべての中心点にセックスがあると言っても過言ではないくらい深いテーマだからね。子供たちには性愛の諸相は多種多様だから自分で認識を深めていくしかないとしか言いようがないですけどね。

― たしかにそうですね。

僕自身も性愛というものが、わかったような気持ちにはなっていないし、でもとても大事なものだというのは確実にあって。特に春画が持っているメッセージというのは僕も初めて知ったけれど、生きとし生けるものへの讃歌のような部分があるよね。性愛は、あまり忌み嫌うものばかりでもない。前向きで開放的で寛容な世界観で、人を幸せにするものだから、まずは浸ってみてはくれまいかという感じです。

― 彼らの変態性もひとつの性愛の局面として。

ひとつの局面として。エッチというのも変態の頭文字でしょ。

― そうなんですか。

そうですよ。Hですから。僕は今回のお仕事に携わって、変態良いじゃないですかってとっても思うようになりました(笑)。

Profile _ 内野聖陽(うちの・せいよう)
1968年9月16日生まれ、神奈川県出身。『(ハル)』(96)で、日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞。演技派俳優として映画やドラマ、舞台と幅広く活躍。主な出演作には、テレビドラマでは、大河ドラマ「風林火山」(07)、「真田丸」(16)、「臨場」(09/EX)、「JIN-仁-」(09/TBS)、「とんび」(13/TBS)、「きのう何食べた?」(19/TX)がある。映画では、『十三人の刺客』(10)、『臨場 劇場版』(12)、『家路』(14)、『罪の余白』(15)、『海難1890』(15)、『初恋』(19)、『ホムンクルス』(21)、『劇場版 きのう何食べた?』(21)などがある。北香那とは『罪の余白』(15)以来の二度目の共演となる。

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