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ショッピングセンターの店舗面積が過去最大に圧縮、オムニチャネル化の影響拡大

■アメリカ人の買い物の仕方が変化していることで小売業の店舗サイズも縮小している。

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ショッピングセンターの店舗面積が過去最大に圧縮、オムニチャネル化の影響拡大

■アメリカ人の買い物の仕方が変化していることで小売業の店舗サイズも縮小している。

在米28年のアメリカン流通コンサルタント
激しくウォルマートなアメリカ小売業ブログ

商業用不動産市場を調査するコスター・グループ(CoStar Group)によると小売業者は今年9ヶ月間、ショッピングセンターなどで平均3,200平方フィート(約90坪)でリース契約した。

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コスター・グループが2006年からデータ集計を始めて最小のリースサイズとなっている。同社では「現在のショッピングモールは10 年前とは大きく異なっています」とし「体験に重点を置き、飲食にフォーカスしています」と指摘。

全ての小売リース契約のほぼ5分の1を飲食店が占めており、そのほとんどが5,000平方フィート(140坪)以下のスペースとなっているのだ。

米国の消費者動向を鏡にもなるチェーンストア最大手のウォルマートでは店舗数を削減していることで5年間連続して店舗が縮小する。

ウォルマートの10月31日時点での業態別の国内店舗数では5,000坪を誇るスーパーセンターは3,548店舗、ネイバーフッドマーケットは680店舗、ディスカウントストアは356店舗、小型フォーマットは22店舗となっている。

2024年度の期首となる1月31日時点から各店舗数を比べてみるとスーパーセンターは3,572店舗だったことで、24店舗も減少している。

ネイバーフッドマーケットは682店舗だったことで2店舗の減少、ディスカウントストアは364店舗だったことで8店舗も減少だ。

小型フォーマットは1月末時点で90店舗あったが現在は22店舗で68店舗のマイナスなのだ。さらにいえば当時はコンビニエンスストアが8店舗とピックアップが1ヶ所あった。

つまりこれらを含めれば全体で111店舗も減少したことになる。ウォルマートは4年連続して店舗数が削減されていることで5年連続の減少は確実となる。その一方で既存店舗売上高は年々、増加している。

競合のターゲットは年々、店舗数を増加し今年9ヶ月間で8店舗増えて1956店だ。しかしその多くが「フレキシブル・フォーマット(flexible format)」と呼ばれている1,400坪以下の小型店になる。

小型店を増やしているターゲットでは直近の決算で2期連続して既存店ベースが前年を下回った。

家電最大手チェーンのベストバイは2019年から店舗スクラップを行っており2019年1月通期の997店から翌年には977店へ、さらに956店から938店、925店へと毎年20店舗前後で減らしている。

今年の9ヶ月間でベストバイではすでに24店舗を閉鎖し今後も年に15~20店舗を閉鎖する予定という。

老舗デパートメントストアのメーシーズでは2020年2月から80店舗も閉鎖している。

165年の歴史をもつメーシーズは現在、不動産投資グループから買収提案を受けている。

メーシーズ本体より傘下のブルーミングデールズや2015年に買収したビューティチェーンのブルーマーキュリーに投資家グループは興味があるようだ。

つまりメーシーズが買収されても本体デパートメントストアの店舗数の減少に歯止めがかかることはない。むしろ店舗スクラップが加速されるとの観測になっているのだ。

ちなみにメーシーズは店舗数を減少しながらも小型店展開は積極的だ。本体の5分の1のサイズとなるマーケット・バイ・メーシーズは2020年2月から12ヶ所も新規出店しており、2025年までには30店舗を追加される計画だ。

高級デパートメントストアのノードストロームも店舗の減少が止まらない。ノードストローム・ラックを含めた店舗数は2019年に390店舗あった。

それが2023年9月27日現在までに356店舗と縮小している。

ノードストロームといえばサンフランシスコ・ダウンタウンにあったフラッグシップのデパートメントストアが閉鎖され、隣にあったノードストローム・ラックも撤退した。

8月末までウエストフィールドサンフランシスコ・センター内で4階~7階を占めていたノードストロームがもうないことは一つの象徴でもある。

 小売チェーン等の空室率は記録的な低水準にまで押し上げられていることでモールの空室率は高止まりだ。全米大都市に展開するショッピングセンターをモニターしている不動産調査会社レイス社によると、昨年の第4四半期(10月~12月期)のモール空室率は前期から0.1ポイント上昇し11.2%となった。

これ以降のデータは明らかにされていないが、倒産したベッドバス&ビヨンドなど大手チェーンストア等の撤退もありモール空室率が改善したことは考えられない。

 店舗リースが縮小していることは定着するECに加えて拡大するオムニチャネル化の影響が大きい。

Z世代やミレニアムはアプリを介して買い物し、高齢化するベビーブーム世代は広い売り場を歩き回ることはしない。

その一方で外食したりドライブスルーで注文したり、フードデリバリーアプリの利用等で、レストランやコーヒーショップなどの小規模リースは活況を呈している。

 買い物の仕方の変化が店舗数以外にも店舗サイズに大きなインパクトを与えているのだ。

トップ画像:老舗デパートメントストアのメーシーズでは2020年2月から80店舗も閉鎖している。165年の歴史をもつメーシーズは現在、不動産投資グループから買収提案を受けている。メーシーズ本体より傘下のブルーミングデールズや2015年に買収したビューティチェーンのブルーマーキュリーに投資家グループは興味があるようだ。つまりメーシーズが買収されても本体デパートメントストアの店舗数の減少に歯止めがかかることはない。

⇒こんにちは!アメリカン流通コンサルタントの後藤文俊です。アメリカの大手チェーンストアの多くが店舗数を減少させています。このトレンドが明らかになって久しいです。日本の流通ビジネスマンにとってはビッグニュースにも関わらず、日本の流通メディアはこれを大きく報じていません。なぜならばチェーンストア理論を提唱してきたメディアにとってはあってはならないことだからです。チェーンストアの原理・原則としたものが、奇しくもチェーンストア理論で成長してきたウォルマートによって否定されたのです。自己否定の重要性を強調する人でさえ実際には自己否定なんて絶対にできないものです。しかしウォルマートの5年連続の店舗数減少は受け入れなければならないこと。同時にアメリカより5年~10年遅れている日本の小売業でも同じことが起きます。カスタマーファーストを考えればすぐに理解できます。消費者にとって「買い物=お店(売り場)」ではありません。テレビにリモコンがあるように売り場にもリモコンが必要です。それがアプリなんですね。今はポッケ内に売り場です。

 ポケットに入る売り場をモバイルアプリで構築しながら4億以上の商品を提供するのがウォルマート。チェーンストア理論で成長したウォルマートはチェーンストアを全否定しながらも成長しています。

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