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古川琴音 「想像もつかないから、想像し続ける」

古川琴音 「想像もつかないから、想像し続ける」

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主演作の公開や注目作品への出演が続く俳優・古川琴音。最新の主演映画『雨降って、ジ・エンド。』では、フォトグラファー志望の日和を演じる。撮影は約5年前だったという本作について、そしてそれからキャリアを重ねた自身の変化について話を訊いた。

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なにが嫌なのかも大事な感覚

― QUIでは2020年に映画『街の上で』の取材をさせていただいたんですが、本作『雨降って、ジ・エンド。』も撮影はかなり前だったそうですね。

デビューしたてのときだったので、2019年の撮影でした。

― 5年近く経ちますが、2024年の映画だといわれても違和感がないテーマ性のある作品でした。自分らしく生きること、他人を認めることがいかに難しいのか。人間の哀しさや愛しさを改めて感じさせられました。

ありがとうございます。

― 本作の公開は2月ですが、1月には古川さんの主演映画『みなに幸あれ』が公開されます。2か月連続で主演映画が公開されるのってどんな気持ちですか?

そういうことになるんですね。仕事を始めたころの自分はそんなことを想像もしてなかったと思うので、なにか言ってあげたいなとは思います。

― 不思議な感覚ですよね。仕事を始めたころの自分の主演作と、今の自分の主演作がほぼ同時に公開になるなんて。

仕事を始めて6年目なんですけど、その間にいろいろと変化もあるのでちょっと気恥ずかしくもあります。

― 両作品を同時期に拝見させていただいたので、『雨降って、ジ・エンド。』で古川さんが演じた日和はより若々しく、等身大な印象を受けました。

日和という役は、(廣末哲万さん演じる)雨森さんと出会うまでは曖昧な印象があったんですよね。なぜカメラを続けていくのか、今後どうなっていきたいのか、SNSでバズるのは自分が望んでいたことなのか、日和自身はよくわかっていなくて。その曖昧さが当時の自分にリンクする部分もあったんです。

私も仕事を始めたきっかけは、それまで部活で演劇をやってきて、お芝居で褒めてもらえることが多かったからってだけなんですよね。だからいざ仕事を始めても、その後のことを想像できていない曖昧な心境で。それが日和にぴったり重なっていたので、その共感する気持ちをフックに役を演じました。

― だからすごく自然体なお芝居だと感じたのかもしれません。日和が職場の先輩とふざけ合うシーンなんかも自然で、観ているこちらも楽しい気持ちになりました。

ちゃんと台本はあるんですけど、現場の空気で作っていくことがたくさんあって。とくに雨森さんとの掛け合いは、2人でおもしろがってやっていたことがそのまま映っているシーンもあります。

― 今回の劇場公開にあたって、改めて作品をご覧になりましたか?

はい。また観てみました。

― 数年経って、感想に変化は?

演じているときは日和目線になっていたから、(雨森の抱える秘密を)もっと個人的なライトなものに感じちゃっていたんですよね。私と雨森さんの関係をこれからどうしていこうか、私は雨森さんになにができるだろうかということがベースになっていたので。

今回、いちお客さん目線で作品を観返したときに、やっぱり私は雨森さんのことはわからないなと確信しました。もし自分の友達や仲間が雨森さんのような苦しみを抱えて助けを求めてきたら、私も日和みたいにどうにかしてあげたいってもがくだろうなとは思うんです。でも、自分の好きなものが世間的に受け入れられない、自分が純粋な気持ちを持つだけで人を傷つけかねない人生ってどういうものなんだろうって考えると、もう想像もつかないんですよね。

だからこそ、想像し続けるしかないんだなって改めて思いました。たぶんお客さんもこの映画に出会ってからずっと考えることになるんじゃないかな。

― 日和がとった行動自体も危うさがあって、果たして正しかったのかとすごく考えさせられました。結局は人それぞれが考えて行動するしかなくて、答えはないんでしょうね。古川さんは人生を豊かにしていくために大切にしていることはありますか?

最近は、自分が本当はなにを感じているのかが大事だなと思っていて。たとえば自分が悩んでいることを検索すれば人の答えが出てきたり、SNSを開くと幸せそうな人がたくさん出てきたり。そういう「生き方のモデル」はたくさんあります。でも、それを見ているうちに、自分が本当はなにを感じているのかだんだんわからなくなってくる感覚があるんです。

だから自分がなにを好きなのかというのも大事だし、それと同じぐらいなにが嫌なのかというのも大事な感覚なんじゃないかなと思うんですよね。

― 嫌だと思うことに対してどう向き合うべきでしょう?

『雨降って、ジ・エンド。』でも、日和は雨森さんとの出会いでどんどん自分の気持ちがわかってくるんです。嫌だという反発のほうが、かえって自分の形が浮かび上がってくることもあるのかなと思ったんですよね。

なんで嫌なのかなって突き詰めていくと、自分の芯の部分にたどり着くかもしれない。「好き」だと広がっていって、「嫌だ」だと中に詰まっていくような気がするので。

向上心が、すべての役作りの原動力

― 撮影時から約5年が経っているということでしたが、ご自身の変化をどのように感じられていますか?

あんまり変化を感じてないというのが本音です。基本的に毎回、自分がどうやったら楽しくお芝居できるかなということを大切にしています。

ただ、大きな規模感の作品に出演することも増えていて、そういった作品は撮っている最中というよりも、撮り終わって宣伝するタイミングで規模の大きさに改めて驚くことが多くなってきました。

― 以前は将来について、「役者としても、人としても勤勉でありたい」とおっしゃっていました。

向上心というのがすべての役作りの原動力だと思うのでそこは変わらずにより好奇心旺盛でいたいなと思っています。でも今は、昔ほど明確なビジョンを持たなくなったんですよね。

作品って偶然みたいな出会いだと思うので、そのいただいたものに対してどれだけのめり込めるかということを考えるようになっていったら、もう今のことしか考えられなくて。最近はあまり将来のことを考えなくなりました。

― それは現状に、すごくやりがいを感じられているから?

いろんな仕事があるなというのが冷静にわかってきたというんですかね。

― いろんな仕事とは?

私は表現者としてチャレンジのできる仕事をしていきたいって思うんですけど、それが多くのお客さんからは求められていない場合もありますよね。たくさんの方が観てくださるテレビドラマと、アートムービーでも違ってくる。それぞれやりがいはあるんですけど、自分の中でスイッチの切り替えができるようになってきたのかなと。

― モチベーションを保ちながら続けていくことって、難しいですよね。

モチベーションを保つには、いただいた役を好きになるということが一番だと思っていて。役のことを考えるときって、好きな人のことを考えるときと似ているんです。その役を演じていなくても、なにかにつけて役のことを考えてしまう状態になるのが理想なんですよね。

だから、役のどこが好きかなというのはよく考えます。最初は客観的に読んで「この人のこと好きになれないな」って思うこともあるんですけど、自分にできないことができたり、尊敬する部分があったり、自分と似ている部分があったり、どこかに共感できる部分があるので、そこを見つけて好きになっていきます。

― 脚本を読む時間や、役を解釈して理解していく時間は好きですか?

波があって、好きな日があれば嫌いな日もあるんです。「この子ってこういうタイプで、こういう生活をしてきたんだろうな」って、妄想が止まらないときはとっても楽しいんですけど。

それが合っているかどうかは、初日に監督の前でお芝居してからわかることなので、「私の考えてることって的外れなんじゃないか」「私の少ない経験だとこの役ができないんじゃないか」と、孤独や不安を感じることもよくあります。

人にやさしくなれる映画だと思う

― 『雨降って、ジ・エンド。』では、日和のファッションもすごく似合っていてかわいかったです。

私も気に入っていました。アースカラー系のかわいい服で。

― ちなみに古川さんは、普段どういう服装を?

最近はいろいろ迷っているんですけど。一時期は古着が好きで、刺繍が凝ったものとか、裾が広がっているパンタロンとか、そういう服装が好きでしたね。

― 60~70年代のちょっとレトロチックな?

そうですね。最近は現場との行き来なのでほとんどジャージしか着ていませんが……。

― お気に入りのジャージはありますか?

毎回着て行っているのは、ENNOYのジャージです。

― ENNOYではモデルをされていましたよね。

そのときに着たのをずっと着ています(笑)。

― プライベートでハマっていることは?

最近、絵を描くようになりました。なぜか女の子の絵をたくさん描いていて、それが最近のストレス発散になっています。

― 古川さんのInstagramの?

そうです。こういう女の子って良いなと、それこそ妄想が膨らむときがあって、それを形にしてみたのがきっかけでした。次はどんなシチュエーションの女の子を描こうかなって、空き時間に考えるのが楽しいです。

― 本作は恋愛映画でもあるんですけど、古川さんは人を好きになるときのポイントってありますか?

自分が不器用なタイプなので、不器用さが見えたときに「この人良い人かも」って思ったりします。

― 雨森さんもかなり不器用なタイプでした。

そうですよね。

― では最後に、本作をご覧になるかたにメッセージをお願いします。

「雨降って地固まる」ということわざが、『雨降って、ジ・エンド。』というタイトルになった意味を、お客さんがどう捉えてくださるのかとても興味があります。きっといろんな意見のでてくる物語なんですけれど、観ると世界が少し広がる、人に対して少しやさしくなれる映画だと思います。

― そのとおりですよね。

私は日和という女の子の行動はすごく勇気のあることだと思いました。その行動が正しいのかはわからないけれど、その勇気に私自身も力をもらったので、皆さんもぜひ観ていただけるとうれしいです。

Profile _ 古川琴音(ふるかわ・ことね)1996年10月25日生まれ、神奈川県出身。2018年にデビュー。NHK特集ドラマ『アイドル』(22年/NHK)、大河ドラマ 『どうする家康』(23年/NHK) 、映画『十二人の死にたい子どもたち』(堤幸彦監督/19年)、『偶然と想像』(濱口竜介監督/21年)、『今夜、世界からこの恋が消えても』(三木孝浩監督/22年)、『スクロール』(清水康彦監督/23年)などに出演。現在、映画『みなに幸あれ』(下津優太監督/24年)が公開中。今後は『ACMA:GAME アクマゲーム』(日本テレビ/24年4月期)の放送、映画『言えない秘密』(河合勇人監督/24年6月28日)の公開が控えている。

tent line blouse ¥57,200・crew neck top ¥28,600・pants ¥41,800 / yau. (yau. @yau_tokyo), necklace ¥30,800 ¥40,150・bracelet ¥20,900・ring ¥15,950 / semeno (yau. @yau_tokyo)

Information
映画『雨降って、ジ・エンド。』
2024年2月10日(土)、ポレポレ東中野ほか全国順次公開
出演:古川琴音、廣末哲万、大下美歩、新恵みどり、若林拓也監督・脚本:髙橋泉

Photography : Munehiro Hoashi(AVGVST International)
Styling : Makiko Fujii
Hair&Make-up : Yoko Fuseya(ESPER)
Art Director : Kazuaki Hayashi(QUI)
Edit : Sayaka Yabe
Text&Edit : Yusuke TakayamaQUI

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