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【コラム】避けられない競合との競争

【コラム】避けられない競合との競争

繊維業界記者・ライター兼広報アドバイザー
南 充浩

2015年以降、衣料品のマストレンドはそれほど目に見えて大きな変化は無いが、雑貨との組み合わせ方は大きく変化しているという主旨のブログを書いた。

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もちろん、当方の狭い知見ではすべての事象を網羅することはできないから、個人的に感知している3点についてだけピックアップした次第だ。

ストールに関しては当方自身が痛感しており、実は使わなくなった綿製、綿麻製のストールが多分20本くらいあってタンスの奥深くに沈めている。捨てようかどうしようか悩んでおり、晩秋や春先で少し肌寒いが毛糸のマフラーを巻くほどでもないときに使おうかどうしようか迷いながら一度も使っていないという状況にある。

ストール巻き巻きもさることながら、あまり多くの人が言及していないように感じるのが、長財布にウォレットチェーンをついないでベルトループに引っかけて尻ポケットに突き刺すというスタイルが激減している点である。

ストールの場合、根強い愛好家もいるし、肌荒れその他の理由で巻いておられる方も時々は見かけるが、長財布を尻ポケットに突き刺した姿は大阪市内では滅多に見かけることが無くなった。皆無だと言っても過言ではない。

先ほどのブログにも書いたが。革業界で5年前から言われていた理由はキャッシュレス化の浸透である。キャッシュレスには大きく分けて2つの派がある。一つは交通系ICカードも含めたカード派、もう一つはスマホ派である。スマホ派は財布そのものが要らないし、カード派とて大きな財布は不要である。必然的にサイズの大きな長財布の需要総数が減るのは当たり前の結果といえる。

一方、世の中には絶対的な万全というものは無いから、長時間の通信障害でスマホが使えなくなることもある。また何らかの手違いでカードが使えないこともある。

そうなると不安なので、キャッシュレスと同時に紙幣と貨幣をいくらかは常に所持していたいという需要がある。恐らく日本人のマス層の需要はこの両供えにある。

当方はクレジットカードと現金の両供えである。ナンタラペイは使わない。というか登録すらしていない。

このマス需要と考えらえるカードと現金両供え派に向けて開発されたのがL字型財布といえる。ちょうど当方も5年くらい前に入手した。

カード数枚と現金をコンパクトに収納することができる。

衣料品のマストレンドで言うと、メンズはいまだに上下ともにオーバーサイズで、靴はワークブーツ類に変わってきているから、往年の「Bボーイスタイル」っぽくなっていると当方には見える。

あの当時と大きく違うのは、ウォレットチェーンにつながれて尻ポケットに突き刺されていた長財布の有無ではないかと思う。現代のBボーイっぽい人達は尻ポケットに長財布を突き刺していない。

キャッシュレス化の浸透と同時に、座った時に著しく不快だったのではないかと思うから、マストレンドから消えるのも極めて当然だと当方は見ている。

ちなみに小銭の収納スペースが無い場合が多いので、当方は一度も長財布を使ったことが無いし、今後も死ぬまで使う気が無い。

当方には何の愛着も未練も無いそんな長財布に対して、こんな反応をいただいた。

「だれにどう売るかという売り方が大切。需要はゼロではないから、そういう人にどう売るのかが重要になる」

というような内容である。(文言は正確に再現していない)

この意見に対して、当方も賛成である。決して需要はゼロではない。

インスタなどのSNSではたまーに長財布を突き刺している人をお見掛けすることがある。また、革製品職人もときどき製作・販売しているのをお見掛けする。

根強い愛好家が存在するということも理解している。

だから、その少数の人に向けて長財布を供給するというブランドや職人が存在するのも当然である。

だが、問題はその少数の需要に対して、供給する側は複数あるからここですさまじい需要獲得競争が起きることだ。これは長財布に限ったことではない。他の商材、アイテムでも同様である。

需要が少ない分野に対して、供給することも立派なビジネスである。だが、その供給側も多くの場合は激烈な競争がある。

ここを勝ち抜く方策が求められる。もちろん、いくつかの企業やブランドとは共存可能だが、全企業・全ブランドとの共存は不可能で、勝ち抜く必要がある。これはストールのブランドでも同様だろう。

また、マス需要に対しても同様で、歯医者しかりコンビニしかり健全なマッサージ店しかりである。

いくら需要が大きくてもそこに対してのすべての供給側・全店を支えられるほどではないから、いくつかの供給先には消えてもらわなくてはならない。

市場規模の大小はあれど、勝ち抜くための競争には参加せざるを得ない。

「必要としている人にどう売るのか、アプローチするのか」は極めて重要な考え方だが、それと同時に「競合他社にどう勝ち抜くのか」という命題は常に付きまとう。逆に小規模市場の方が需要総数が少ないので、その競争は厳しく激しいものになる。ただ、長財布がかつてのようにマスアイテム化することは今後もないだろうと思う。

最終更新日:

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