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キャラクター人気恐るべし? 大丸梅田店から考える、百貨店の生き残り方

キャラクター人気恐るべし? 大丸梅田店から考える、百貨店の生き残り方

繊維業界記者・ライター兼広報アドバイザー
南 充浩

基本的に人混みと並ぶのが嫌いなので、混雑している場所には滅多に出かけない。出かけるとしても用事がある場合に限られるし、極力土曜・日曜・祝日は避ける。

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そんなわけで、現在、大阪万博が開催中だが行く気が無い。ついでに言うと暑さも直射日光を浴びることも嫌いなので尚更行く気が無い。多分、閉幕まで1度も行かないだろう。

大阪万博開幕に合わせて大丸梅田店5階にガンダムベースが半年間の期間限定で4月11日にオープンした。当方の先輩知人女性が「久しぶりに大丸に洋服を買いに行ったらガンダムショップが出来ていて驚いた」と知らせてきた。たしかに百貨店の5階と言えば、婦人服のメインフロアである。

通常この手のイベントショップはもっと上層階にオープンする場合が多い。もしくは催事フロアかである。

オープン当日の4月11日は金曜日だったが、どれくらいの混雑なのか興味深くSNSを眺めていた。あまり混雑しないようなら覗きに行こうかと考えたからだ。しかし、その目論見はあっけなく頓挫した。さすがの人気ぶりで、金曜日の午前中から「入場制限」がかかる混雑ぶりだとSNSでの報告が相次いだ。

そんなわけで大丸のガンダムベースも初日で行く気を無くしていたが、たまたま25日の昼間に梅田で人と会う約束ができてしまった。

梅田に行くなら、ガンダムベースでも覗いて見るかと思い、現場へ行くと、少し並んでいた(だいたい目視で20人前後)くらいなので整理券をもらって並ぶことにした。

結果的に15分くらい並んで入店することができた。

整理券を受け取ったら、20人ずつ、15分間隔で入店させて店内の混雑を回避するというシステムが採られていたのだが、これは平日限定で土曜日曜祝日はまた別の方式で整理券が配布され、かなりの混雑ぶりになるようである。

並んでいると結構中国語が多く聞こえて来ており、本土なのか香港なのか台湾なのかは中国語がわからない当方には識別不可能だったが、大騒ぎすることも無く比較的マナーの良い感じだった。

店内に入って眺めると、ガンプラは通常再販品(日によって異なる)と、ガンダムベース限定品とオンライン限定品(これらも日によって変わる)が並んでおり、せっかくなので記念に何か一つ買おうと思って、HGガンダムマークⅡのリアルタイプ白(1870円)を買った

当方は事前に調べていなかったので大丸梅田の5階の何分の1かだけがガンダムベースになり、その他は当初からの婦人服売り場だとばかり思い込んでいたのだが、実際に5階に到着して驚いた。

というのは、婦人服ブランドはほとんど消えており、ガンダムベース以外もサンリオショップ、ゴジラショップ、仮面ライダーショップなどなど、というようにすっかりとキャラクターショップフロアに変貌していたからである。それ以外の大箱はドラッグストアの「アインズ&トルペ」だった。

逆に三陽商会の「ブルーレーベルクレストブリッジ」だけがポツンと残っており、違和感から浮きまくっていた。

平日の大丸梅田店は、JR大阪駅に隣接している1階は客入りが多いが、2階・3階は客数が減り、それよりも上層階は平日昼間はほぼガラガラである。そのあたりが混雑するのは平日夕方以降か土曜日曜祝日か、である。

実際に25日昼間も2階・3階はガラガラだったが、5階はガンダム人気もさることながらその他のキャラクターショップ人気も手伝って平日昼間とは思えないほどの客入りの多さだった。

キャラクター人気・サブカル人気恐るべしである。

そんな活況の中、ブルーレーベルクレストブリッジは客入りが少なく、販売員も暇そうにしていた。そりゃそうである。あまりにも客層が違いすぎる。キャラクターグッズを目当てに来た客が婦人服を買うはずもない。

逆にどうしてクレストブリッジだけは5階に残ったのか不思議でならない。三陽商会の首脳陣の判断基準が知りたい。他社ブランドと一緒にほかのフロアに移転した方が賢明だったのではないかと思う。

ブルーレーベルクレストブリッジには気の毒ではあったが、5階のほとんどをキャラクターショップフロアにした大丸梅田の判断は極めて正しかったといえる。それとともにその決断が下せたのは大丸だからともいえる。

まず、大丸は基本的に「従来型婦人服偏重百貨店」の形式にはこだわらない。例えば、花形とされる1階でも大丸東京店のように食品売り場にしてしまうことがある。実際に梅田店もリニューアルオープンで上層階にポケモンセンターやトミカショップを導入した。

また、大丸と同じジェイフロントリテイリングに属するパルコは心斎橋店を見ても分かるように、近年アニメ・サブカル系のショップ導入に熱心である。

さらにいえば、大丸梅田店は梅田地区にある百貨店3店舗の中で万年最下位の3位に位置する。そのため「ブランド婦人服」に拘泥することなく、5階という花形メインフロアをキャラクターショップフロアに切り替えることに躊躇は無かったのだろうと思われる。

お高くとまってブランド婦人服フロアを維持してもさほど売れないのだから、キャラクターショップに切り替えて売れた方が百貨店としてはありがたい。最下位ならではの自由さがあったといえるのではないだろうか。

それにしても都心ターミナル駅に隣接する百貨店の5階がほぼ全域キャラクターショップ化するというのは10年前までは想像もできなかっただろう。

そして、集客だけを見てみると、婦人服フロアだった頃よりもはるかに多くの客入りを集めている。

百貨店とアパレルのパワーがゼロになったとは言わないが、アパレルブランドよりもキャラクターグッズ類の方がマス層には関心を持たれているということがわかる。

大丸梅田店は、ガンダムベースが閉店する10月以降も5階はキャラクターグッズフロアのままにした方が良いのではないかと思う。

5階にキャラクターグッズを集積することで隣接する阪急うめだ本店、阪神梅田本店との差別化も明確化できるし、売上高も稼ぎやすいだろう。

個人的には大丸梅田店は5階をキャラクターグッズフロアに固定しつつ、ガンダムベースを常設店にしてもらいたいと心の底から願っている。

あと、ブルーレーベルクレストブリッジは周囲から浮いているので、早く他の階に移転した方が良い。

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