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米「ターゲット」が減収に既存店減と低迷 トランプ関税やボイコットも影響

米「ターゲット」が減収に既存店減と低迷 トランプ関税やボイコットも影響

在米28年のアメリカン流通コンサルタント
激しくウォルマートなアメリカ小売業ブログ

■ディスカウントチェーンのターゲットが21日発表した第1四半期(2月~4月期)は既存店ベースが減少した。

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買い控えにトランプ関税、同社の多様性方針(DEI:ダイバーシティ、エクイティ、インクルージョン)の撤回に対する不買運動や消費者信頼感の低下など、外部要因が大きく影響した。

売上高は前年同期から2.8%減少して238.5億ドルだった。純利益は前年同期の9.4億ドルから10%増加し10.4億ドルの増益を維持した。

粗利益率は前年同期の28.8%から0.6ポイント縮小したものの、一般販売管理比率が前年同期の21.0%から1.7ポイントも圧縮し19.3%になった。

これにより営業利益率は前年同期の5.3%から6.2%と増加した。

既存店・売上高前年同期比は3.8%の減少となった。前年同期の既存店ベースは3.7%の減少。

オンライン販売を含む既存店ベース3.8%の減少の内訳は客数が2.4%の減少、客単価も1.4%の減少だ。

既存店ベースのうち店舗によるものは5.7%の減少だったが、オンラインを介した既存店ベースは4.7%の増加になっている。

消費者の裁量的支出の弱さに加え、経済への信頼感の低下、関税の不透明さ、そしてにDEI縮小対する反発が不振の原因となっている。

 ターゲットのネット販売でも店頭在庫から出荷されるオンライン売上は97.6%を占めた。

これには当日宅配サービスや店舗の専用駐車スペースで受け取るカーブサイド・ピックアップ・サービス「ドライブ・アップ(Drive Up)」、ネット注文品を店内のカウンターで受け取るボピスの「オーダー・ピックアップ(Order PickUp)」がある。

 売上全体に占める店売上は80.2%(前年同期は81.7%)と売り場よりデジタルにシフトしているのが伺える。

これでオンライン売上は全体の19.8%となり、前年同期の18.3%から増加しているのだ。

ターゲットは1年前から開始したサブスクリプション「ターゲット・サークル360(Target Circle 360)」に際して自社カードの「レッドカード(RedCard)」を「サークルカード(Circle Card)」を変更しているが利用率が減少。

金利高が影響して利用率は前年の18.0%から17.4%と0.6ポイントも落ちているのだ。

 ターゲットは国内に1,981店を展開しており、その内訳はスーパーセンター業態など4,760坪以上の大型店が273店(前年同期・前期から横ばい)、1,400坪~4,760坪未満の通常のディスカウントストア・フォーマットは1,562店(前期から3店舗増、前年同期からは15店舗の増加)となっている。

一方、「フレキシブル・フォーマット(flexible format)」と呼ばれている1,400坪以下の小型店は前年同期から3店舗増加し146店舗となった(前期からは横ばい)。

 ターゲットは1年前、購入頻度が高い約5,000品目を値下げしたが今年は1万品目の値下げだ。トランプ関税による不透明な経済で支出を控えている顧客を呼び戻すのが狙いとなる。

18日から25日まで行う「ハロー・サマー(Hello Summer)」ディスカウントイベントは数千の限定アイテムを含む10,000以上が最大で50%オフになる。ほとんどが1ドル~20ドル未満で水着やアウトドアエンターテインメント、スナック、美容、家庭用など対象アイテムは多岐にわたっている。

また6月からは毎週土曜日に無料プレゼントイベント「ハロー・サマー・サタデー(Hello Summer Saturdays)」 を開催するのだ。

同イベントでは「ターゲット・サークル(Target Circle)」会員限定に商品を進呈し、夏をテーマにしたディスカウントイベントも行うという。

⇒こんにちは!アメリカン流通コンサルタントの後藤文俊です。ターゲットはDEI廃止の公約を掲げていたトランプ大統領就任に伴って1月「3年間にわたるDEI目標を終了し、外部向けのDEI関連調査もすべて停止する」と発表しました。女性やLGBTQ+コミュニティ、マイノリティ、人種的少数派、退役軍人、障がいを持つ人々の採用・昇進促進、および多様な取引先との連携強化等を段階的に縮小するとしたのです。ターゲットの方針転換に対して同社の商品をボイコットすべきだと不買運動が呼びかけられたのです。ボイコットに巻き込まれながらターゲットは衣料品やアクセサリーなど輸入アイテムに頼っていることもありトランプ関税の影響も受けたのです。競合のウォルマートでは売上全体の6割が食品などでそれほど大きな影響ではありませんが、ターゲットの場合は食品からの売上が4分の1未満。関税の影響を受けやすい品揃えなので打撃を受けたと。さらに景気に対して敏感になっている消費者は自由裁量品を避けて食品などを中心に買い物をしますからターゲットは踏んだり蹴ったりとなったのです。
 1万品目の値下げなどかなり大胆なイベントを行っていますが、ターゲットの苦戦は当面続きそうです。

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