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繊研plus【パリ=松井孝予通信員】フランス上院でのファストファッション規制法案の審議を6月初旬に控え、骨抜きとなった修正案の実効性に対して産業界から疑問の声が高まっている。繊維関連団体や高級ブランドと連携するコンサルタント会社コーズ361が先ごろ主催したイベント「ファッション・アクト」では、法案起草に関わった議員やブランド関係者が登壇。持続可能な産業構造の構築には、同法案の強化が不可欠だと訴えた。
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この法案は昨年、国民議会で全会一致により可決されたが、今年3月に上院の委員会段階で修正され、広告の全面禁止や環境負荷に応じた課徴金制度は削除または緩和された。さらに、対象は「商品の回転数と価格設定に基づく」ウルトラファストファッション企業に限定され、欧州の大手ブランドが適用外となる可能性も指摘されている。
一方で、仏ファッション産業はすでに構造的な課題に直面している。インナーウェア大手「エタム」は、仏国内のプロトタイプ開発拠点であるテックセンター閉鎖を決定。中堅SPA(製造小売業)の経営破綻も相次いでおり、アパレル分野では雇用と技術の空洞化が進行している。試作や縫製に従事する技術職の再就職先は限られ、産業の競争力を支える基盤が揺らいでいる。
本法案の行方は、環境対策にとどまらず、国内産業の構造維持と雇用安定という観点からも注視される。
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