スイス時計協会が、2025年5月のスイスからの時計輸出額が前年同月比で9.5%減少し、21億スイスフラン（約3700億円）となったと発表した。4月にアメリカ市場で関税の引き上げ前を見越した駆け込み需要が集中したことによる反動だという。

　同部門最大の市場であるアメリカ向けの輸出は前月比で25.3％と大幅に減少。世界全体の輸出減少額のうち約4割を占める規模となった。アメリカでは4月に一時的に150％の急増が見られたことから、「ブーメラン効果が表れた」と協会は分析している。

　主要市場ではアメリカ以外にも、日本でマイナス10.5％、中国でマイナス17.4％、香港でマイナス12.6％、イギリスでマイナス14.5％と軒並み2桁の減少を記録。こうした中、アラブ首長国連邦（UAE）のみが5月単月でプラス成長を示したが、年初からの累計では減少傾向にあるという。価格帯別では、500〜3000スイスフラン（約8万8500〜53万1000円）の中価格帯モデルが唯一前年並みを維持した一方で、それ以外の価格帯はすべて減少となった。

　協会は、「月間の統計はあくまで輸出ベースであり、実際の消費者の購買傾向を正確に反映しているわけではない」としながらも、販売の勢いは弱まっている可能性があると結論づけた。

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