


■ネット通販最大手のアマゾンが開発した自動決済システム「ジャスト・ウォークアウト(Just Walk Out)」の外販は引き続きスタジアムや大学キャンパスで拡大している。
アマゾンは3年前からジャスト・ウォークアウト・システムの外販を開始しており、顧客体験を向上させたい他の小売店に広がりつつあるのだ。
その一方、アマゾンは昨年春、同社が開発した食品スーパー「アマゾン・フレッシュ(Amazon Fresh)」からジャスト・ウォークアウトを撤廃。
44店舗中27店舗が同システムを採用していたが、顧客が自身で商品をスキャンするスマートショッピングカート「ダッシュカート(Amazon Dash Cart)」に置き換えられている。
またジャスト・ウォークアウト技術を最初に導入したコンビニエンスストアの「アマゾンゴー(Amazon Go)」も当初の計画に反して店舗数が伸び悩んでいる。
2018年のサービス開始時には最大3,000店舗の展開が計画されていたもののピーク時の30店舗以上に達した後は、現在ではその半数以下にまで減少しているのだ。
2024年10月にはニューヨーク市内のアマゾンゴー3店舗が閉鎖され、2022年12月にオープンしたアマゾンゴー・ウッドランドヒルズ店(22001 Ventura Blvd, Woodland Hills, CA 91364)も今年2月に閉鎖となっている。
アマゾンの自社店舗での苦戦とは対照的にジャスト・ウォークアウト技術はスタジアムや大学などの高等教育機関といった外部市場で利用が拡大している。
スポーツアリーナでは、2024/2025年シーズンに向けてNFLのシアトル・シーホークスやワシントン・コマンダーズが新たに導入するなど、現在80以上のスタジアムやアリーナの売店で自動決済システムを採用している。
シアトル・シーホークスの事例ではジャスト・ウォークアウト売店の導入により、従来型の売店と比較して取引件数が85%増加し、1試合あたりの売上が112%向上したと報告されている。
「マーケット・エクスプレス(Market Express)」の事例ではレジなし店舗の導入後に収益が56%増加したとされているのだ。
大学キャンパスにおいても導入が加速しており、2024年9月にはアマゾンが新たに10の大学キャンパスにジャスト・ウォークアウト決済を導入する計画を発表しており、これにより技術を利用するキャンパスストアの総数はカリフォルニア州立大学ロングビーチ校を含めて30を超えた。
カリフォルニア大学サンディエゴ校では自動決済システムを導入した3店舗の年間取引件数が14%増加したと報告。
同技術は米国のほか英国やオーストラリア、カナダを含め145以上の小売業者でも採用されており毎月新たな店舗が立ち上がっている。
さらに医療施設にも展開を広げており、医師や看護師が利用できる「バッジペイ」機能も提供されていまるのだ。
空港や駅のターミナルでコンビニエンスストアを展開するハドソンは4月、コロラド州にある地方空港のコロラドスプリングス空港内にジャスト・ウォークアウトを導入した売店「ハドソン・ノンストップ(Hudson Nonstop)」をオープン。
ハドソン・ノンストップとして10ヶ所目にあたる店舗はテナント・タイプとして営業している。ハドソン・ノンストップには2種類ある。
最新店のようにテナント入店するタイプと、ターミナルの通路の中央に陣取るポップアップ型だ。ポップアップ型のハドソン・ノンストップは例えば、ロサンゼルス国際空港ターミナルにある。
ジャスト・ウォークアウト担当副社長のラジブ・チョプラ氏によるとアマゾン・フレッシュからのジャスト・ウォークアウト撤廃は必ずしも技術そのものの失敗を意味するものではなく、むしろ特定の小売環境におけるビジネスモデルや消費者行動との相性の問題と見るべきだとしている。
大学キャンパスやスタジアムのように、顧客が時間帯によって集中し、迅速な購入体験が強く求められる環境ではこの技術の真価が発揮されやすいと考えている。
キャンパス関係者は自律型店舗の導入にあたり、パフォーマンス、投資収益率(ROI)、顧客満足度に基づいて評価し、自らの環境に合致すれば継続し、そうでなければ他のソリューションを検討すべきだとしているのだ。
ジャスト・ウォークアウトには次世代バージョンというべき、商品タグのようなICタグのデータを電波でフォローするRFID(Radio Frequency Identification)技術版がある。
RFIDを併用した次世代版ジャスト・ウォークアウトでは2つの点で既存のシステムとは大きく異なっている。
入り口にジャスト・ウォークアウト用のゲートがないのだ。
通常のジャスト・ウォークアウトでは入店の際にゲートでアマゾン・アプリに表示したQRコードを読み込ませるか、ハドソン・ノンストップのようにクレジットカード(デビットカード)を挿入する。
もしくは非接触の生体認証デバイス「アマゾン・ワン(Amazon One)」で事前に登録しておき、手のひらをかざして入店する。
買い物が終われば商品をもってレジを通らず、そのままゲートから出る。QRコードやクレジットカード、手のひらと紐付いたアマゾン・アカウントで決済を終えることになる。
次世代ジャスト・ウォークアウトではこの入口用ゲートがなく、そのまま店に入ることになる。
次に通常版と異なるポイントは天井からお客をフォローするカメラやセンサーがないことだ。これらのデバイスが買い物客の動きをトラッキングし人工知能(AI)のディープラーニングを駆使して決済するのだが、RFIDによりトラッキングを不要としたのだ。
入口用ゲートがなくカメラ・センサーもない代わりに購入する際、専用の出口ゲートでクレジットカードを挿入するか、アマゾン・ワンの手のひらで出ていくことになる。
つまりカメラ等でお客の動きをトラッキングするのではなく、RFIDタグのついた商品を電波でトラッキングし出口ゲートで商品と客のアカウントを紐付けて精算するようになっている。
入り口ゲートでの入店の手間がなく、カメラやセンサーがないので圧迫感がない。
通常のジャスト・ウォークアウトには大きなデメリットがあり、商品をいくらでどのくらい購入したのかがすぐには分からない。
大抵の場合、ジャスト・ウォークアウトでの買い物が終わってから(ゲートを出てから)レシートを受信するまで最短でも数十分待たなければならない。
次世代版では出ていく際に端末からレシートをリクエストすることでレシート受信もスピーディになる。
RFID版は客単価が高くなるアパレルやソフトグッズ、プロチームのファンギアといった商品での展開となる。
「イベントグッズ店(event merch shops)」などで利用を対象とされるRFID併用型は「ジャスト・ウォークアウト技術マーチキット(Just Walk Out technology Merch Kit)」として外販されている。
トップ画像:ダラス・フォートワースのターミナルDにあるジャスト・ウォークアウト技術を導入した「グラブ&フライ(Grab & Fly)」。
⇒こんにちは!アメリカン流通コンサルタントの後藤文俊です。アメリカ流通業の最新情報を毎日のようにフォローしていると「"失敗"といえるような挑戦を君は行っているのか?」と自問してしまいます。挑戦とまではいかなくても、なにかしら心理的に負荷をかけるような新しい行動をしているのか?と顧みるようになります。自分の慣れ親しんだコンフォートゾーンから出て、不快な領域のラーニングゾーンにいるのか?と。アメリカ海兵隊のモットーとして使われる"Pain is weakness leaving the body"があります。日本語に訳すと「痛みは、弱さが体から抜け出していくこと」とちょっと回りくどい表現となります。これは痛みである不快さを経験することで、心や体の弱さを克服してより強くなるということです。日本語らしく意訳すれば「不快さは弱さを克服する過程」とか「不快さは強くなるための試練」となりますね。年齢を重ねると"不快さからの回避"が上手くなります。したがって自分には厳しめに「アマゾンやウォルマートは常に挑戦しているけど、お前はどうなんだ?」と自問しているのです。
自分に負荷をかけていないと老化します。「いやだな」「不快だな」「今すぐにでも止めたいな」と思うような習慣を続けるしかないのですよ。
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