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コーセー2025年上期は増収減益 日本が好調な一方でタルトや中国が減退

コーセー2025年上期は増収減益 日本が好調な一方でタルトや中国が減退

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 コーセーが、2025年12月期第2四半期決算(2024年1~6月)を発表した。売上高は前年同期比で0.9%増の1605億2400万円で、営業利益は同17.7%減の113億1900万円、親会社株主に帰属する中間純利益は同38.9%減の70億9600万円と増収減益となった。中国を含むアジア、北米の「タルト(tarte)」が振るわなかったものの、「コスメデコルテ(DECORTÉ)」やアルビオン社の主要ブランドの日本事業の好調で相殺。営業利益は、新規連結のピューリ社に関するのれん償却をはじめとした費用や、タルト社の物流費の増加といった販管費が29億円増加したことが影響した。

 日本市場の売上は同3.6%増の1047億6800万円と好調。コスメデコルテは、「AQ」から展開した量子コンピュータを用いて計算した化粧品処方のクレンジング美容液「毛穴美容液オイル」がヒットし、スキンケア発想で開発したリップ「コスメデコルテ ルージュデコルテ クリームグロウ」などポイントメイクがけん引した。「アルビオン(ALBION)」も内需で好調に推移し、「雪肌精」は前年同期並の実績を確保。「ジルスチュアート ビューティ(JILL STUART Beauty)」のメイクも継続的な売上を維持する。

 一方で、アジア地域ではピューリ社の実績が上乗せされたものの、中国本土および免税チャネルの減収が影響し、同9.6%減の210億8300万円だった。ブランド価値毀損を避けるため、計画的に値引き競争からの脱却を図ったことで、「618商戦」など大型セールで前年を下回る実績となった。

 北米は売上高の大半を占めるタルトが、円高の影響もあり減収。自然災害やトランプ関税の影響による経済の不確実性から消費意欲も減退し、オフラインは落ち込んだものの、既存ECの堅調な売上と大手ECのアカウントを開拓し出荷増で打ち返した。ブランドのプレゼンス向上のため、積極的にマーケティング投資を行い、人気カテゴリーの底上げ、話題性のあるコラボレーションなどで販管費を計上。コーセーブランドでは雪肌精で大型受注を獲得。その結果、同地域の売上高は同1.2%増の308億3900万円となった。

 コスメタリー事業は前年同期並で着地。コーセーコスメポートの「ヴィセ(Visée)」や「ファシオ(FASIO)」が苦戦したが、「メイクキープ」シリーズが足元を支えた。シートマスク「クリアターン」は競争激化の影響を受け鈍化した。

 下期は主力のコスメデコルテで高付加価値を訴求するエイジングケア化粧水「ユース パワー エッセンスローション」や「ゼン ウェア パウダーファンデーション」などの発売を控える。新作化粧水では交通広告などを大々的に打ち、店頭を含むサンプリングは過去最大規模の数量を配布し、イベントを実施するなどで引き続きプレゼンスの向上を図る。

 アルビオンは今後も店頭を核としたブランド体験の構築を進める一方で、2026年にECサイトを開設予定。9月には初の企業広告を展開する。グループ内ブランドの「フラルネ(FLARUNÉ)」では高保湿ラインを刷新し、複合的なメディア広告を実施。「エレガンス (Elégance)」は色補正下地をリニューアルし、インバウンド需要を取り込み売上伸長を図る。

 小林一俊 代表取締役社長は「これまで店頭を大切にしてきたアルビオンでのEC立ち上げや、広告プロモーションはコーセーのナレッジを生かし、効率化していく。グループシナジーを最大化させていく」とコメントした。

 コーセーコスメポートではヘアケアやスキンケアといった成長領域を拡大し、並行してクレンジングやシートマスク、日やけ止めの競争力を強化。セルフブランドではヴィセで人気のリップとのシリーズ育成を図るとともに、好調のメイクキープのラインを拡充する。

 「パンピューリ(PANPURI)」は、上期は一時的に観光客が減少した影響を受けたが、下期ではタイ国内でのCRMを活用した販売や、中国人以外の旅行客向けの施策を強化。日本や他のアジア諸国への早期の進出も計画する。

 商品値上げに関しては、上期にコスメデコルテやエレガンスで実施済み。下期はメイクキープや雪肌精など一部ブランドで10月に実施を予定する。2025年度業績へのプラス影響は限定的とし、2026年以降への粗利率改善を見込む。なお、日本事業のコスト削減として、期初計画の24億円に加え、効率的な広告宣伝や制作費用を見直し、マーケティング費用から24億円を追加削減するとした。

 2025年度通期の連結業績予想は据え置く。売上高は前年比4.1%増の3360億円、営業利益は同15.2%増の200億円、純利益は同83.7%増の138億円を見込む。ただし、上期までの業績を反映し、地域別売上について内訳の見直しを検討。北米およびその他におけるタルトの計画下振れを日本市場でカバーするとしている。

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