

例年9月は暑い。
これは自分が子供時分の頃からそうで、小学校の運動会は9月末くらいに開催されていたが、練習も当日も暑かった記憶の方が多い。
ただ、朝晩はメッキリ涼しくなっていた。
特に秋分の日が過ぎると、朝晩はメッキリ涼しくなったし、昼間も暑いとはいえ、最高気温は28~29度程度だった。
ところが、20年くらい前から9月になっても朝晩が昔ほどには気温が下がらなくなってきた。もちろん、昼間は暑い。
暑さ寒さも彼岸までと言われるものの、秋分の日を越えても暑い日が増えた。そんなわけで世間も当方も9月に涼しくなることはすっかり諦めていた。
最近は10月も暑く、去年は異常事態で11月の半ばまで厳しい残暑が続いた。
夏が確実に長期化している。一方、冬も暖冬が増えたとはいえ、それなりには寒いから存在感はあるし、ときどき厳冬がある。春と秋は確実に短期化しており、世間的には「日本は四季ではなく二季」になったと言われる所以である。
そうなると、春物衣料品と秋物衣料品の着用期間・販売期間ともに短期化しており、ビジネスとして成り立ちにくくなっていているのはご存知の通りである。
夏物衣料の着用期間は年々伸びており、常々書いているように最長で半年強も夏服着用期間が続く。
一方で、暖冬が多いとは言われながらも朝晩はそれなりに冷え込むし、何年かに一度寒波が襲来するから、着用期間が以前よりは短くなったとはいえ、冬物衣料は必需である。
だいたい12月から2月末までの3カ月間は冬物の着用期間となる。
夏物衣料6か月と冬物衣料3ヶ月で9か月である。春物衣料と秋物衣料の着用期間は合計で3か月しかない。体感的には春2か月、秋1か月である。
このため、近年では春秋物衣料不要論も出てきている。
今年の9月は10日ごろまで近年稀に見る猛暑が続くと予報されている。10日以降は気温は下がるがそれでも再抗菌31~34度で推移するとのことなので、通常の夏と同等である。
10月が早めに涼しくなるのか、それとも昨年のように末日まで暑いのかは現時点では不明だが、最低でも10月10日ごろまで暑いことは確実だろう。
今年の長期予報では秋にラニーニャ傾向が強くなる可能性があるとのことで、2024年と似たような気温推移になると考えられている。
特に冬は2年連続での厳しい寒さとなりそうである。昨年の12月は、ところどころで暖かい日もあったが、全般的には寒い日が多く、久しぶりで冬らしい12月だったが、今年も同様になると思われている。
そうなると、冬物衣料の需要は堅調だろうから、販売も好調・堅調になるだろう。
一方、秋物衣料、特に従来型の秋物衣料は猛暑が続く今年9月は確実に苦戦するだろう。10月も前半までは苦戦が確実視される。10月後半から気温が下がれば11月は堅調になるだろうが、昨年のように11月半ばまで残暑が続けば当然売れ行きも厳しくなる。
需要減退を指摘されている春物衣料だが、意外と秋物衣料に比べると、まだ着用期間が長い。
あくまでも自分基準の場合だが、10月下旬に涼しくなっても従来型の秋物衣料を着ると暑く感じるし、夏の期間で汗腺が拡大しているのか涼しくなってもしばらくは汗をかき続ける。
必然的に当方が従来型秋物衣料を着るのはさらに気温が低下した11月ごろからになってしまう。12月になると冬物を着ることが増えるので、着用期間は1か月くらいしかない。
いつも、買った秋物は翌年の春先に着用している。
それでいて春物は買ってからも、しばらく着る機会があるし、今年の3月・4月のように気温が低めの春もあるから着用機会がそれなりにある。
今年は5月にも時々気温の低い日もあったから、その際も着用できた。
夏が長期化していて、暖冬が増えているとはいえ、気温の低い3月・4月も珍しくない上に、暖冬の場合、2月から春物が着用できる。
そのように考えると、意外と春物衣料は着用機会があるし、期間も秋よりは長い。
需要低下が指摘されている春秋物衣料だが、需要が著しく低く販売期間も短いのは秋物衣料ということになる。春物衣料は需要も販売期間もまだそれなりに確保しやすい。
レディースはメンズよりもいろいろと細かいしサイクルが異なる部分もあるが、メンズに関していうと、春物と秋物は素材的にも形も共通点が多い。例えば、長袖Tシャツは春物と秋物はほとんど同じである。違うのは、色だろう。春はパステルというか明るい色が多く、秋は濃い色が多い。同じ黄色系でも春はレモンイエローだが、秋はマスタードという具合だ。しかし、メンズで言うなら、白・黒・グレー・紺あたりのベーシックカラーは春秋共通で売れる。なんなら、ベーシックカラーは夏も冬も売れる。
そう考えると、ベーシックカラーを多めにして、季節カラーを少なめに調達(仕入れ、製造など)すると、秋に売れなくても春に売りさばける可能性が高くなるのではないか。
秋物を単体として捉えずに春物と合算して分割式3ヶ月需要と割り切れば、仕入れや企画製造のロット数もまとまりやすいのではないかと思うがどうだろうか。
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