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米Z世代に広がるノンアルブーム 日本でも若者の「お酒離れ」が進行

米Z世代に広がるノンアルブーム 日本でも若者の「お酒離れ」が進行

サンフランシスコ発デザイン会社の公式ブログ
btrax

アメリカの最新調査で成人の飲酒率が54%と過去最低になった。

特に18〜34歳の若年層は50%まで低下。日本は成人全体の飲酒率は約55〜70%だが、Z世代では直近6か月飲んでいない割合が63%と多数派に。両国とも若者を中心に「お酒離れ」が進んでいる。

スタートアップ系イベントで実感したアルコール離れ

これまで、10年ほどサンフランシスコやシリコンバレー周辺の地域で開催される、スタートアップやデザイン系のイベントに数えられないほど参加した。

その多くに、ネットワーキングの時間があり、ビールやワインを飲みながら、盛り上がるのが通例となっている。

しかし、ここ1-2年、大きな変化が訪れている。コロナ明けの頃から、イベントでのアルコール飲料の提供率がかなり下がっているのだ。

その代わりに、スパークリングウォーターや、謎のノンアル飲料が提供されることも少なくはない。これは、肌感でも「ノンアルブーム」を感じることができる。

ネットワーキング系のイベントでもアルコール飲料を提供しないケースが増えている

米国で拡大するノンアル市場

それと同時に、ノンアルコール飲料の人気が急上昇している。バーやイベント会場、カフェ、スーパーマーケットに至るまで、以前は見られなかったような洗練されたデザインのノンアル製品が並ぶようになっている。

アメリカのスーパーに並ぶ、ノンアルカクテル商品

本記事では、アメリカでノンアル飲料が広まっている背景や主な製品、日本ブランドがなぜ普及できていないのかを分析しつつ、日本の飲料メーカーにとっての可能性と戦略について考察していく。

米国市場におけるノンアル系マーケットの展望

ノンアルに関する統計

では、ノンアル市場における、より詳細な市場規模と成長性をご紹介する。

市場規模・成長率の詳細

2025年のアメリカのノンアルコール飲料市場規模は約178億ドル、2032年には約247億ドルに達するとされ、2025年~2032年の年平均成長率(CAGR)は4.78%

ノンアルコールRTD(即飲み)飲料市場は2025年に約805億ドル、2032年には約1200億ドル規模と予測され、CAGRは5.82%

ノンアルコールスピリッツ(蒸留酒タイプ)は北米で2024~2030年にCAGR9.4%と高成長が見込まれ、社交場面におけるアルコールゼロ志向が広がっている

市場構造・消費トレンド

・ノンアルコール飲料の主なカテゴリーはRTDコーヒー・紅茶、スムージー、フルーツジュース、機能性飲料(プロテイン、ビタミン添加等)、ボトルウォーターまで多様化

・消費者の健康志向を背景に伝統的なソーダ等から、カロリーや糖分が少ないフレーバーウォーターや、植物性飲料、コンブチャなどの人気も拡大中

・ノンアル飲料の消費が健康志向・ウェルネス志向の高まりとリンクしており、「ソバーキュリアス」(しらふ志向なライフスタイルの拡大が購買動機となっている

・ノンアルコール購入者のうち78%はアルコール飲料も買っていて、併用タイプが主流

・ミレニアル世代およびZ世代(18〜34歳)が主な牽引層で、約40%が飲酒を控えたい」と回答

注目されるチャネル・販路

eコマース、オンラインでのノンアルおよびアルコール飲料販売がコロナ禍以降主流化。ノンアル市場でもネット販売・宅配需要が広がっている

コーヒーチェーン、ベーカリー、レストランなど外食店舗におけるカスタマイズ可能なノンアル商品、機能性飲料の提供が売上拡大の要因

その他の最新動向

環境に配慮したパッケージングやサステナブルな原材料調達、AI・ブロックチェーンによる製品管理・追跡の導入が新たな付加価値として注目

消費者の約3~4%がアルコールゼロを選択しているが、2027年には全体の4%近くまでシェア拡大の見込み

と、若者の「お酒離れ」が牽引力となり、米国市場でのノンアル系商品の人気が高まってきている。

Z世代は、お酒に費やす金額が他の世代に比べて圧倒的に低い

ノンアル流行の背景

では、なぜ急にこんなにも若者のアルコール離れが進んだのであろうか?いくつかの仮説をもとに、考えてみたい。

健康志向の高まり

若年層の間では「健康的なライフスタイル」への関心が高まっており、アルコール摂取は避けたいものの一つとなっている。肝臓への負担、睡眠の質低下、肌への影響といったリスクを考慮し、飲酒を控える人が増えている。

SNS文化と酔いのリスク

SNS全盛の時代において、酔った姿が記録され、拡散されるリスクは大きい。Z世代を中心に「スマートに、酔わずに楽しむ」という価値観が広まっており、ノンアル飲料はそのニーズに合致する。

親の世代からの影響

Z世代の親の世代は、お酒を飲む率が非常に高かった。彼らは、酔っ払っている姿を目の当たりにし、「ああいう風にはなりたくない」との思いを強く持ち、お酒を飲まないライフスタイルを選択した。

マリファナ合法化の影響

多くの州でマリファナが合法化されたことで、「リラックス」や「気分転換」の手段としてのアルコールの役割が相対的に低下している。その代替として、CBD入りや気分をリフレッシュさせるノンアル飲料の需要が高まっている。

ビーチサイドのメキシコ系レストランに貼られたコロナによるノンアルビールのポスター

ノンアルブームに合わせた主要飲料メーカーの動き

このような、ノンアル人気を飲料メーカーが逃すはずはなく、下記のような例でもわかる通り、複数のメーカーがノンアル市場に参入している。

大手ビールメーカー(Molson Coors・Heinekenなど)が、プレミアムノンアルビールを新規事業として推進

Athletic Brewingのような専業クラフトブランドが、情報・健康志向・D2Cモデルなど現代的要素を組み合わせ、カテゴリーの認識をリセット

アメリカ中西部では、ノンアル専門ブルワリー「Go Brewing」が急成長中。Dry Januaryを追い風に、ガレージ醸造からタップルームを構え20州に販売拡大。今後はホップウォーターやTHC入りドリンクも導入予定

ノンアル専門のビールブランド「Go Brewing」

アメリカで人気のノンアル商品

それでは、具体的にどのようなノンアル飲料が米国市場で人気なのかを紹介する。

Liquid Death

Liquid Deathは、まるでエナジードリンクのようなパッケージでありながら、中身はただの水という斬新なコンセプトが受けている。ブランドの成功要因は以下の通りである。

ハードコアな世界観とブランドストーリー

SNS映えするパッケージとプロモーション

健康とクールさの両立を可能にする立ち位置

かなり攻めたLiquid Deathのパッケージ

Ghia

クラフトカクテルのような風味を持つノンアル アペリティフ。ハーブや柑橘系のフレーバーに加え、デザイン性の高いボトルが好評。

アペリティフ専門のノンアルブランド Ghia

Athletic Brewing

Athletic Brewingは、2017年設立以来 “NA(ノンアル)=本物のビール” を証明してきたパイオニア企業である。2025年時点で時価総額8億ドルに達し、年間数百万ケースの生産能力を備える。特に、

・2023年には1億缶以上販売

・Whole Foodsなどの主要小売チェーンでも売り上げ上位にランクイン

・Keurig Dr Pepperから5,000万ドルの資金調達

など、成長の軌跡は目覚ましい。
さらに、新製品を年50種程度投入し、イノベーションを継続している。

スーパーにも平積みされてた Athletic のノンアルビール

De Soi(by Katy Perry)

ポップスターKaty Perryによるノンアルスパークリング飲料。フレーバーの華やかさに加え、美容やウェルネスとの親和性が支持を集めている。

おしゃれで女性にも人気の Del Soi

HOP WTR

炭酸水にホップとアダプトゲン(ストレス緩和作用のある植物成分)を加えたユニークなノンアル飲料。リラックスしつつもクリアな頭を保てるという点が評価され、クリエイター層や働くミレニアル世代に人気を集めている。

Surely

本格的なノンアルスパークリングワインを提供するブランド。

シャンパンのような体験を提供しつつ、糖分・カロリーも控えめで、美容志向の女性層から高い支持を得ている。特にホームパーティやブランチの場面で選ばれることが多い。

なぜ日本のノンアルビールは米国市場で普及していないのか?

最近になってノンアルブームが訪れたアメリカに対して、日本ではかなり前よりノンアルビールが普及してる。ある意味、「ノンアル先進国」である。

しかしながら、アメリカのスーパーマーケットに行ってみても、日本ブランドの製品を見る機会はほとんどない。

なぜ日本のノンアルビールは、米国市場であまり普及していないのか?おそらく、以下のような原因が考えられる。

ブランドの「意味付け」が不足している

日本のノンアルビールは味のクオリティが高い一方で、アメリカの若年層に刺さる「文脈」や「価値観」との接続ができていない。

パッケージデザインの課題

Liquid DeathやGhiaのように、デザインそのものがSNS映えし、ライフスタイルの一部になる必要がある。日本製品の多くは伝統的で地味なパッケージが多く、差別化が難しい。

販売チャネルの最適化不足

アメリカではノンアルやウェルネス系飲料に特化したコーナーが小売店に設けられていることが多いが、日本製品は通常のビール棚に置かれ、他のノンアルブランドと競争できていない。

大手企業の追い込み

Molson Coorsなどが本気でノンアルに取り組む中、シャドー競争力では対抗しづらい。

カテゴリーの成熟期の到来

市場評価が構造転換期を迎え、品質・ブランド戦略・流通チャネル全てが問われる時代になっている。

消費者の本物志向

「失望させない味」だけでなく、「なぜこのブランドを選ぶのか?」というストーリーテリングも必須に。日本企業はストーリーテリングが苦手であることが多い。

サンフランシスコの街角で見かけた、サントリー「マルハイ」の広告

btraxでできること

アメリカ市場における飲料カテゴリーの急速な変化に対応するためには、単なるローカライズでは不十分である。 我々、btraxでは以下のような支援が可能である。

現地Z世代・ミレニアル層を意識したブランド開発
「機能」ではなく「意味」を中心に据えたストーリーテリング設計
パッケージデザインのリデザインとA/Bテスト支援
リテールチャネルごとの販売戦略立案
ソーシャルメディア戦略とインフルエンサー連携施策
現地競合・大手動向に基づく差別化戦略の設計
現地のブランドモデルから学ぶローカライズ支援
米国各地のポップアップ店舗での販売代行
小売チャネルへの導入・D2C・Eコマースの展開構想支援

アメリカ市場における文脈の読み解きと、それを製品とブランドにどう反映させるか。これこそが、btraxが最も得意とする領域である。

まとめ

アメリカでのノンアル飲料ブームは、一過性のトレンドではなく、若者世代の価値観の変化に根ざした構造的な現象である。その背景には健康志向の高まり、SNS文化の影響、マリファナ合法化といった複数の社会要因が複雑に絡み合っている。

日本の飲料メーカーにとって、この市場は大きなビジネスチャンスでもある。一方で、その波に乗るためには「美味しいノンアル製品を作る」だけでは不十分であり、文化的・社会的文脈とブランドを接続させる視点が不可欠である。

アメリカにおけるノンアル市場は健康志向やSNS文化、マリファナ合法化の影響に加え、ビールカテゴリ全体のイノベーションドライバーに変貌している。

大手企業と専業ブランドが市場の再定義を進めており、日本企業がこの波に乗るには、味+ストーリー+流通の三位一体戦略が不可欠である。

この潮流のなかで、btraxでは市場構造の理解+ブランド資産の言語化+流通チャネル最適化をセットで支援できる。アメリカでのノンアル展開をお考えなら、アメリカ市場でのノンアル飲料展開にご関心がある方は、ぜひbtraxまでご相談ください。

btraxへのお問い合わせはこちら

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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