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スマホに店を作る時代、米国流通視察が教えてくれない本当の課題とは

スマホに店を作る時代、米国流通視察が教えてくれない本当の課題とは

在米28年のアメリカン流通コンサルタント
激しくウォルマートなアメリカ小売業ブログ

■筆者はこれまで、米国小売業界の最前線についてZoomなどのビデオ通話を通じて日本企業と意見交換することはほとんどなかった。

理由は単純だ。「情報の非対称性」である。

つまり、こちらが持つ米国流通の情報と、相手が差し出す情報の価値に大きな格差があったからだ。

典型的なのがコンサル企業からのアプローチ。

「情報交換しませんか?」と持ちかけてきたものの、こちらから「私が持つ情報と同等の価値があるものは何ですか?」と問い返した瞬間、彼らは黙り込み、連絡を絶った。

要は「情報交換」の名目でこちらの知見をただで引き出そうとしていたに過ぎないのだ。

しかし今は違う。

筆者は純粋に、米国流通視察を試みる企業が「なぜそれを行うのか」という目的を知りたい。だからこそ、問い合わせをくれた企業の担当者に直接ヒアリングする。

過去の研修実績や参加人数、構成、日数、そしてなにより「参加者が帰国後にどんな感想を持ったのか」。そこにこそ本質が表れるからだ。

多くの担当者は「もやもや」を抱えている。参加者からの感想に言葉にならない違和感を持ち、それが課題となって残る。そのもやもやを整理してもらうため、筆者は一つの問いを投げかける。

「通勤時にスマホを忘れたら、取りに戻りますか?」

答えは100%「戻る」だ。誰もが肌身離さず持ち歩くスマートフォン。そこでこう尋ねる。

「では、なぜ御社はそのスマートフォンに店をつくらないのですか?」

その瞬間、相手はハッと気づくのだ。

世界最大の売上高を誇るウォルマートは年間6,800億ドル、円換算でおよそ100兆円。

トヨタの倍にあたる規模を誇るこの企業が、今やスマートフォンに売り場を構築している。しかも、購買履歴に基づいて一人ひとりにパーソナライズされた「世界にひとつだけの売り場」である。

一方、日本企業の多くは米国まで社員を派遣しながら「他社と仲良くなった」「プレゼンに役立った」といった表面的な成果しか持ち帰れていない。

視察で目にした「フォーマット」に感心しても、それが米国チェーンにどんな経済的効果をもたらしているのかを検証しない。

米国の大手チェーンはいまやフォーマットを追いかけてなどいない。

顧客は店舗に足を運ぶ前に、スマホの中で購買を完結させているからだ。この現実を直視しなければ、日本の将来像は描けない。

だから筆者は、情報交換を求めてくる企業にはまずサンプル日程表を送っている。

そこには単なる店舗視察ではなく、参加者が自らスマホを使って実習するハンズオン型のカリキュラムを明記している。

もし本気で情報交換・意見交換を望むのであれば、メール(gotofumitoshi@gmail.com)の件名に「情報交換したいです」と書いて送っていただきたい。

トップ画像はウォルマート・アプリでネットスーパーを体験する研修参加者。いまや「売場フォーマットを学ぶことに意味はない」と断言できる時代である。反論や異論があるのなら、ぜひ情報交換の場でぶつけてもらいたい。

⇒こんにちは!アメリカン流通コンサルタントの後藤文俊です。ぜひ情報交換しませんか?Zoomなどのビデオ通話を使って30分ほど、日本と米国を結んで気軽に話しましょう。コロナ禍を経て視察を再開し、何度か米国に来たものの「思ったより収穫がない」と感じているチェーンストアは少なくありません。理由は明快で、現地で見ている商品や陳列、フォーマットには大きな変化が表れていないからです。いま小売の主戦場はすでにスマートフォン・アプリに移っています。米国の大手チェーンはスマホ上に売場を築き、購買履歴をもとに一人ひとりに最適化された「世界で一つの店」を提供しているのです。したがって米国まで来てフォーマットを観察しても、本質的な学びにつながりにくい。少なくとも大きな費用をかけて社員を渡航させる理由にはなりません。なお、情報交換の場で私からコンサルティングを売り込むことはありません。当社のコンサルティングは破格に高額であり、無理に勧めるものではないからです。
 私がよく投げかける問いがあります。「もし御社の社長や役員のスマートフォンとパスコードを、取引先企業の複数の社員にシェアするとしたら、いくらなら可能でしょうか?」。すぐに意図を理解される方もいれば、首をかしげる方もいます。そこにこそ未来を見通す力の差があるのです。情報交換はその第一歩。ご希望の方はメール(gotofumitoshi@gmail.com)からお気軽にご連絡ください。

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