

ワークマンのリカバリーウェア「メディヒール」が9月1日からの店頭投入後、7日までの1週間で40万枚を販売した。
9月1日~9月7日の1週間の販売数は40万点になり昨年実績の約2倍を1週間で達成しました。10月から販売予定の5アイテムはアプリにて先行受注を行いましたが5万点の受注数になっております。発売開始以来大きな反響があり一時的に品薄状態になっておりますが、製品は継続して入荷しています。
とのことで、昨年の生産数量が20万点だったことから、1週間で昨年の2倍の量を完売したということになる。
今回は10倍の200万枚生産なので、製品は継続して入荷するとのことだが、洗い替え需要で一人のお客が複数セットを購入する可能性が高いので、この200万枚も完売する可能性が極めて高いと考えられる。
実際に公式通販サイトを監視していても売れ行きの勢いは顕著で、9月2日に、メディヒールを買いたいという親戚に頼まれて、その家の近隣の店舗を検索して在庫を確認したが、そのときでさえ、在庫量は「△」(在庫切れの可能性あり)となっていたが、今朝、再度確認してみると完全に品切れになっている。
この製品は公式通販サイトではなく、店舗のみの取り扱いとなっているのだが、品切れの店舗が多い。体感的に7割くらいの店舗で品切れと表示されている。
恐らく、ワークマン史上最大のヒット作となるのではないかと予想される。
売れた原因は
1、21年の発売開始以来好調だったが、生産数量が需要に対して少なすぎたので、消費者に渇望感があった
2、長袖Tシャツとその同素材長ズボンで合計3800円という安さ
3、今秋は10倍の200万枚という大量生産で機会損失が大幅に減った
4、リカバリーウェアが本当に効くのかどうか試してみたいという人が多い
という4点が挙げられるだろう。
1についてはこのブログでも書いたように5月頭に半袖・半ズボンを1セット試しに買ってみたら、残りもすぐに完売してしまって再入荷の予定は無かった。そのため、当方としても「何としても洗い替え用にもう1セット欲しい」という渇望感があった。衣料品に対してこんなに渇望感を覚えたのは10年以上ぶりくらいだろうか。なので、当方と同様かそれ以上の渇望感を覚えていた消費者が相当数いたのではないかと推察される。
2については言うまでもない。リカバリーウェアという商品分野において上下セット3800円は破格の安さである。巷では「バクネ」などのブランドの知名度は高いが、上下セット2万円台というのは、たかが寝間着に対してちょっと支払う気になれない。最近の低価格カジュアルセットアップスーツでさえ2万円もしない。中間価格帯のAOKI、宝島社の製品もあるが、8000円台となっていて高すぎることはないが、安くはない。そして4とも関係するがリカバリーウェアなる物が効くのかどうかがわからない。効果がわからないから試してみたいという人は多いが、効果があるのかどうかも分からない物に2万円とか8000円とか支払って試す気にはなれない。しかし、3800円なら試してみて効果が無くても我慢できる範囲内の価格である。
当方とて3800円(半袖・半ズボンセットは2600円)でなかったら絶対に試していない。
3についてだが、20万枚という生産数は多いが、需要に追い付いていなかったので販売の機会損失を起こしていた。今回200万枚の生産量なので機会損失が圧倒的に減った。
4は先述した通り、効くのかどうか試してみたいという潜在需要が大きい。
5月からほぼ毎晩着続けて寝た感想を言うと、肩凝りも腰痛も劇的に軽くなったわけではない。ただ、身体全体の倦怠感は薄らいだような気がする。一度、普通の寝間着を1週間くらい着続けてみて、効果を比較してみたいと思っている。倦怠感の軽減はメディヒールのおかげもあるかもしれないが、メンタル面の変化もあるだろうし、食べ物やサプリの影響もあるかもしれないので、効果測定としては微妙なところだといえる。これが偽らざる感想である。
しかし、今回のメディヒールの爆発的な売れ行きの最大の要因は、老人人口の増加だと考えられる。
55歳になって痛感するが、若い頃に比べると圧倒的に体は疲れやすいし、腰痛も酷い。マッサージや整体に通ったり、ストレッチをしたりしていてもスッキリはしない。そうなると、軽減させるための何かが欲しくなる。それはサプリかもしれないし、健康食品かもしれない。その中の一つとしてリカバリーウェアに対しての期待もあった。
現在、最大人口である団塊世代がすでに後期高齢者に突入し始めた。団塊ジュニアも50代前半に突入していて、団塊世代と団塊ジュニアに挟まれた60代も人口は多い。
この層が一気に体の苦痛を軽減する商材を求めているのだから、総需要量は莫大である。リカバリーウェアもその需要を上手くつかんだといえ、ワークマンのメディヒールは低価格を武器にこの層の需要を席巻しつつあるといえるだろう。
これまで、人口が多い老人層への商品提案として「アクティブシニア向け〇〇」という小じゃれた物を提案してきた向きが多かったが、実際に年老いてみるとそんな小じゃれた物なんてちっともほしくなくて、増大する身体の苦痛を緩和させる物こそを求めるようになった。ワークマンのメディヒールはその金脈を掘り当てたのではないかと思えてくる。
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