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120周年を迎えた増永眼鏡のグローバル戦略 「日本製」だけでないブランド力がカギ

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120周年を迎えた増永眼鏡のグローバル戦略 「日本製」だけでないブランド力がカギ

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 福井県の老舗メガネフレームメーカー 増永眼鏡が、アートプロジェクト「MEET YOUR ART」を手掛けるエイベックス・クリエイター・エージェンシーと共同で、創業120周年を記念した特別展示「MASUNAGA1905:Timeless Vision」をスタートした。これに先駆けて記者発表会が行われ、増永眼鏡グローバルトップであり最高級シリーズ「MOC(Masters of Craft)」の開発責任者でもある齊藤喜治 米国法人社長が登壇。ブランドの新たなヴィジョンとアートプロジェクトへの想いを語った。

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齊藤喜治 米国法人社長

“ジャパンメイド”ではなく「MASUNAGA」で勝負する

 増永眼鏡は、福井県福井市に本社を構える1905年に創業した眼鏡メーカー。創業者の増永五左衛門は、豪雪地帯の福井に冬の時期にも継続できる地場産業を築くため、福井で最初の眼鏡会社として増永眼鏡を興した。1911年に福井県各地に13の工場を設立。同年8月には五左衛門の名前で内国共産品博覧会に出品した「赤銅金継眼鏡」が有功一等賞金杯を受賞し、福井産の眼鏡が世間に知られることになった。また、育成した職人たちの独立支援も積極的に行い、福井の眼鏡産地としての成長と発展に大きく貢献。現在では国内シェア90%を福井が占める。

 同社は企画から部品製造、組み立て、仕上げまで、1本の眼鏡フレームを作る400以上にわたる工程を社内で一貫生産しているのが強み。デザイン性と機能性を兼ね備えた高品質な眼鏡が高い評価を受け、現在ではアメリカに約250店舗、カナダに約100店舗を構えるほか、世界約50ヶ国で展開している。アイウェアは特に着用者の顔の骨格に合わせたデザインが求められることから、ヨーロッパ、アメリカ、アジアでそれぞれ地域ごとの嗜好や市場特性に合わせた製品を開発することで、各市場で成長を目指す「三極プロダクト構想」を取り入れている。海外での高い評価から、日本国内の旗艦店でもインバウンド客の来店が多く、近年の売上は増加傾向にある。昨今は夏の猛暑から日本国内でもサングラスの需要が高まり、各アイウェアメーカーが売り上げを伸ばしているが、その傾向は増永眼鏡でも同様で、海外展開に強みを持つブランドだからこそこれまで幅広く揃えてきた海外展開向けのサングラスが国内でも注目を集めるなど、意外な反響も見られるという。

イベント会場の様子

 特に大きなマーケットはアメリカと中国だが、今後注力していくべき市場として考えているのは、経済力のある中間層が増加しているインドと、ファッションの中心地であるヨーロッパ圏。長年フランスやイタリアの大きな展示会には参加しており、着実に認知を高めつつあるが、さらなる伸び代を見込む。素材の加工技術の高さからグローバルでの地位を確立した増永眼鏡だが、近年の中国の加工技術の成長には目を見張るものがあるという。「中国では、眼鏡に限らずあらゆる工業製品の加工技術が向上しています。テクノロジーだけで勝負していては、残念ながら勝ち目はないと考えています」と齊藤米国法人社長。だからこそ鍵になるのは、「メイドバイ増永」というブランド力。「ヨーロッパを中心に、現在“日本製”は一種のトレンドになっています。しかし、そのトレンドが終わってしまった時に戦えなくなっては困るので、私たちはあえて“メイドインジャパン”や“ジャパニーズクオリティ”といった点を前面に押し出すことはしていません。まずは『MASUNAGA』という名前でデザインや品質を評価していただきたい。その上で、日本最古の歴史ある眼鏡ブランドなんだと知っていただけるのが理想です」と話す。

増永眼鏡120年の歩みを辿る 初公開のアーカイヴフレーム11点を披露

 同社の120周年を記念したイベント「MASUNAGA1905:Timeless Vision」では、創業当時に作られた「The Origin」をはじめ、1933年に昭和天皇への献上品として制作された「The Royal」や、1970年に大阪万博のタイムカプセルに収納された「CUSTOM72」など、初公開となるアーカイヴフレーム11点を公開。2000年当時まだ加工が難しかったチタンの高度な加工技術とデザインが高い評価を受け、欧米マーケット進出への足掛かりとなった「TOKI」や、TOKIの技術を活かしながら、さらに薄くて丈夫なメタルフレームを追求した「Chord C」(2019年)など、「最高傑作は次回作」という精神を掲げてきた同社のものづくりの軌跡を紹介している。

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 また、120周年を機に増永眼鏡のオリジナルブランドが揃うアイウェアショップ「MASUNAGA1905」の青山店を拠点としたアートプロジェクト「MASUNAGA1905 meets ARTISTS」を始動。現代アーティストと協働し、全国の直営店での作品展示や、アーティストの作品をプリントした限定デザインのメガネ拭きを配布する。長年の同社のものづくりと、現代アーティストの創造性を重ねることで、ギャラリーではなく日常の中でアートに触れる機会を提供する。第1弾は11月11日から開催しており、増永眼鏡青山店でアーティストの前田紗希の作品を展示しているほか、全国の増永眼鏡直営店で前田の作品をプリントした限定デザインのメガネ拭きを配布している。アートプロジェクト始動を記念し、MASUNAGA1905:Timeless Visionの会場でも前田の作品のほか、第2弾に参加する小林健太の作品を展示している。

第1弾アーティストの前田の作品。前田は「関係性や時間の積み重ね」をテーマに作品を制作しており、即興で動きを連鎖されるようにペインティングナイフで薄く塗り重ねた油絵作品が特徴。福井出身で、実は新卒当時増永眼鏡に入社し従業員として働いていたことがあるが、今回の起用は偶然だという。

 会見には、特別アンバサダーの片寄涼太(GENERATIONS)と、アートプロジェクト第1弾の参加アーティスト前田紗希も登壇。齊藤米国法人社長が開発責任者を務めるハイエンドライン「MOC」のアイテムを着用した片寄は、「眼鏡というものをひとつの“メディア”と捉え、長年発信されてきた歴史の重みを感じます。何代にもわたって増永眼鏡が残り続けていること、そしてその時代に僕たちがいることが貴重な体験」とコメント。実際に店舗に訪問し、説明を受けたという片寄は「職人さんの手によって、ひとつの眼鏡ができるまでにも多くの工程が必要だということを初めて知り、人の手の温もりと歴史の重みを改めて感じました」と続けた。


 会場では、120周年記念モデルとして発表した新作「Edition 120」の試着が可能。福井県の名産とワイナリーのワインが味わえるバーカウンターも併設し、創業の地・福井の文化と感性を五感で感じることができる空間を演出している。同イベントは11月13日まで開催しており、入場料は無料。

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Edition 120

左から、齊藤喜治 米国法人社長、片寄涼太、前田紗希

Image by: 増永眼鏡

最終更新日:

◾️MASUNAGA1905:Timeless Vision
期間:2025年11月11日(火)〜11月13日(木)※11日は招待制
営業時間:18:00〜24:00
会場:WALL_alternative
所在地:東京都港区西麻布4-2-4 1階
入場料:無料

FASHIONSNAP 編集記者

橋本知佳子

Chikako Hashimoto

東京都出身。映画「下妻物語」、雑誌「装苑」「Zipper」の影響でファッションやものづくりに関心を持ち、美術大学でテキスタイルを専攻。大手印刷会社の企画職を経て、2023年に株式会社レコオーランドに入社。ファッション雑貨、アクセサリー、繊維企業を中心に取材。

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片寄涼太

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片寄涼太

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前田紗希

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