
資生堂が、独自のエピジェネティクス(後成遺伝学)研究により、遺伝子レベルで始まる早期のシミ発生要因が、表皮にある「mTOR(エムトア)タンパク質」の活性化であることを解明した。また、これを受けて同タンパク質の活性化を抑える複合成分「4M アルゲ」を開発。今後は、今回開発した複合成分を「シミが作られにくい肌質」を叶えるためのスキンケアに応用していく。
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同社は、年月の経過に伴って数や濃さを増し、多様に変化する“シミのライフサイクル”に着目。昨年には、長年の課題であった「シミのある肌をリアルタイムかつ細胞レベルで観察すること」に初めて成功し、一度できてしまったシミが新たなシミを呼び、シミが悪化するというメカニズムを明らとした上で、その連鎖を断ち切るトリプル薬剤の開発に成功した。
今回は、研究の視点を“シミの発生段階”に移行。肌表面にシミが現れる前に起こる肌内部の変化と、シミが作られにくい肌質へ導く方法をを明らかにすべく、遺伝子レベルでの検証が可能なエピジェネティクス研究からシミの早期発生要因に迫った。
神戸大学の錦織千佳子名誉教授(当時、神戸大学医学部皮膚科教授)と共同で行った解析では、約2万個の遺伝子の中からシミに関連する複数の遺伝子を特定。その遺伝子をもとに作られるmTORタンパク質が、シミがある肌において過剰に活性化していることを解明した。
その後の検証においては、mTORタンパク質の活性化がシミ発生の原因の一端であると判明。また、活性化させた同タンパク質の細胞表皮にメラニンを添加すると、正常な表皮細胞と比べてより多くのメラニンが細胞内に蓄積されることから、表皮細胞の過増殖とメラニンの過剰蓄積は、この活性化に起因していることが明らかとなった。
よって、シミが作られにくい肌質へ導くためには、この早期のシミ発生要因を抑える必要があり、成分の探索によって、フランス産海由来エキスを含む複合成分 4M アルゲに効果が見出された。なお、同成分には、表皮細胞へのメラニン蓄積を抑制する効果も見られ、シミの発生を早期に抑える可能性があるとした。
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複合成分“4Mアルゲ”が早期のシミ発生要因「mTORタンパク質」活性化を抑える

シミのない肌(左)とシミが肌表面に現れた肌(右)のイメージ画像

シミが発生している肌では、エピジェネティックに「mTOR タンパク質」の活性が高まっている

「mTORタンパク質」の活性化により表皮細胞が過剰増殖する

「mTORタンパク質」の活性化により表皮細胞にメラニンが溜まりやすくなる

“4Mアルゲ”の「mTORタンパク質」活性化抑制効果

“4Mアルゲ”の表皮細胞内メラニン蓄積抑制効果
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