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三越伊勢丹HD、百貨店を軸に店舗・仕入れ・外商もできる“三位一体人財”を強化

伊勢丹のロゴ

Image by: FASHIONSNAP

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 三越伊勢丹ホールディングスが12月2日、関係者向けに人財戦略に関するサステナビリティ説明会を開催した。同社は集客のみの“旧来型”の百貨店業ではなく、日本そして世界からの集客を識別化し、最適な商品をサービスを提供することにより同社のファンになってもらう「個客」業への変革を図っている。その上で、企業理念にも掲げるキーワードである従業員一人ひとりの「ひとの力」を根幹とした経営の最大化を図るために強化している「店舗」「仕入れ」「外商」の三位一体人財の育成について説明した。

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 同社は個客業の4ステップとして、「集客」「識別化」「利用拡大」「生涯顧客化」を設定。「集客」ではバイヤー約300人、「識別化」では店頭スタイリスト約3300人に加えてグループ取り組み先の販売員3万人超、グループ年間300万円以上の購買顧客醸成につなげる「利用拡大」カテゴリースペシャリスト約150人、そして「生涯顧客化」では外商セールス約1260人を人的資本の中心に据える。これまではそれぞれの領域のスペシャリストを育成してきたが、今後は“コア人財”としてこれらを三位一体で価値提供できる人財を強化することにより、深い個客理解による独自の価値創出と競争優位性の確立を目指す。また、金融事業や不動産事業といった関連企業との事業間人財交流促進と、外部専門人財の受け入れにより新たなイノベーションを起こす人財育成も行っていく。

 この好事例として、同社第2MDグループ新宿婦人・子供商品部MD担当 担当長の種村俊彦氏が出席。同氏は伊勢丹新宿本店の婦人服売り場を担当し、「店舗」と「仕入れ」を経験。その後、伊勢丹立川店に配属され、伊勢丹新宿本店とは異なる商圏でキャリアを重ねた。2015年にさらに小さい商圏がメインとなるイセタンサローネの店長に着任。2018年には伊勢丹外商部に異動して「外商」を経験し、現在は新宿婦人・子供商品部でバイヤーの個客業化に向けた人財を育成している。同氏によると、イセタンサローネと伊勢丹外商部での経験が個客への理解度を深めたという。実際に「外商」で得た経験として、「ファッションウィーク期間中の独自ツアー」を企画した際に、個客への理解度の高さから「購買条件なし」といった内容を組み込み、顧客満足向上につなげることができたという。現在のバイヤー育成では、「これまでのマーケット・トレンドの情報を収集・分析し、新しさを品物に反映する役割」から、「個客の一次情報を元に独自性の高い品揃えをする役割」を担う“バイヤー × 外商”を目指している。

 また、新たなイノベーションを起こす事業間人財交流の好事例として、伊勢丹新宿本店 営業運営部 エムアイカード・アプリ推進担当 担当長 河本敦子氏が出席。同氏は1996年にエムアイカードに入社し、2024年から三越伊勢丹に出向している。百貨店と金融では企業文化が大きく異なり、たとえば「百貨店客は分割払いをしない」という考えがベースにあるなど、百貨店の商売の中に「金融」を入れることに課題があったという。これに対し、河本氏は「高額な買い物ほど分割払いが利用されている」というファクトを共有した上で分割払いしやすい環境づくりを整えたことで、買い上げ額アップにつながった。このほか、2024年にスタートしたエムアイカード会員を対象にした時計保証サービス「ISETAN MITSUKOSHI WATCH GUARANTEE」においては、時計ブランドの販売員の協力が必要だったが「メーカー保証で十分では」という声もあり、当初は苦戦したという。「贈り物に相手の名前で付帯できる保証は他にない」という魅力を伝えることで、時計保証付帯率は伸長。いまでは伊勢丹新宿店以外の百貨店でも展開されるようになった。グループとしてはこのような相互に補完し合う“両利き人財”をさらに醸成していきたい考え。すでにエムアイカードからは14人が百貨店に兼務出向している。

 好事例のような人財を生み出すために、社内異動しやすい・チャレンジしやすい「風土」を整えることが課題の一つだ。上司とのキャリア面談や、社内公募・チャレンジ申告制度の導入といったキャリア意識を自分で高めていく施策はすでに着手しているが、社内では「専門性と個客業人財との間でどういったキャリアを目指していけばいいか」という点で理解が深まってない部分もある。今後は、それぞれが納得してキャリアステップを目指せるような体制や風土をつくっていくほか、施策自体も単発でうまく連携できていないとし、来年度以降に改善を図る。

 なお、三位一体人財は専門人財よりも増えているというが、評価する側のマネジメント層の強化も課題。マネジメントガイドを発行するなどの対応を行っているが、フィードバック力などマネジメント層の育成にも力を入れていくとしている。

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