ADVERTISING

ジーンズ専門店の転換期? ライトオンの店舗縮小に見る業界の行方

繊維業界記者・ライター兼広報アドバイザー
南 充浩

もう従来型のセグメントはすっかり意味をなさなくなったということは理解しつつも、旧ジーンズ業界とかかわりがあった身からすれば、ライトオンとマックハウスの行く末は気になって仕方が無い。

ただ、俯瞰して衣料品業界全体を見ると、ライトオンにせよマックハウスにせよ、再建が成功しようがしまいが、微細な影響しかないということは論を待たない。

ぶっちゃけ、この2社がどうなろうと衣料品業界全体にも消費者にもほとんど何の影響もない。

ジーンズというアイテム自体は定番的に広く普及しているが、それを取り扱う企業も増えた。作り手のナンヤカンヤとかそういう物を一切考慮せずに「ジーンズ」という商品を買いたいというだけなら、ユニクロでもジーユーでもしまむらでもGAPでも構わないわけで、売り場は国内にあふれるほどある。

従来型のジーンズカジュアル専門店チェーン型から転換できなかった企業は今年までの間にほとんど淘汰された。

逆に、ライトオンとマックハウスのトップ2だけが今年まで命脈を保つことができたというのが実際の状況だろう。

地域密着チェーン店の中には、ボーンフリーやインターナカツのように高感度大規模カジュアルセレクトショップ化したところが生き残っている。

一方、アダストリアのようにSPA化して生き残ったところもあれば、アーバンリサーチのようにいわゆる「大手セレクトショップ」化して生き残ったところもある。

さて、マックハウスはこれまで何度も書いて来たように、ジーエフに買収されてからは、最早何屋なのかわからないほどの魔改造を受けており、メイン商材はビットコインになっているのではないかと思うほどの変貌ぶりで、先日のビットコイン暴落のニュースを聞くと、果たして企業存続は大丈夫なのかと心配になってしまう。他人事ながら。

ライトオンは、ワールドに買収されて以降、あまり大きな変化を見せずに不採算店の閉店という施策をメインに据えて推進してきた。

正直なところ、ワールドのライトオン買収の目的がよくわからないままだが、「ワールドは、ロードサイド店を運営したことが無いからそのノウハウが欲しいのではないか」と指摘するコメントをいただき、納得した部分もある。ついでにいうと、ジーンズを基調としたブランドも運営したことが無いので、そのノウハウを吸収する目的もあったのではないかとも思い至っている。

ただ、ビットコインに全力投球をさせられているマックハウスとは異なり、ワールドはライトオンに対してかなり中長期的な取り組みに終始しているというのが、現時点までの外野からみた印象である。

さて、先日、久しぶりに、あべのキューズモール内のライトオンへ行ってみた。単なる個人的な視察である。

もちろん当方には何の依頼も権限もない。単なる物見遊山であることは言うまでもない。

そうすると、ついに「閉店セール」が始まっていた。来年1月12日に完全閉店するというアナウンスが店内に流れている。閉店セールとして全品レジにて20%オフなので、リーバイス製品とかエドウインの製品が欲しい人は行ってみたらお買い得ではないかと思う。

当方は、定価のリーバイス商品とかエドウイン商品は別に欲しくないのでスルーしている。

あべのキューズモールのライトオンは、数年前まではそこそこに賑わいのある店舗だった。理由は明白でいつも売れ残り品を入り口のサークルラックで「1000円均一」とか「990円均一」で処分販売していたからだ。

当方もこの1000円、990円を結構買ったものである。同じ値段でもユニクロには無いデザインや色柄の商品があったから重宝していた。

しかし、創業者の子息が社長に返り咲いてからは、利益率向上を掲げて、商品価格を上げるとともにこの1000円・990円値下げ処分を止めてしまった。

利益率向上という観点からすると当然の施策ではあるが、恐らく、長年の固定客からすると「高いから買わない」ということになったのだと思われ、その辺りから如実に賑わいの無い店内になって行った。

実際、内部にかかわっているわけではないので、あべのキューズモール店の利益率とか売上高とか粗利率とかがわかるわけではない。

ただ、客入りとか売れ行きから想像すると、990円見切り品がふんだんにあったころは、粗利率が仮に低かったとしても売上高はかなり高かったと思われる。

もう10年くらい前になるが、正月の福袋が開店と同時にほぼ完売したこともあるほどである。

そして、見切り品を無くして以降は、売上高は如実に激減したのではないかと思う。かと言って粗利率が高くなったかというとそうでも無かったのではないか。というのも、商品の売れ行きが店頭で見ている限りにおいて、かなり鈍くなって、売れ残りが多数生じていたからである。最終的に値下げをしてどこかで売りさばくか、在庫処分屋に二束三文で払い下げたかだろうから、企業決算としての利益率は全く好転しなかったのではないかと推測される。

そして、満を持して閉店である。

売上高も低くなり、客離れが進んだ結果、不採算店になってしまったのだろう。大阪市内の店舗はもうヨドバシ梅田だけになるのではないだろうか。

以前にも書いたように、ライトオンは衰えたとはいえ、1店舗あたりの平均売上高は1億円ある。そこら辺の不振ブランド店よりはるかに多い。マックハウスの2倍、マツオインターナショナルの3倍弱である。

だからワールドは不採算店を全て無くせば、売上高は下がるものの黒字転換できると踏んでいると思われる。

問題は店舗網をどこまでシュリンクさせるか、である。あまりにも減らしすぎると、ライトオンに対する消費者の認知度は下がってしまい、選択肢から外れる可能性が高まる。

不採算店の閉鎖で黒字化という方針は基本的に正しいと当方も考えているが、縮小させすぎるともっと弱体化する可能性も高い。そのバランスを見誤るとライトオンは再建できないどころか、消えてなくなってしまう。

その辺りを注目しつつ、引き続き外野から観察したい。

最終更新日:

ADVERTISING

現在の人気記事

NEWS LETTERニュースレター

人気のお買いモノ記事

公式SNSアカウント