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マスのファミリー層が百貨店に二度と戻らない理由

繊維業界記者・ライター兼広報アドバイザー
南 充浩

近年、テレビ離れが指摘されている。

実際、テレビ番組への広告出稿料金の総額は減少し続けている。昨年のフジテレビ問題が起きる前から傾向は変わっていない。フジテレビ問題が原因ではない。ただ、ブースト効果を与えただけに過ぎない。

ドラマもバラエティも各局でワースト視聴率を更新し続けている。視聴率が高いのはスポーツの重要な試合くらいしかない。

当方のようなジジイですらほとんどテレビを観なくなっている。離婚前は家族がテレビをつけていたが、いなくなって当方一人になると必要な時にしかテレビを点けない。

当方の場合は、日曜朝の仮面ライダーと戦隊シリーズだけがレギュラー視聴番組で、7月から翌年1月まではウルトラマンシリーズ、そしてたまに大河ドラマを観る程度である。

アニメもシーズン中に1作か2作観るが、今年1月開始のアニメは何一つ観ていない。そのシーズンアニメもテレビで観るよりもティーバーやアベマ(無料版)で観ることの方が増えているのが実状である。

50歳代半ばというジジイなので若者と接する機会はさほどないが、たまに話す機会があると、だいたいはテレビ番組をあまり観ていない。YouTube、Amazonプライム、ネットフリックスなどの視聴が多い。

かつて70年代から2000年代まで40年以上娯楽の王様だったテレビがここまで凋落したのか。もちろん、安易でチープでくだらない内容の番組を作りすぎたということは原因として挙げられるだろう。それに加えて、子供向け番組を「観やすい時間帯」から排除し続けたことも大きいのではないかと思われる。

これは当方だけが言っているのではなく、周囲にいる同年代から少し上の年代の人も同意見である。

昔、当方が子供の頃は子供向けのアニメや特撮番組がゴールデンタイムに放映されていることが多かった。平日夕方(放課後くらいの時間帯)はアニメや特撮の再放送がエンドレスで流れていた。初代の機動戦士ガンダムもブーム後は夕方にエンドレスで再放送されていたし、もっと幼少期ならルパン三世(1作目)、デビルマン、テッカマン、ダイアポロン、バビル2世、一休さん、なんかがエンドレス再放送されていた。

こうなると、子供はテレビを観ることが習慣になる。

必然的に高校生になっても大学生になっても社会人になってもテレビ番組を観ることが習慣として根付いてしまう。

ところが2000年代くらいからアニメや特撮は早朝や深夜に追いやられることになってしまった。今では、ゴールデンタイムに放送されているアニメはちびまる子ちゃんとサザエさんくらいではないだろうか。当然夕方のアニメ、特撮のエンドレス再放送も無くなって、くだらないワイドショーばかりになっている。

子供はテレビを観る習慣が無くなり、昔ならレンタルビデオ、レンタルDVDを愛用することになる。当方の子供たちが幼い時はレンタルビデオ、レンタルDVDを毎週何本も借りてきた。

今ではYouTubeやAmazonプライム、ネットフリックスなどの動画配信を愛用する子供が多いのではないだろうか。

当方の子供たちもそうだが、当然テレビを観るという習慣が薄くなっているし、今の動画配信で育った子供が大人になればもっとテレビを観る習慣は薄くなるだろう。

これと同様のことが百貨店にも起きているのではないかと考えている。

これまで何度も書いてきたが、中高年世代やメディアは百貨店に対して、かつてのようなマス層の家族連れに支持される場所であってほしいと願っている論調に思えることが多いが、それはもう不可能である。

なぜなら、今の百貨店は子供連れが楽しめる場所ではないからである。当方が子供の頃は百貨店にまだ玩具売り場もあったし、店舗によっては本屋もあった。屋上には遊園地みたいなのもあった。

だから母親に無理やり百貨店に連行されても、その辺りで少しは子供も楽しめた。

ところが、2000年前後から百貨店はそれらの売り場を無くした。もちろん、坪効率とか採算性とかを重視したらそのようにせざるを得なくなったということは理解できる。

しかし、今の百貨店は服屋とイキった飲食店しか存在していなくて子供が楽しめる館ではなくなっている。子供が楽しめる館はイオンモールである。玩具売り場・本屋・ゲームセンターがそろっている。子供目線で言うなら、百貨店よりもジョーシンなどの家電量販店の方がまだ楽しめるだろう。そうなると親は百貨店には連れて行かない。

百貨店が今後もファッション客だけで構わないと考えているなら今のファッション特化路線を貫き通せば良いだろう。しかし、本当に「かつてのようなマス層に支持されたい」と考えているのなら、今のファッション特化路線は何の効果も無いばかりか、逆にマス層を遠ざける。

三つ子の魂百までというが、その通りで幼少期に習慣が無い物を愛用させるようにすることはかなり難しい。イオンモールで育った子供はイオンモールやそれに類するショッピングモールに愛着を感じるようになり、百貨店に愛着を感じることは無い。すでに当方のようなジジイとて百貨店に愛着は無いが、総合スーパーにはそこそこある。

テレビ番組も目先の視聴率や広告出稿を重視して、子供向け番組を冷遇し続けた結果、テレビ離れが起きているのと同様に、百貨店も今のファッション特化路線を続ける限りにおいては子連れファミリー客が大量に戻る可能性は極めて低い。子連れファミリー客層はショッピングモールに集中しているから、その子供たちが大人になって愛用するのは百貨店ではなくイオンモールやアピタなどのショッピングモールになるだろう。

百貨店はファッションが強い都心大型店と、一部の郊外店が残るという結末を迎えることになると当方は見ている。

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