
持田剛氏
Image by: FASHIONSNAP
本とアートが交差する新たなカルチャー拠点「NONLECTURE books/arts」が、3月13日に渋谷パルコが運営する渋谷ゼロゲート(ZERO GATE)地下1階にオープンした。
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代表を務めるのは、タワーレコード渋谷店で展開されていた「TOWER BOOKS」のマネジメントや、「代官山 蔦屋書店」準備室での洋書仕入れ、「マーク ジェイコブス(MARC JACOBS)」のブックストア「BOOKMARC 原宿」のディレクションなどを手掛けてきた持田剛氏。開業前日の3月12日にはメディア向けの内覧会が開催され、持田氏が開業の背景やこだわり、見どころについて語った。
目指したのは書店でもギャラリーでもない自由な空間

屋号の「NONLECTURE」は、アメリカの詩人E.E.カミングス(Edward Estlin Cummings)が1950年代にハーバード大学で行った詩学講義をまとめた書籍「i: six nonlectures」に由来。詩の形式にとらわれず、自由な言葉遊びによって作品を生み出してきたカミングスの姿勢に倣い、「書店でもギャラリーでもない、訪れた人がどのように過ごすかを選択できる自由な空間を目指した」という。
こうした空間づくりの発想に影響を与えたのが、建築家・青木淳の著書「原っぱと遊園地」だ。同書で語られる「日本の商業施設は遊園地的で、遊び方が限定されている」という指摘に共感し、漫画「ドラえもん」に登場する“原っぱ”のような空間を思い描いたという。「作中の原っぱには土管があり、のび太が友だちと遊んでいたり、ジャイアンがリサイタルを開いたりと、誰もが思い思いに過ごしている。そんな自由な場所をつくりたかったのです」と同氏は振り返る。こうして持田氏の目指した“自由な場所”は、空間の至る所に散りばめられている。
世界のアートブックが並ぶ本棚


エントランス左手には、世界各国の出版社の新刊情報をもとに持田氏が厳選した雑誌やアートブック、ヴィンテージブックなど約1500冊が並ぶ。ラインナップは時期によって入れ替わり、現在はフランス発のインディペンデントマガジン「パープル(PURPLE)」、ドイツ発のカルチャーマガジン「ゼロスリーツーシー(032c)」、スペイン発のインテリア誌「アパートメント(Apartamento)」などの人気雑誌に加え、映画監督ソフィア・コッポラ(Sofia Coppola)の「ARCHIVE by Sofia Coppola」、写真家リチャード・カーン(Richard Kern)の「Richard Kern Polaroids」、映画監督兼写真家ラリー・クラーク(Larry Clark)の「CALLED HOME by Larry Clark」など、世界のクリエイティブシーンを牽引する書籍が揃う。
NONLECTURE books/artsは渋谷という立地でありながら、コミックやアニメ関連の書籍はあえてほとんど扱っていない。その理由について持田氏は、「渋谷にはマンダラケさんやヴィレッジヴァンガードさんのように、そうしたコンテンツが充実した店がすでにあります。だからこそ僕らは同じ方向に向かうのではなく、アートブックを軸にした店としての役割を担うことを選びました」と説明する。さらに、「ここまで厳選されたアートブックがまとまって並ぶ店は、日本に多くはありません。世界中で購入できる本ではありますが、この場所ならではの選書として提案することで、日本に来た人が立ち寄りたくなる場所になれば」と続け、インバウンド需要の取り込みにも期待を寄せた。
訪れるたびに変わる展示空間





エキシビションスペース
中央壁面にはギャラリースペースを設け、展示やポップアップを常時開催。オープニングでは、イラストレーター兼アートディレクターのジェリー鵜飼による個展「ZEN HIKER」と、海外直輸入ポスターを扱うショップ「SOONER OR LATER」の企画を展開している。展示は定期的に入れ替え、訪れるたびに新たな発見や偶然の出会いが生まれる場を目指すという。
また、展示スペースに隣接するエリアでは、NONLECTURE books/artsが制作・キュレーションしたアパレルや雑貨をラインナップ。「ダブルタップス(WTAPS)」ディレクターの西山徹氏が手掛けるウェブメディア「スタンプ(Stump)」のアパレルなど、持田氏とゆかりのあるクリエイターやブランドのアイテムが並ぶ。アイテムは今後さらに拡充していくという。
ゴールドウインと協業した「Goldwin Room」



エキシビションスペース
店内奥には、アウトドア・スポーツアパレルメーカーのゴールドウイン(Goldwin)の価値観や視点を本やアートで表現した「ゴールドウイン ルーム(Goldwin Room)」を設置。ゴールドウインは同ストアの協賛企業でもあり、この協業は持田氏が同社へ企画を持ち込んだことをきっかけに実現したという。持田氏は同社に惹かれた理由について、「地球規模の環境や視点を大切にしながら、アートやファッションにも手を伸ばしている、その普遍性や懐の深さに魅力を感じました」と説明。ブランド哲学への共感が協業の背景にあったという。
ゴールドウイン ルームに設けられた選書棚には、自然・素材・身体・思想を横断する写真集やエッセイ、思想書、実践的ガイドなど約100冊が並ぶ。いずれもゴールドウインのブランド哲学を手がかりに、持田氏が選書している。また同空間では、ゴールドウインが大切にしている価値観やものづくりの思想に触れることができる展示も用意。「自然との距離」や「日本の美意識」などをテーマに、年間を通じてさまざまな企画を実施する。
第1弾は、写真家の柏田テツヲによる写真展「Boundary」。原生林や荒野を単なる風景としてではなく、開発によって変容してきた地形や、かつて先住民が大切にしてきた場所など、人と自然の関わりが積み重なった風景として捉え直す同氏の作品を、“境界”という視点で再構成して紹介する。
本とアートに囲まれた角打ちカウンター

Image by: ノンレクチャー
エントランスに位置するカウンターでは、本やアートを眺めながら角打ちのように楽しめるドリンクを提供。フードスタイリストの米田真希子が主宰するkokilikoがセレクトしたナチュラルワインやクラフトビールのほか、下北沢の万珍酒店から仕入れたテキーラやメスカル、祐天寺のコーヒースタンド「スニート(Sniite)のコーヒー豆を使ったコーヒーなどを販売する。
今後は、トークイベントやDJイベント、ミニライブなども定期的に開催予定。持田氏は「場の役割を固定した場所ではなく、いろいろな企画が交差する場所にしたい。これから4月になり、渋谷に新たな顔ぶれが集まる季節。さまざまな形で、さまざまなバックグラウンドを持つ人々が集まる場を目指していきます」と展望を語った。
最終更新日:
■NONLECTURE books/arts powered by Goldwin
オープン日:2026年3月13日(金)
所在地:東京都渋谷区宇田川町16-9 渋谷ZERO GATE B1
営業時間:11:00〜21:00
店舗面積:120平方メートル
公式サイト
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