
アイウェアブランド「ジンズ(JINS)」の初のグローバル旗艦店「JINS銀座店」が、3月28日にオープンする。オープンに先駆け、メディアと一部関係者向けに全貌を公開。ジンズの創業者である田中仁会長と田中亮社長が取材に応じ、店舗設計を手掛けた建築家の藤本壮介と店内に常設される彫刻作品の作者である彫刻家の名和晃平、田中仁会長が登壇したトークイベントでは、それぞれの立場から店舗づくりに込めた想いやエピソードが語られた。
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左:田中仁会長、右:田中亮社長
目次
銀座の街で目を惹く“和菓子”のようなファサード
同店は、名だたるブランドの旗艦店が並ぶ銀座・中央通り、銀座3丁目交差点の一角に誕生。近代日本建築の巨匠 アントニン・レーモンド(Antonin Raymond)が手掛けたことで知られる歴史的建築・教文館ビル内で、田中仁会長が10年以上前から「銀座に出店するならこの場所が良い」と語っていた念願の区画だったという。ラグジュアリーブランドや外資系ブランドが並ぶ同エリアに、カジュアルアイウェアブランドであるジンズが出店するハードルは高かったという。同テナントが空くかもしれないという話を耳にした仁会長は、アントニン・レーモンドの弟子で前川國男の弟子にあたる建築家 横内敏人に前橋の自邸の設計を依頼した過去がある縁など、同エリアへの熱い想いをまとめた冊子とともに教文館の森岡新社長と交渉を重ね、出店が実現したという。
ジンズ初&唯一の「グローバル旗艦店」として位置付ける同店は、ジンズが掲げる「世界No.1のアイウェアブランド」を実現するための重要な拠点。訪日客が「最高品質の日本製品」を求めて訪れる銀座の一等地に、ブランドの哲学を反映した店舗を出店することで、ジンズが「国産の最高品質のメガネを提供できるブランドである」ことを国内外に向けて発信していきたい考えだ。

店舗外観
Image by: ジンズ
銀座から日本ブランドとしてジンズを打ち出していくにあたり、立ち返ったのは「日本」というブランドのルーツ。シャープかつミニマルなイメージではなく、和菓子のような柔らかさの中に感じる“日本らしさ”に着目した。丸みを帯びたホワイトのファサードは、ミラーの破片を練り込んだ漆喰を佐官職人が手作業で磨き上げることで表現した象嵌のような独特の輝きを持つ。手作業によって実現した目地のないシームレスなファサードは、工業的で直線的な店舗が並ぶ銀座の街並みで存在感を放つ。

曲線的な外観とは対照的に、店内は直線的な木製の什器で重厚感や静謐な雰囲気を演出している。同社が開発した多言語対応のジンズAIパネルを配置し、新機能「レンズ診断(1分間でおすすめのレンズをレコメンドする機能)」を本格導入。幅広い客層が感覚的に買い物を楽しめるシステムを設計し、創業者田中仁会長のデザインフィロソフィーとグローバル戦略を推進する田中亮社長の多角的な視点が融合した店舗となった。

什器には試着したメガネを元あった位置に戻しやすいガイドが敷かれている。
鯖江の技術を注ぎ込んだ銀座店限定商品
店舗正面の什器では、銀座店限定のハイエンドコレクションを紹介。オープンに合わせて発売するのは、鯖江の熟練の職人でなければ実現できない技術を存分に注ぎ込んで開発したチタン、アセテート、セルロイド各2型3色。価格はチタンが8万8000円、アセテートとセルロイドが9万9000円で、各種数十本限定で用意する。ジンズの通常アイテムの数倍の価格ではあるが、ヒンジからネジのひとつひとつまで同モデル専用にオリジナルで開発するなど、既存モデルとは異なる手の込んだ仕様。「原価のことを考えずに最高のものを作ろうと考えて作りました。ジンズとしては高額ですが、他社ではこの価格は実現できないと思います」と仁会長も自信をのぞかせる。セルロイドフレームは、限られた職人しか作ることのできない芯なし仕様によって高い透明感を実現。カシメピンには10金を採用した。アセテートフレームは2枚の生地を貼り合わせ、かけるとネジが外から見えない構造が特徴。チタンフレームは、戦後銀座に集った文化人を思わせるレトロなデザインに仕上げた。いずれも店舗のコンセプトである「縁(えにし)」から着想を得た、枯山水の「砂紋」をモチーフにした模様が彫りなどで表現されている。












田中仁会長が着用しているのは銀座店限定チタンフレームのラウンドタイプをクリアレンズに交換したもの
世界に向けて「一番最高の形でブランドを表現した店を作ること」を目指したという同店。同時に、重視したのは「普通のジンズの良さ」を見せることだという。限定アイテム以外は通常店舗と同様に、ジンズが強みとするグローバルで共通の定番商品をラインナップ。「銀座だからといって変わったことをするのではなく、コアを徹底して伝えることで、“素のままのジンズ”が世界に通用することを世界の方々に理解してもらいたい」と亮社長は語る。

田中亮社長が着用しているのは銀座店限定チタンフレームのウェリントンタイプをクリアレンズに交換したもの
「売上だけが旗艦店の目的ではない」商品のない地下フロア
検眼フロアと商品陳列フロアが分かれており、検眼フロアには商品が置かれていないという大胆な空間表現も同店の特徴の一つ。検眼スペースを備える地下フロアは、あえてレーモンド時代の構造を活かした現しで仕上げ、街や建物のルーツとブランドを接続させるイメージを表現した。検眼フロアと逆側の壁面には、完成したメガネを無人で受け取ることができるロッカーを備える。

同フロアには、無料で観覧可能なアートギャラリーを併設。第1弾としては、4月24日まで華道家元池坊次期家元 池坊専好が手掛けた生花を展示している。今後は、日本のアーティストによる工芸作品を中心とした展示を不定期で開催する。

同店が揃えるSKU数は約700。高額の賃料がかかる銀座の一等地で、2フロアのうち1フロアに商品を置かないという余白の美を追求するという判断に驚いたという藤本だが「(「田中仁財団」を通じて地域に貢献し、地元群馬・前橋のまちづくりに関わっている)田中さんだからこそ、店を通してどのように銀座を盛り上げていけるか、という視点を持っていて、銀座に対する深いリスペクトがあるからこそできた勇気ある決断だと思います。お店でありながら“都市的”な空間になりました」と話す。
仁会長は「旗艦店は売上を取ることだけが目的ではない」とコメント。 仁会長が昨年秋に知り合ったあるアーティストが、現代美術家ヨーゼフ・ボイス(Joseph Beuys)から「ルーツのないものは、例え売れたとしても意味はない」という言葉をかけられたというエピソードからも影響を受けたとし、日本というルーツやブランドの世界観を重視することが結果的にブランドを表現することにつながると判断したという。

受け取りロッカー

検眼スペース
名和晃平のアートが吹き抜けに、「縁」が生んだ店舗空間
1階と地下1階を繋ぐ吹き抜け空間には、大阪・関西万博のゲート前に展示されたアーティスト 名和晃平の高さ5mの彫刻作品「Snow-Deer」を常設展示。同作は元々名和と親交のあった仁会長が出資したことで制作が実現し、同氏がオーナー権を所有していたことから、同店への設置が決まった。同作の設置が決定してから、急遽内装を変更し、同作に合わせた吹き抜け空間や階段が設計されたという。



高さ5mの同作は、1階からは鹿の角の部分のみが、地下からは足元のみが見える。名和は「ミュージアムでもあまりない珍しい鑑賞体験になった」とコメント。「店作りや都市に対する新しいテーゼになるような店舗だと思います。日本のアート業界や建築業界にはまだまだ可能性があり、アートや建築を通して日本をもっと楽しくしていけるとこのプロジェクトを通じて実感しました」と語った。

名和の作品やアートギャラリーなど、店内で展開される「パブリックアート」は、ジンズが掲げる「Magnify Life」というヴィジョンを体現するもの。「視る」ことを助けるアイウェアを通して、顧客の世界を広げたいという考えに基づき、アートによって「世界の見え方が変わるような体験」を提供していく。

左から:藤本壮介、田中仁会長、名和晃平
ユニフォームはCFCLが制作
同店限定のスタッフユニフォームであるグレーのロングジャケットは、デザイナーの高橋悠介が手掛ける「シーエフシーエル(CFCL)」が制作。ジンズが銀座店にかける想いや「縁(えにし)」という同店のコンセプトを踏まえ、医療機器として求められる信頼性とジンズが持つ親しみのバランスを考慮し、空間の色調とマッチするグレーカラーを採用した。背面にはジンズのロゴにも含まれている「!」があしらわれ、CFCLならではのニット素材が温かみを感じさせる。銀座から日本発のアイウェアブランドとして世界へ発信していくにあたり、日本発の若手ブランドとして高いサステナビリティを掲げて世界で活躍するCFCLの価値観に共感したことから起用に至った。

運動量の多いスタッフの利便性を考慮した、大きな胸ポケットと足捌きをよくするスリットが特徴。
ジンズは今年4月、新宿に世界最大の旗艦店のオープンを控える。「世界の中でここにしかないもの」を打ち出す銀座店と、コンタクトやウェアラブルデバイス、カフェなど幅広い事業「すべてがある」新宿店を通して、国内外での日本ブランドとしての立ち位置を確立し、グローバル戦略をさらに飛躍させる。
最終更新日:
◾️JINS銀座店
オープン日:2026年3月28日(土)
所在地:東京都中央区銀座4-5-1
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