「ベストバイ」がTikTok Shopに公式ストアを開設 1万品目をラインナップ

ベストバイのティックトック・ショップの画面イメージ。10月下旬から約1万品目を展開し、クリエイターの実演動画からアプリを離れず購入できる仕組みを整える。配送はベストバイが担い、対象商品の店舗返品にも対応する。「動画で欲しくなる」と「安心して買える」をつなぎ、スマホの中に家電売場を広げる。

ベストバイのティックトック・ショップの画面イメージ。10月下旬から約1万品目を展開し、クリエイターの実演動画からアプリを離れず購入できる仕組みを整える。配送はベストバイが担い、対象商品の店舗返品にも対応する。「動画で欲しくなる」と「安心して買える」をつなぎ、スマホの中に家電売場を広げる。

ベストバイのティックトック・ショップの画面イメージ。10月下旬から約1万品目を展開し、クリエイターの実演動画からアプリを離れず購入できる仕組みを整える。配送はベストバイが担い、対象商品の店舗返品にも対応する。「動画で欲しくなる」と「安心して買える」をつなぎ、スマホの中に家電売場を広げる。

家電の巨人が動画の中に店を出す
ベストバイが10月下旬、ティックトック・ショップ(TikTok Shop)に公式ストアを開設する。
ヘッドホン、カメラ、小型家電、ノートPCなど約1万品目を、アプリから一歩も出ずに買えるようにするのだ。
スマートリングのオーラ(Oura)、ボーズ、ダイソン、マイクロソフトなどの人気ブランドが並び、配送はベストバイが担う。
当ブログで前回、ティックトック・ショップが米国オンライン小売支出の約2%を握り、コストコやターゲットを抜いたと書いた。
その「動画の中の売場」に、北米1,000店超の家電チェーンが本格参戦するのが今回の続編である。
返品は近所の店へ
購入の入口は、クリエイターのショッピング動画、ベストバイのショップページ、ショップタブ、アプリ内の商品ページの4つだ。
注目は返品である。対象商品はベストバイの店舗へ直接持ち込めるうえ、郵送にも対応する。
動画の勢いで買った高額ガジェットが合わなくても、近所の店で返せる。衝動買いの最大の不安を、リアル店舗が引き受けるのだ。
クリエイターが販売員になる
仕掛けの核心は、2025年4月に始めたベストバイ・クリエイター(Best Buy Creator)プログラムとの連動だ。
フォロワー数を問わず参加でき、推し商品を集めたストアフロントをつくり、紹介した売上から上限なしの手数料を得られる。
EC担当副社長のジョナサン・グリア(Jonathan Greer)氏は、SNSは購買に影響するだけでなく、商品の見つけ方そのものを形づくっていると語る。
その発信がティックトック内で完結すれば、クリエイターは「店の外で働く販売員」になる。
コメント欄に並ぶ他の視聴者の声が、その場で口コミの裏付けになる点も、従来のECにはない強みだ。
広告主にはアフィリエイトと計測
リテールメディアのベストバイ・アズ(Best Buy Ads)の広告主は、クリエイター動画を自社キャンペーンに使える。
ショッピング可能な動画とアフィリエイトリンクで購入までの最短路を引き、有料広告で配信をさらに広げる。
成果はベストバイのファーストパーティーデータと計測に結びつき、どのクリエイター、どの動画、どの商品が売れたかが見える。
メーカーにとっては、販促費、広告費、インフルエンサー費が1本の財布にまとまるのだ。
ティックトックは「若者のアマゾン」へ
ティックトック側も路線を変えている。
1月に報じられたプロジェクト・ホライズン(Project Horizon)では、他のモールで年1,000万ドル(16億円)を売るブランドを誘致した代理店に報奨金を出している。
7月には月6~15ドル(960~2,400円)の有料会員制度ティックトック・ショップ・プラス(TikTok Shop Plus)を導入し、送料無料や会員割引を付けた。
9月19日にはセフォラ(Sephora)が試験出店し、3月にはアルタ・ビューティー(Ulta Beauty)も参入済みだ。
イーマーケター(eMarketer)は、2026年の米国EC売上高を234億1,000万ドル(3兆7,456億円)と予測する。
格安品の投げ売り市場から、大手が並ぶ本流のマーケットプレイスへ脱皮しつつあるのだ。
新型iPad miniは「開封の瞬間」が売場になる
では、アップルの次世代製品で何が起こりうるか。ここからは、ベストバイが取り扱った場合の仮定である。
ブルームバーグは、有機EL画面を積む新型iPad miniが10月末までに出ると報じ、リークされたコードはA20 Proチップ搭載を示す。
発売日にクリエイターが有機ELの黒の深さや新スピーカーを実演し、視聴者はその動画からすぐ購入できる。
在庫や店舗受け取りの可否まで画面で分かれば、「どこで売っているか探す手間」が消える。
スマートホームは30秒の実演が効く
アップルは10月13日に、6インチ画面のスマートホームハブや新型HomePod miniを発表すると伝えられる。
声での操作や、話しかけた家族を見分けて表示を変える機能は、スペック表より年配女性がキッチンで使う30秒の動画のほうが伝わる。
照明や鍵などの対応機器をまとめ買いし、設定に迷えば店のスタッフに相談できるのもベストバイならではの利点だ。
スマートグラスとVision Proは試着へ導く
アップルは2027年の発売に向けてスマートグラスを開発中とされ、Vision Proも部品の外部ユニット化を含む刷新案を検討中と報じられた。
顔に着ける機器は、似合うか、重くないかが購入の壁になる。
動画で装着感を見て興味を持ち、近くの店で試着し、アプリで買う。ネットで欲しくなり、店で確信する導線を、ベストバイは1社で用意できる。
日本の家電量販店はどこまで来たか
日本では2025年6月にティックトック・ショップが始まり、ヨドバシカメラが同年11月に公式「ヨドバシストア」を開設した。
ヨドバシは自社ライブスタジオを設け、メーカー商品のライブ配信やショート動画を自社制作する体制を整えた。
ビックカメラは2026年3月、池袋西口IT tower店で出店し、売場に立つ専門販売員がライブで商品を紹介する。
ヤマダデンキはホスト風コールで洗濯機を売る「裏垢」動画で話題を集め、販売員のSNS経由のEC売上を評価する仕組みも持つ。
ノジマは「メーカー派遣のいない家電専門店」を掲げてお得情報を発信し、エディオンも公式アカウントで家電の豆知識を届ける。
ただし日本勢は店舗や自社スタッフ発の配信が中心だ。外部クリエイターへの成果報酬と広告計測を全社で束ねたベストバイとは、設計思想が異なる。
ベストバイが本当に手に入れるもの
ベストバイにとってティックトックは、新しい販路の1つにとどまらない。
クリエイターを販売員に、広告主を棚の借り手に、店舗を返品と試着の拠点に変え、動画で生まれた「欲しい」を自社データで捕まえる仕組みである。
家電量販店の価値は、売場の広さから、動画で生まれた「欲しい」の続きを引き受ける力へと移り始めたのだ。
本日のレート1ドル=160円。

アップルが10月23日に発売する折りたたみスマートフォン「アイフォン・デュオ(iPhone Duo)」。左右に大きく開くディスプレイは、単なる動画視聴にとどまらず、複雑な店舗アプリやマップ、電子棚札の案内画面を同時に確認する際にも絶大な威力を発揮すると筆者は期待している。こうした革新的な次世代ハードウェアこそ、スペック表を眺めるだけの旧来のネット通販ではなく、信頼できるクリエイターが実際の操作感や画面の広さを動画で熱演するソーシャルコマースによって、最大の購買意欲が引き出されることになるのだ。
⇒こんにちは!アメリカン流通コンサルタントの後藤文俊です!
私が興味を持っているのが、折りたたみスマートフォンの「iPhone Duo」です。
開くと画面が広がれば、流通DXワークショップ研修で参加者にアプリを見せやすくなる可能性があるからです。
注目しているのは新しさよりも、皆さんが画面をのぞき込む際の使い勝手です。
仮に、ベストバイのTikTokでクリエイターの実演動画を見たとします。
ウォルマートアプリを開いた画面がiPhone Pro Maxより一回り広く、テーブルを囲む参加者全員が商品画像や在庫表示まで読み取れる様子に納得したとしましょう。
開いたiPhone Duoは、ポケットに入るホワイトボードかもしれません。その場で購入し、届いた実機が合わなければ近所のベストバイに返品もできます。
これがエントリー記事の要点です。ベストバイはTikTok Shopに約1万品目で出店し、クリエイターを販売員に、広告主には計測付きのアフィリエイトを、店舗には返品と試着の役割を与えます。
日本の家電量販店も配信に力を入れていますが、外部クリエイターと広告計測まで束ねた設計はこれからです。
研修でiPhone Duoを開いた途端、参加者から「それ、どこで買えますか?」と質問が相次げば、講師の私はいつの間にかベストバイ・クリエイターとして手数料をこっそり稼いでいるかもしれません(笑)。
最終更新日:
ADVERTISING
PAST ARTICLES











