【ベルリン展示会レポ】縮小するブレッド&バターと、勢いを増す8つの合同展

ベルリンで開催された各種の合同展
ベルリンで開催された各種の合同展
Image by: Masahiro Kubo

 ベルリンファッションウイークに合わせて9つの合同展が開催された。ここ数年「ブレッド&バター ベルリン(BBB)」の隆盛に引っ張られる形で、存在感を増していたベルリンだが、昨年7月展直後に「BBB」がバルセロナへの移転を表明し、その後8月になって、一転してベルリンに残ることを発表した。だが「時すでに遅し」で、出展者が他の展示会に流れてしまったことにより、昨年12月には今年の1月展を中止すると発表。しかし、また一転して1月に急遽、B2Cも含めた小さな合同展を市内で開催。その後6月にドイツの大手ファッションECサイト「ツァランド(ZALANDO)」に買収され、この7月に従来の広大な会場、テンペルホーフ空港に戻って復活することになっていた。 待っていたのは、「BBB」の悲しい現実とその出展者を取り込み、それぞれの道を歩み始めた各展の新たな動きの数々だった。(取材・写真・文:ファッションジャーナリスト 久保雅裕)

■BBBは2割に縮小し、新展示会が立ち上がる

 7月7~9日の会期で開かれたのが、大規模見本市の「パノラマ(PANORAMA)」、中堅レディスプレタポルテが中心の「ショー&オーダー(SHOW & ORDER)」、そして「BBB」。1日ずれてスタートした8~10日の会期で開かれたのが、大型総合展の「プレミアム(PREMIUM)」、プレミアムと同じ主催者でコンテンポラリーカジュアルの「シーク(SEEK)」、スポーツ系の「ブライト(BRIGHT)」、デニム系新合同展の「セルビッチ ラン(SELVEDGE RUN)」、そしてメッセフランクフルトが主催するエコ・ナチュラル系の「エシカルファッションショー(ethical fashion show)」と「グリーンショールーム(green showroom)」だ。

 出展者数でみると「プレミアム」が約700ブランド、「パノラマ」が約660ブランドと群を抜いており、中型の特色を出した合同展では、「シーク」が約250ブランド、「ブライト」が約200ブランド、「ショー&オーダー」が約250ブランドとそれぞれ規模を少しずつ拡大してきている。

 一方、最盛期は600ブランド以上あった「BBB」は約140ブランドで、スペースともに20%程度まで縮小してしまった。通路も広く、閑散とした状況だ。「BBB」と同会場には、別の主催者が運営する初の子供服展「クッキーズ(COOKIES)」約80ブランドが立ち上がっていた。

berlin_16ss_ex_01_01.jpg出店数が大幅に減少した「BBB」

berlin_16ss_ex_10_02.jpg初の子供服展「クッキーズ」

 「エシカルファッションショー」と「グリーンショールーム」は、同会場でそれぞれ約80と約30ブランドの出展で規模感に変化は無さそうだ。こちらは「BBB」と出展者がテイスト的に重ならなかった点からメリットは無かったとみられる。

 また新たに郊外の廃工場跡地のホールで立ち上げられた新展示会、「セルビッチ ラン」が注目株だ。「BBB」のロックエリアに出展していた先進国のヘリテージ感のある本物志向の約50ブランドを集めた。

 またブランドが自主的にショールームを組織する道を選んだ者もある。「ロードランナーズパラダイス(ROADRUNNERS PARADICE)」は、ファッションスポットのミッテ地区に近いエリアのバーを会場に、エージェントやブランドが集まって、濃厚な関係と雰囲気作りに腐心していた。

■BBBの受け皿は、シーク、セルビッチ ラン、ロードランナーズ パラダイス

 「BBB」は、いつものように空港のチェックインカウンターを受付にしていたが、かつての賑わいは無く、ホールも南側の2ホールを使用しているだけだった。ブースをバー風に作り込んだ「ロンズデール」や「ジャンクデラックス」「ジョン スメドレー」などが出展しており、日本からは「ジャパンブルー」が「BBB」と「セルビッチ ラン」両方にブランドを分けて出展していた。「ジャパンブルー」によれば「南米やアフリカ、ロシアといった地域から来場するバイヤーが目立った」という。

berlin_16ss_ex_01_02.jpgBBBに出展したジャパンブルー(左)とロンズデール(右)

 プレミアム傘下の「シーク」は、ヘルシー感のあるコンテンポラリーカジュアルスタイルを提案し、集客にも成功している模様だ。「アルモー リュクス」「リーバイス」「ライル&スコット」「ボックスフレッシュ」「YMC」「ペンフィールド」「レッドウイング」「ゴーラ クラシックス」「オリジナル ペンギン」「ハッピーソックス」などが出展しており、日本からも「ビッグジョン」「エドウィン」「ポーター ヨシダ」「FDMTL」などが出展。ビッグジョンは「価格レンジが広く、高いと指摘されることもあるが、パリに来ないスカンジナビアやオーストリア、ドイツ語圏から来場の多い点がメリット」と初出展した。

berlin_16ss_ex_02_01.jpg

「シーク」会場

berlin_16ss_ex_02_02.jpg「シーク」内のビッグジョン(左)FDMTL(右)

 新たな合同展として立ち上がった「セルビッチ ラン」の主催者、アンドレアス ベッカーCEOは、ベルリンで3つのホテルを経営している実業家だ。米国、英国、イタリア、日本など長い歴史のある物作りの本場で、丁寧にハンドメイドされた商品、ブランドをリスペクトして集めたもので、「BBBロックエリアのスピリットをキープした展示会」というコンセプトで立ち上げた。「最初はリスキーだったので、このような郊外で開いたが、次回はミッテ地区へ移して80~100ブランドで開きたい」と抱負を語った。

berlin_16ss_ex_03_01.jpg「セルビッチ ラン」を主催するアンドレアス ベッカーCEO(右)

 岡山のデニムをサンフランシスコの古い縫製工場で仕立てる「3シックスティーン」や「チペワ」「ツェハ」などが出展しており、日本からは5ブランドが出展した。「ピュアブルージャパン」は「すぐに数字にはつながらないが、次回に期待したい」、「ジャパンブルー」は「知人が連れて来てくれて、意外にも新規が数件取れた。次回も維持していきたい」と出展に前向きな声が聞かれた。

berlin_16ss_ex_03_02.jpg「セルビッチ ラン」会場内

berlin_16ss_ex_10_01.jpgピュアブルージャパン(左)3シックスティーン(右上)ジャパンブルー(右下)

 「ロードランナーズ パラダイス」では、ビール片手に商談する姿が印象的だ。米国やイタリアを中心に9ブランドを披露。「ジョンソンモータース」や「フィルソン」、「ブルーブランケット」などとともに米国・ポートランド発のシュー&テキスタイルケアオイル製品「オッタ―ワックス」も出展していた。「セルビッチ ラン」と「ロードランナーズ パラダイス」が共同すると強い展示会に発展する可能性がありそうだ。

berlin_16ss_ex_04_01.jpg「ロードランナーズ パラダイス」会場内

次のページは>>合同展の買収劇・・・どうなる!?ベルリン発信のファッション

記事のタグ

最新の関連記事

おすすめ記事

Realtime

現在の人気記事

    次の記事を探す

    Ranking Top 10

    アクセスランキング