世界ブランド勢力地図を読み解く

 「LOUIS VUITTON(ルイ・ヴィトン)」や「Christian Dior(クリスチャン・ディオール)」などのラグジュアリーブランドを持つブランドグループのフランスLVMH(ルイ・ヴィトン・モエ・ヘネシー)グループがイタリアの宝飾ブランド「BVLGARI(ブルガリ)」を買収すると発表した。ブランドビジネスの世界ではLVMHを含む3大グループを軸に、有力ブランドの買収や囲い込みが続く。トップブランドを取り巻くグループの勢力地図を読み解いてみた。

— ADの後に記事が続きます —


LVMH傘下のLOUIS VUITTONとBVLGARI


 ヨーロッパのブランドビジネス界では、もうずいぶん前から有力ブランドのグループ化や奪い合いが続いている。大きく分けて、ヨーロッパのブランドグループにはLVMH、PPR、Richemont(リシュモン)の3大グループがある。


brand-map-lvmh.jpg
 「LOUIS VUITTON」「Christian Dior」と同じLVMH陣営には、「CELINE(セリーヌ)」「FENDI(フェンディ)」「Givenchy(ジバンシィ)」「KENZO(ケンゾー)」「EMILIO PUCCI(エミリオ・プッチ)」「LOEWE(ロエベ)」などの有力ブランドが名を連ねている。

 ファッション以外にも、腕時計の「TAG Heuer(タグ・ホイヤー)」、シャンパーニュの「Dom Perignon(ドン・ペリニヨン)」「Moet & Chandon(モエ・エ・シャンドン)」「Krug(クリュッグ)、ブランデーの「Hennessy(ヘネシー)」などがLVMHグループに属している。意外な所ではハワイやグアムでのショッピングでおなじみの免税品店「Duty Free Shoppers(DFS)」もLVMH傘下だ。

 ニューヨークコレクションで不動のトレンドセッターとなっている「MARC JACOBS(マーク ジェイコブス)」もLVMH傘下。創業デザイナーのマーク・ジェイコブス氏は「LOUIS VUITTON」のクリエイティブディレクターも兼ねている。


 もう一方の有力グループがフランスの流通コングロマリット(複合企業群)、PPR。brand-map-ppr.jpg
こちらには「GUCCI(グッチ)」「Yves Saint Laurent(イヴ・サンローラン)」「BOTTEGA VENETA(ボッテガ・ヴェネタ)」「Stella McCartney(ステラ マッカートニー)」「BALENCIAGA(バレンシアガ)」などのファッションブランドが傘下に属している。靴の「Sergio Rossi(セルジオ ロッシ)」、スポーツ用品の「PUMA(プーマ)」、宝飾品の「BOUCHERON(ブシュロン)」もPPR傘下にある。


brand-map-richemont.jpg 3大グループの残る1つ、リシュモンにはファッションの「Chloe(クロエ)」や「Alfred Dunhill(ダンヒル)」、ジュエラー「Cartier(カルティエ)」、時計の「Vacheron Constantin(ヴァシュロン・コンスタンタン)」「Jaeger-LeCoultre(ジャガー・ルクルト)」「Baume et Mercier(ボーム&メルシエ)」「International Watch Company(インターナショナル・ウォッチ・カンパニー、IWC)「Piaget(ピアジェ)」、筆記具の「Montblanc(モンブラン)」などが傘下に名を連ねている。


 有力ブランドの囲い込みで3グループは競争関係にある。LVMHとPPRが1998年から99年にかけて、「GUCCI」の買収をめぐって激しく争ったことは広く知られる。結局はPPRが勝利を収め、「GUCCI」はPPRの傘下に入った。

 ただ、すべてのブランドが3大グループに属しているわけではない。「CHANEL(シャネル)」も「HERMÈS(エルメス)」もグループに属さない独立系。むしろ大半のブランドは独立系とも言える。


 ファッションビジネスでは国境を越えたブランドの売り買いも珍しくない。日本企業でも「UNIQLO(ユニクロ)」で知られるファーストリテイリングが「Theory(セオリー)」ブランドを傘下に収めている。逆に日本発のブランド「A BATHING APE®(ア ベイシング エイプ®)」を展開するノーウェアは香港系企業に買収された


 ブランドがビジネスを拡大するには、かなりの資金が必要となる。自前で調達するよりも、巨大グループ傘下で支援を受ける方が現実的な場合がある。一方、ブランドグループにとっては成長力のあるブランドを抱え込んで、ブランド展開に厚みを増す戦略を推し進めやすくなるというメリットがある。「HERMÈS」のように新興国で神話の根強いブランドは今後も買収や提携のターゲットになりそうだ。


(文:ファッションジャーナリスト 宮田理江

記事のタグ

最新の関連記事

Realtime

現在の人気記事

    次の記事を探す

    Ranking Top 10

    アクセスランキング