生まれ変わったパリのコンセプトショップCFOC

パリ CFOC店内 Photo by: CFOC

 視覚に飛び込むCFOCの4文字のイタリック体から、威厳あるイメージを受ける。アルファベットには、日本語のように漢字やひらがなが存在しないが、様々なフォントや大文字と小文字を使い分けることで、文字の意味に変化を与えられる。前置きはさておき、今回の本題は、視覚伝達デザインについてではなく、店舗について触れたい。(取材・文 Kaoru URATA)

 そもそも CFOCは、Compagnie Française de l'Orient et de la Chineの略名であり、「東洋と中国のフランス企業」という訳になるが、読者の方々にはちんぷんかんであろう。

フランスでは、1900年初期に富裕層たちが、中国文化から影響を受けた装飾品や商品をシノワズリーと呼び、親しんだ。その時代から、東洋の家具を販売する店舗が、パリ市内のオスマン通りに存在した。フランスでは、当時から東洋への関心があったものの、中国、インドシナに象徴される一部の東洋としか物流がなかったのだろう。そして、輸出用に加工された、地元では誰も興味を持たないような、少々滑稽な商品がフランスで流通されたのであろう。また、現在のように輸出入が簡単ではなかった時代、日本では商社が商いを成立させていたように、フランスでも企業化した組織が、異国から輸入することを可能にした。そういう意味からすると、ネット時代の到来は、見事に商社の存在を覆しているといえよう。さらに、市場はどんどんと変化を遂げている。

 CFOCは、旅を愛した男François Dautresme(フランソワ・ドトゥレム)が、趣味で旅から持ち帰った品々を販売した、60年代に創業した店舗名に遡る。2002年に、他界するまでその名は、生活アートのお手本になる。その後、遺族たちにより営まれたものの、ビジネスは著しくなく、2011年に事業家により買収された。

 2012年9月、オスマン通り 170番地 に、埃をかぶって眠っていたCFOCが目覚め、 パリのインテリア・デザイナーFrançois Schmidt (フランソワ・シュミット)とSarah Lavoine(サラ・ラヴォアンヌ)により、 一挙に払拭された。今回のリニューアルは、創業者から現在のグループ経営者の手に渡ってもなお、古(いにしえ)のイメージかつ看板となるサインを継承しながら、 新しいコンセプトストアを築くことであった。
全面的な内装とインテリアの総工費は、150万ユーロ。地上階と地下には店舗空間と展示空間、そしてレストランが設けられた。
店内は、パリの重厚感ある石造りの建物内にありながら、ウィンドーとなる窓辺から、爽やかな自然光がさしこむ、リゾート感覚にさせてくれる空間である。明るい色調のナラ材が床面や什器に使用されている。

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CFOC 地上階の空間

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地下のホームウェア空間


ここで販売される商品は、テーブルウェアとホームウェアがメインで、ガラス、漆、陶器、陶磁器、刺繍、木工など工芸手法に着眼した内容が豊富である。さらに、新鋭デザイナーに依頼したCFOC限定商品も展開する。内装素材も自然なままを利用して、その効果を狙っている。

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Margaux Kellerの作品:花瓶Tori

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Margaux Kellerの作品:照明器具 chari-vari、ティーセット Wara

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A+A Cooren (Aki et Arnaud Cooren) の作品:テーブルと椅子

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日本のBUNACO商品群

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ポルトガルのブランドのカトラリー


併設されるレストランYokoは、飲食グループが展開しており、韓国人と日本人シェフがメニュー構成に携わっている。朝食、ランチ、ティータイムと時間に応じて、コンチネンタルメニュー、和洋折衷のレシピを提供する。寿司やカリフォルニアロール、そして、抹茶、黒ごまや小豆のデザートも定番になるようだ。

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レストランYoko(photo Kaoru URATA)

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地上階の喫茶コーナーとお茶売り場


オフィス界隈でもある、オスマン通りに位置するだけに、ビジネスマンたちや地元の住民、さらに観光客も難なく集客できるであろう。

趣味からビジネスに転じさせた一人の男の魂が宿る、少し固い表情の看板CFOC。現代社会で、どんな東洋のイメージを現代人と分かち合っていくのか、興味深い。


 www.cfoc.fr

(取材・文 Kaoru URATA)



浦田 薫 - パリ在住ジャーナリスト -
kaoru_urata_m.jpg建築とデザインに情熱を抱き、好奇心の旺盛さに寄り道が多い筆者は、多国籍文化の中で生活する、東京生まれのパリ育ち。デザインコンサルタント、企画プロデュース、翻訳・通訳も並行にしながら、異なる文化や言語の渦中で観察を続ける日々を過ごす。本サイトでは、環境に応じて人間が役割を与えて誕生する、空間、もの、出来事について読者と意見を交換していきたいと思う。