ファッションにおける「ライセンス」の意味は?

三陽商会が展開する「バーバリーロンドン」2014-15年秋冬コレクション Image by FASHIONSNAP
三陽商会が展開する「バーバリーロンドン」2014-15年秋冬コレクション
Image by: FASHIONSNAP

 名の通った欧米ブランドの服がすべて輸入商品とは限らない。日本企業がライセンス契約を結んでアジアで生産している「ライセンス物」の場合も珍しくないからだ。三陽商会と英国バーバリー社とのライセンス契約終了の発表でライセンスビジネスはあらためて話題を集めたが、その成り立ちや仕組みはあまり知られていない。時代の移り変わりとともに変質しつつあるライセンスビジネスの現状は、日本を取り巻くファッション業界の変容も映し出す。(文:ファッションジャーナリスト 宮田理江

— ADの後に記事が続きます —

 英バーバリーは三陽商会とのライセンス契約を打ち切る決断をした。英バーバリーは今後、直営店方式で日本事業を拡大する方針だ。ただ、業界人ではない多くの人にとって、一連の契約見直しがどういう意味を持つのかは、やや分かりにくかったかも知れない。この出来事を理解するには、そもそも「ライセンスビジネス」とは何なのかをつかんでおく必要がある。


■ライセンスって何?

 ファッションビジネスにおけるライセンス事業とは、ざっくり言ってしまえば、いわゆる「ブランド貸し」だ。ある企業が持つブランドを、別の企業が契約を通じて借り受けるような格好で、商品を開発・販売する仕組みを指すことが多い。ブランドを借りる側は売り上げに応じたブランド利用料(ロイヤルティー)を支払う。


 欧米ブランドを日本で展開するような、国境をまたぐケースが多いが、同じ国・地域内でのライセンス契約もあり得る。ただ、一口にライセンス商品と言っても、実は契約や生産・販売の形態は様々で、大づかみに論じるのは難しい。たとえば、服のブランドの場合、ライセンスを受けた先の企業がかなり自由にデザインを起こせるケースもあれば、本家企業の監督が厳しく行き届いていて、デザインの細部にまで注文を付けてくるケースもある。


pringle1815_20140506-001-.jpg

三陽商会が展開するライセンスブランド「PRINGLE 1815」


 なぜライセンスというビジネス形態が利用されるのかと言えば、本家企業にもライセンス先企業にもメリットがあるからだ。別の国・地域で新たな市場を開拓しようとする場合、最初のうちはなかなかブランド認知が進まないので、浸透に時間がかかる。流通慣習や人脈、販路開拓力などの面から考えても、本家企業がゼロから販売網を立ち上げるのは、リスクが大きい。有力な現地企業と手を組んで、ブランドを広めてもらうほうが早く成功する確率が高まる。


 一方、ライセンス先企業は有力なブランドを借り受けて、新たなマーケットを切り開ける。契約形態にもよるが、多くの場合、ライセンス先企業は本家企業から輸入するのではなく、自前で商品を開発・生産できるので、インポート物に比べて割安で商品を調達しやすい。派生商品の開発が認められていれば、さらに市場は広がる。たとえば、本家はドレスしか手掛けていないが、ライセンス先企業がバッグやレッグウエアなどにも手を広げることが許されているケースでは、買い手が限られるドレスに頼らなくても消費者にアピールできる。


 ブランドを定着させるに当たって、ライセンス先企業はオリジナルブランドやサブブランドを用意する。本家ブランドの名前に別の言葉を添えるような形で、もともとのブランドイメージは受け継ぎつつ、微妙に別テイストも重ねるネーミングが選ばれることが多い。本家ブランドとの違いを名前の上で示しておきつつ、本家ブランドのネームバリューを生かす戦略だ。


 次のページは>>三陽商会のライセンス契約を終了する英バーバリーの今

記事のタグ

最新の関連記事

Realtime

現在の人気記事

    次の記事を探す

    Ranking Top 10

    アクセスランキング