コンランが創業した家具チェーン「HABITAT」フランスで再起

HABITAT プレゼンテーション風景 ©Claude Lecante
HABITAT プレゼンテーション風景 ©Claude Lecante
 年明け前に、2013年の「HABITAT(ハビタ)」春・夏コレクションを一足先にのぞいてみよう。  読者の方々も、ご存知のことだろう。フランス、とりわけパリの冬は、グレー色に塗り替えられたような、一言でいえばとても憂鬱な季節である。冬至を過ぎれば、日照時間も日ごとに長くなってくるものの、気まぐれで束の間の陽射しが、とても貴重に感じられる。こんな思いを払拭するかのように、生活雑貨とインテリア商品を展開する「HABITAT」の春・夏コレクションは、明るい気持ちにさせてくれる。(取材・文 Kaoru URATA)
 

 1964年にイギリスで、テレンス・コンランにより創業された「HABITAT」は、「一般大衆に向けた現代デザイン商品の展開」がヒットし、瞬く間に反響を呼ぶ。フランスには、1973年に上陸し、現在国内には27店舗を数える。モナコ、スペイン、ドイツの欧州規模並びにネットショッピングを展開するが、アジア市場には至っていない。これも時間の問題であろう。

 2011年には、企業の再構築がなされて、フランスのグループが買収し、新しい代表者とアート・ディレクターが就任して、新しい幕開けとなった。


■テーマは"青の時間"
 日没前の、太陽が空を染めながら、景色を休憩モードにさせていく一時を、フランス語では«Heure Bleue» (青の時間)という。長い冬から、待ちに待った解放感を味わえる季節の到来である。この"青の時間"は、一日の仕事を終え、夕食前のアペリティフを楽しむ時間でもある。都会では、なかなか地平線の向こうに沈む太陽の姿を目にすることはできないが、ビルの屋上や、坂道で建物と建物の間に沈んで行く太陽を見ると、「今日も、お疲れさまでした」という労いの気持ちを感じずにはいられない。(これは、日本的な感情かもしれないが)

 そんな前置きをスキップして、「HABITAT」の春・夏コレクションは、"青の時間"をテーマに、ブルーとオレンジが基調色である。アート・ディレクションのピエール・ファヴレスは、30代半ばのフランス人デザイナーで、今回が、就任後初めてのコレクションとなり、メディアやバイヤーの関心を集めている。

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都会人が求める、内と外の境界線を持たない家具

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モジュール式の棚

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ローテーブルでありながら、縦にするとソファー脇のマガジンラックとしても使える

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70年代に人気を呼んだ、果物モチーフの皿(復刻版)

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新鋭デザイナーPOOLに依頼した照明器具

■コレクションの見せ方
 新コレクションの発表の場は、重要である。
 毎回、プレスを対象にした1日限りのプレゼンテーションは、店舗で開催されるわけではない。今回のように、16区の閑静な高級住宅街のオスマン建築内、300㎡の アパートが発表の場となった。玄関が開かれると、アパートの奥まで一直線につづく廊下の左右には、ゆったりとした空間が、3m高はある天井の下に迎えてくれる。

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プレゼンテーション風景 ©Claude Lecante

 真っ白な壁面と天井、そして昔ながらのフローリングは、空間に応じて様式が異なる。格式ある空間に、梱包された商品が搬送され、273点の商品が姿を現すような演出を手掛けたのは、外部デザイナーのクロード・ルカントゥである。

「代表者とアート・ディレクターが新たに就任にし、ブランドの新たな門出を表現しました。今回は、格調あるオスマン建築の空間が発表の場でありましたが、ハニカム構造の段ボールやポリスチレンといった安価でニュートラルでありながらも、効果的な素材を取り入れました」とコメントする。

 20個のショッピングバッグで飾られた商品の空間は、観衆が手に取り、商品に触れることができる、人々が集う広場のように構成された。アパートの構造に忠実に、商品を紹介する動線とその手法が、商品への理解を高めた。

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プレゼンテーション風景 ©Claude Lecante

 ブランドの門出は、なかなか好調のようで、プレゼンテーションの会期を延長したそうである。売り上げについては、来年にならないと分からないが、誰もが3月中旬まで"青の時間"を首を長くしながら待っているのは事実である。(取材・文 Kaoru URATA)


■HABITAT公式サイト
 http://www.habitat.fr

■ピエール・ファヴレスのサイト
 http://www.pierrefavresse.com

■クロード・ルカントゥのサイト
 http://claudelecante.fr/claudelecante.fr/ACCUEIL.html



浦田 薫 - パリ在住ジャーナリスト -

kaoru_urata_m.jpg建築とデザインに情熱を抱き、好奇心の旺盛さに寄り道が多い筆者は、多国籍文化の中で生活する、東京生まれのパリ育ち。デザインコンサルタント、企画プロデュース、翻訳・通訳も並行にしながら、異なる文化や言語の渦中で観察を続ける日々を過ごす。本サイトでは、環境に応じて人間が役割を与えて誕生する、空間、もの、出来事について読者と意見を交換していきたいと思う。


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