ADVERTISING

日本発の半世紀ぶりカメラメーカーの誕生秘話、9秒×27回制限の“ローレゾ”カメラ「kyu」が切り拓く新しい思い出の残し方

Image by: kyu

Image by: kyu

Image by: kyu

 スマートフォンが普及し、誰もが簡単に写真や動画を撮れるようになった現代。その気軽さゆえに思い出が「ファストファッション化」してはいないだろうか。そんな問いを立て、カメラデバイス「キュー カメラ(kyu camera、以下kyu)」を開発したのが、創業者の安藤伊織氏と大川優介氏だ。kyuは日本から生まれた半世紀ぶりのカメラメーカーとして、従来のカメラの常識を覆す新しいアプローチで思い出の「残し方」に挑戦している。2024年11月に予約受付を開始し、発売からまだ1年経っていないにもかかわらず、海外のセレブリティらの購入をきっかけにSNS経由での認知が急速に広がっているという。

ADVERTISING

創業者がこだわった「9秒・27回」という制限

 kyu最大の特徴は、9秒間の動画撮影に限定され、1日に27回しか撮影できないという「制限」だ。一見すると不便に思えるこの制約にこそ、ブランドフィロソフィーである「Just Enough is the key(ちょうどいいが鍵)」を体現する工夫だと大川氏は話す。

「過度な装飾や余計な機能は必要ありません。妥協せずに必要十分な要素を見極めてこそ、今その瞬間を本当の意味で楽しめると考えています。『動画を撮る難しさ』は機能の選択肢が多すぎることが原因。つまり『どこからどこを切り取れば良いのか?』と悩んでしまうのです。限られた撮影回数によって、より大切な瞬間を選び、残すという意識が生まれればと願っています」(大川氏)。

 現代のカメラ市場は4K、8K撮影やフレームレート競争など、常に高スペック化を目指す傾向にあるが、kyuはそうした潮流に逆らいあえて画質を落とし、明るさもピントも設定することができない。「10年間、プライベートでも仕事でも撮り続けてきて、見返したくなる思い出と画質の関連性はあまりないと気付きました」と大川氏は語り、同デバイスが高画質を追求するのではなく、「思い出を残す」という本質に集中した設計であることを強調する。

 デザインにおいても「誰もが簡単に思い出を残せる」というコンセプトに基づき、幅広い世代が直感的に使用できるワンボタン設計を採用。タッチ式で丸い1.51インチの有機ELディスプレイとボタンのみが搭載されている。撮影はボタンを押したあとにタッチスクリーンでのズームやセルフィーなどの簡単な操作で完結。複雑な設定に迷うこともない。アルミを削り出して作られたポケットサイズの丸みを帯びたミニマルなデザインは、キヤノン(Canon)で「インスピック レック(iNSPiC REC)」の開発に携わったのちに独立した、プロダクトデザイナーの松浦泰明氏が手掛けている。

シームレスな記録と共有の仕組み

 kyuはカメラデバイスに加えて、専用アプリと「kyu touch」という物理デバイスの3点セットで構成されている。専用アプリは招待制のクローズドなプラットフォームで、撮影した9秒間の動画はアプリ上で自動的に編集され、友人や家族など親しい人とだけ共有できる。専用アプリを招待制にしたのも「効率化された現代における思い出の残し方は人間的な感情を考慮できているのだろうか」という疑問がきっかけだ。「本当に大事な思い出は、やはり直接会う人たちと共有するもの」とその理由について大川氏は説明した。

kyu touch

メモリユニットをスマートフォンに直接接続し、撮影した映像をアプリに転送するという仕組み

 さらに「kyuタッチ」はNFCタグを搭載した物理的なメモリユニットで、スマホをかざすだけでアプリ上から特定の映像を呼び出せる仕組みだ。「デジタルだけではなく物理的に思い浮かべ残すことが従来の写真アルバムでやっていたこと」だと大川氏は説明する。

日本発の半世紀ぶりカメラメーカーの誕生秘話

 kyuを運営するトランスは、大川氏と安藤氏が大学在学中の2018年に創業。当初は映像制作会社として運営していた。その後、「カルティエ(Cartier)」などグローバルブランドの動画広告制作などを手掛けた経験から、映像による思い出の記録と編集の難しさを痛感し、新たなカメラブランドの立ち上げに至ったという。開発には2年半以上の歳月をかけた。

 大川氏によれば、kyuは「日本初の半世紀ぶりのカメラメーカー」と意気込む。

「キヤノンやニコン(Nikon)など、日本発で世界的に影響のあるメーカーがある一方で、近年のカメラスタートアップはInsta360(中国)、GoPro(アメリカ)、DJI(中国)など、日本からはほとんど生まれていません」(大川)

 チームに元キヤノンのプロダクトデザイナーや、元LUMIXの開発担当者を迎え、日本の物づくりの意思を受け継ぎ、レガシーや美学を組み込みながらもグローバルで販売していく方針で、日本発の半世紀ぶりのカメラメーカーとしての地位を築こうとしている。

海外からも注目されるユニークな日本発ブランドとしての展望

 kyuの第1弾製造ロットは2000台で2024年11月に予約注文を開始。価格は3万9000円で、現在予約注文を受け付けており、製品の量産体制が整い次第より多くの予約注文にも対応していくという。今後は国内外の展開を強化し、5年以内に1000万台の販売を目指す。

 大川氏は「記録を何回も見返すことでより良い記憶になる」と語る。テクノロジーの進化が必ずしも人間の感情や記憶の質を向上させるわけではない。kyuは日本発のユニークなカメラデバイスとして、思い出を「残す」という行為そのものに新しい価値を見出そうとしている。

最終更新日:

FASHIONSNAP 編集記者

古堅明日香

Asuka Furukata

神奈川県出身。日本大学芸術学部文芸学科を卒業後、広告代理店を経てレコオーランドに入社。国内若手ブランドの発掘のほか、アート・カルチャーを主軸にファッションとの横断を試み、ミュージシャンやクリエイター、俳優、芸人などの取材も積極的に行う。好きなお酒:キルホーマン、白札、赤星/好きな文化:渋谷系/好きな週末:プレミアリーグ、ジャパンラグビー。

ADVERTISING

TAGS

記事のタグ

Image by: kyu

現在の人気記事

NEWS LETTERニュースレター

人気のお買いモノ記事

公式SNSアカウント