変わり続けるために、「まっさら」で居続ける 江口洋介が追求するクリエイター像
presented by LANVIN COLLECTION

Image by: FASHIONSNAP

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変わり続けるために、「まっさら」で居続ける 江口洋介が追求するクリエイター像
presented by LANVIN COLLECTION

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100年前、パリ万博を機に世界的に普及した「アール・デコ」。同博のファッション部門のクリエイティブディレクターを務めたのは、「ランバン(LANVIN)」の創業者 ジャンヌ・ランバンでした。アール・デコの特徴とも言える直線と曲線が織りなす美しいシルエットにロマンティックなディテールを取り入れたLANVINのドレスはジャンヌのデザインの代名詞であると同時に、ジャンヌ自身はアール・デコムーブメントの立役者の1人でもありました。
今回は、アール・デコとジャンヌ、そしてLANVINの間にある100年の絆を辿るべく、俳優でミュージシャンの江口洋介さんが100年の歴史を持つ建造物「横浜市開港記念会館」を訪ねます。ジャンヌのパイオニア精神を受け継ぎながら、新体制の下フレッシュなイメージを打ち出した「LANVIN COLLECTION」の最新コレクションを纏って想い巡らす、普遍的で新しい表現について──。

タイロッケンコート(24万2000円)※10月末発売、モックネックニット(4万6200円)、パンツ(2万9700円)、シューズ(参考商品)
◾️横浜市開港記念会館
アール・ヌーヴォーからアール・デコへとデザインの潮流が変革期を迎えていた約100年前に誕生。横浜開港50周年を記念して1917年に市民の寄付金によって開館した同館は、1923年の関東大震災によって時計塔と壁体だけを残し内部を消失するも、1927年には復旧工事が竣工。創建時と同じ設計スタッフが計画にあたった。内装は大正末期のインテリア空間を残す。平成元年には屋根ドーム部分も復元し、国の重要文化財に指定。外観・内観ともに明治初期から大正時代にかけての普遍的な建築様式を伝えている。
俳優と音楽、切り替えはなくナチュラルな感覚
── 創業者 ジャンヌ・ランバンは、デザイナーとしてだけでなく、経営者としても優れた才能を発揮しました。江口さんも俳優とミュージシャンという二つの領域で長く活躍されていますが、双方のクリエイションを両立する上で大切にしているマインドについて教えてください。
音楽をやる時はギターを持って歌えば自然にその気持ちになりますし、俳優の時は台本があって現場に行けばスタッフがいる。だから、特に切り替えている感覚はないですね。「両立」というような、重々しい感覚で考えてはいないというか。曲が溜まってきたらライブをしたいと行動する、至ってナチュラルな感覚です。
30代の頃はツアーを回りながら俳優の仕事もしていて、リリースに追われたり、「この作品の撮影期間が終わったらツアーだ」というような縛りの中でやってきた経験もあります。でも今はもっと自由に、自分のタイミングを大切にできているというか。重い作品に俳優として集中しなくてはいけない時にも、気分転換に音を出すだけで自分が解放される。そういう行き来ができていると感じています。


ノーカラースエードカーディガン(19万8000円)、レザーグローブ(参考商品)
目の前のこと、今できることをやり切り続ける
── 俳優としての役作りと、ミュージシャンとしてゼロから音楽を作る作業では、アプローチも異なるかと思います。両者に対して共通して持っている価値観はありますか?
俳優も音楽も、型にはあまりはまりたくはない。常に変わっていきたいし、同じことの焼き直しを求められるのは少し苦手ですね。もちろん、時には同じキャラクターを演じ続ける仕事もありますが、常に自分自身も変わっていきたいと考えています。俳優の仕事で言えば、「この役は全然(江口さんの)イメージと違うね」と言われた方が気分がいい。ずっと“自分”に囚われて、自分のイメージを守ろうとはしないようにしています。
例えば俳優なら、時期によって社会派と呼ばれるようなものを続けている時に、急にコメディをやると説得力がなくなるというか。逆にコメディばかりやっている人がストイックな役を演じると、少し怖く見えたりする。そういう変化を自分で楽しみながら、常にまっさらな状態で、同じところにとどまらないようにしています。
── 「まっさらな状態」というと。
新しい音楽を聴くし、新しい服を着て、新しい映画を観る。いろいろなものを吸収して、形骸化したものをどんどん削ぎ落とし、自分の核になるものを研ぎ澄ませながら作り続ける。音楽は特にそうで、頭で考えて「こういうものを作ろう」とコード進行を練って作った曲は、自分の中からふと出てきたメロディーには絶対に敵わない。だってそういったメロディは、自分の一部みたいなものですから。演技も同じで、もちろん作品の全体像を考えながら撮影に臨みますが、相手の出方によってその瞬間にどれだけ変えられるか、その場の爆発力や、周囲の出方を感じ取っていかに瞬発的に対応できるか、といった自分の柔軟な気持ちが一番大事だと思っています。

── ご自身が理想とする「クリエイター像」について教えてください。
常に変わり続けること、「人生という時間の単位の中で、今何をするか」を常に意識することでしょうか。年齢を重ねることで、できるようになることが増える反面、できなくなっていくことも多いと思うので、例えば「40代でできなかったことは50代に決着をつけよう」など、時間を意識しています。
そしてそれはつまり「目の前にあることをやるしかない」ということ。若い俳優たちからもよくアドバイスを求められますが、20代に頑張ったことが30代で生きてくるし、30代でトライしたことが40代を作る。一般的な言い方しかできませんが、それはすごく意識して今までやってきました。俳優もですが、急に思い立ってすぐにできるような仕事は多くない。莫大な時間と、莫大なカットの量を経験してきたからこそ今があります。それはステージの上でも同じ。この感覚自体も、目の前のものに全身全霊で向き合い、経験を重ねてきた今だからこそ得られた感覚だと思います。

柔らかなラムスエードを使用した上質なジャケットは、抜け感のあるノーカラーで軽やかな印象に。トップス、ジャケットボトムス、コートは、自社の染色工場を立ち上げるほど色彩に強い探究心を持っていたジャンヌが愛したと言う深いブルーで統一。LANVINらしさと革新性を兼ね備える今季らしいスタイリングに仕上げた。
── 本日着用されたLANVIN COLLECTIONのアイテムはいかがでしたか?
すごく素材がいいですね。特にパンツは履いていてとても心地よかったです。インナーのブルーやジャケットのネイビーの色合いもすごく良い。上質ながら、どこか柔らかさもあって、すごく心地よい服だと感じました。
── LANVIN COLLECTIONのメンズウェアは、今シーズンから新たなディレクターの下、新たなイメージを打ち出しています。日々新しい表現に挑戦され続けている江口さんですが、“新しい感覚”を日頃どのように取り入れているのか教えてください。
最先端のデジタルグラフィックとアナログなものの両方を常に意識しています。サウンドも然り、映画ではCG技術が活用されているものから、ローバジェットの短編まで。両方が僕たちの世界で言う「エンタメ」です。どちらかに偏ってしまったら、僕の場合は少し刺激が足りなくなる。「わかる奴にだけわかれば良い」と言う態度ではなく、やはりいろいろな人にわかって欲しいし、いろいろな人を楽しませたいという想いがあるからこそ、一つの方向性だけにフォーカスしてしまうと見えなくなる部分がある気がして。色々なカテゴリーを行ったり来たりする感覚は持つようにしています。

── 今回の企画はアール・デコが持つ100年という「時間」についても着目しています。江口さんにとって、「100年後にまで残る仕事」とはどのようなものだと思いますか?
本質的にはずっと「変わっていないもの」が残っているような気がします。1950〜60年代のブルースからロックへ移り変わったアメリカ音楽の焼き直しが今も起きているような気がしますし。何にでも「元」になるものがあって、その元を自分でちゃんと掘り下げて、解釈して、噛み砕いていくと、今と繋がることができる。長く続いているブランドが創業当初の精神を現在に受け継いでいるように、そうした普遍的なものが形を変えながら続いていくんでしょうね。
── 最後に、江口さんが「100年後に残したいもの」があれば教えてください。
特に残したいものはないですね(笑)。自分がやってきたものが、結果として将来に残るのであれば、それは嬉しいですが、何かを残したいという動機で何かを作ったことはないですし、これからも考えないんじゃないかな。今後考えが変わるかもしれませんが、今はまだ視野を広く、いろいろなことに挑戦したいですね。

LANVIN COLLECTION(ランバン コレクション)
時代を超えて受け継がれるジャンヌの哲学を宿したラグジュアリーな素材と洗練されたカッティング、繊細なディテールを特徴とする「LANVIN」のセカンドライン。
「ART DÉCO et LANVIN(アール・デコとランバン)」
アール・デコ100周年を記念し、三菱一号館美術館で開催される「アール・デコとモード 京都服飾文化研究財団(KCI)のコレクションを中心に」展と連動したイベントが開催。“丸の内で体験するアール・デコな3日間”をテーマに、中村圭佑率いるダイケイ・ミルズが企画演出を手掛けた。会場では、LANVIN COLLECTIONのアール・デコ100周年を記念したアイテムを販売するほか、ダイケイ・ミルズのリサーチマテリアルなどの展示を通してアール・デコを学ぶことができるコンテンツを提供する。
期間:2025年10月11日(土)~10月13日(月・祝)
会場:丸ビル1階マルキューブ
所在地:東京都千代田区丸の内2-4-1
営業時間:11:00〜19:00
入場料:無料
<第1回 鈴木京香 × LANVIN COLLECTION>
<第3回 山本美月 × LANVIN en Bleu>
<第4回 マギー&大谷亮平 × LANVIN SPORT>
photography: Yuji Watanabe (Perle management) , styling: Yoshiyuki Shimazu, hair & makeup: Ryuji Nakashima (HAPP'S.) | text & edit: Chikako Hashimoto, casting: Takashi Sasai, project management: Miki Takahashi, direction: Riko Miyake (FASHIONSNAP) | 撮影協力:横浜市開港記念会館
最終更新日:

アール・デコ100周年記念アイテム
Image by: LANVIN COLLECTION

アール・デコ100周年記念アイテム
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アール・デコ100周年記念アイテム
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アール・デコ100周年記念アイテム
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アール・デコ100周年記念アイテム
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アール・デコ100周年記念アイテム
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