メンズトレンドはカジュアルと貴族の二極化<15年春夏 ピッティレポート>

ピッティ・イマージネ・ウオモ 会場中央の広場
ピッティ・イマージネ・ウオモ 会場中央の広場

 6月17日〜20日にかけて開催された世界有数の紳士服見本市「第86回ピッティ・イマージネ・ウオモ」が閉幕した。世界30カ国から1030ものブランドが参加し、世界各国から多数のバイヤー、プレス関係者が来場。展示会とともに様々なイベントが行われ、古都フィレンツェはファッション一色に染まった。(文・写真:ファッションジャーナリスト 増田海治郎)

 期間中にショーを行ったのは「ジー ゼニア」「au jour le jour」「マルセロ ブロン カウンティ オブ ミラン」の3ブランド。マレー・スカロンとポール・サリッジの手による新生ゼニアは、素材という強みを最大限に生かしたモダンなスタイルに変化。「ジー ゼニア」と「ゼニア スポーツ」を融合させたことで、コンテンポラリーでスポーティーな新しいスタイルを提示することに成功している。

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新生「ジー ゼニア」のコレクション。スポーティーなスーツスタイルが新しい。


 「au jour le jour」は、18歳以下の学生のユニフォームや教室の筆記用具からインスパイアされた童心に返るような楽しいコレクション。送迎用のバスやスティック糊、子供っぽいライオンのアップリケが付いたアイテムは、幼児退行的な悪趣味とイタリア流"カワイイ"のギリギリの線をついている。どこか日本の「ミキオサカベ」との類似性を感じさせるクリエーションだ。

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イタリア風"カワイイ"スタイルを提案した「au jour le jour」


 ミラノの若い世代から高い支持を受けている「マルセロ ブロン カウンティ オブ ミラン」は、若手支援プログラムのサポートを受けて初めてショー形式で発表。モトクロスバイクのパフォーマンスとスケートを融合させたブラック&ホワイトのみのストリート色の強いコレクションは、クリエーションやクオリティはまだまだの印象だが、どこか得体の知れないパワーを感じさせる。

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イタリアの若者に大人気の「マルセロ ブロン カウンティ オブ ミラン」


 会場では、「Just like a man」(男らしさ)に焦点を当てた企画の一環として、ピッティにおけるスナップ文化を牽引してきた雑誌「LEON」の出版13年を記念したスナップを展示。前田陽一郎編集長の他、韓国、中国版のスタッフが顔を揃えたパーティーも期間中に開催され、各国の業界人で賑わいを見せた。

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雑誌「LEON」のパーティーのホストを務めた前田陽一郎 LEON編集長(左)とパンツェッタ・ジローラモ(中央)


 今回、同時期開催として「チェントロ・ディ・フィレンツェ・ペーラ・モーダ・イタリアーナ(CFMI)」の創立60周年を記念した特別なプログラム「フィレンツェ・ホーム・タウン・オブ・ファッション」が行われた。フィレンツェで創業した「サルヴァトーレ フェラガモ」「グッチ」「エミリオ・プッチ」「エルマンノ・シェルヴィーノ」の4つのブランドが、フィレンツェにインスパイアされた趣向の凝ったイベントをそれぞれ実施した。


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プッチ色に染まったサン・ジョバンニ洗礼堂

 「エミリオ・プッチ」はサン・ジョバンニ洗礼堂を美しいカラーとグラフィックで装飾し、過去のアーカイブをパーティ会場に陳列。「サルヴァトーレ・フェラガモ」は"平衡"をテーマに、足と土踏まずに焦点を当てた展示を自社ミュージアムで行った。

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足の構造に関する展示を行った「サルヴァトーレ・フェラガモ」。写真は数々の有名人の木型


 ピッティを象徴するクラシコイタリア的なファッションは、2つの異なるスタイルがトレンドとして浮上している。ひとつは、スーツやジャケットをより軽くカジュアルに提案する流れ。「ベルヴェスト」は1960年代にフランスの貴族が発注した夏のビーチリゾートで軽快に羽織れる芯地と裏地なしの1枚仕立てのジャケットを、アップデートして提案。「トネッロ」はシャツ感覚で着られる「Tジャケット」のバリエーションを拡充した。

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「ベルヴェスト」の芯地、裏地なしの1枚仕立てのジャケット


 その一方で、2014秋冬シーズンから増えてきた貴族的でエレガントなスタイルも、さらに勢いを増している。ラペルが極端に太いジャケットや凹凸感のあるジャカードのジャケットが代表的な存在で、一歩間違えばステージ衣装のようにも見えるが、新鋭から老舗まで様々なブランドで提案されている。

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「トネッロ」のフォーマルラインのエレガントなジャケット


 2015年春夏のスーツ、ジャケットスタイルは、カジュアル化と貴族化の両極に注目が集まるシーズンになりそうだ。



増田 海治郎 - ファッションジャーナリスト -
masuda_s_02.jpg 雑誌編集者、繊維業界紙の記者を経て、フリーランスのファッションジャーナリスト/クリエイティブディレクターとして独立。繊維業界紙時代は、大手アパレル、セレクトショップ、ジーンズ、スポーツ、インポーター、109系、専業アパレル、東日本のテキスタイル産地と幅広いジャンルを担当していたが、特に強いのがメンズ、レディースのドメスティックブランド。コレクションブランドはもちろん、知る人ぞ知る展示会ベースのブランドまで、日本のデザイナーの動向を追い続けている。生来の服好きが高じて、2013AWからスタートするメンズのドレスパンツ専業ブランド「MONSIEUR JUPON(ムッシュ ジュポン)」のクリエイティブディレクターも務める。

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