
FASHIONSNAP
年間30回以上山に登る、アルペンアウトドアーズフラッグシップストア新宿店 4Fフロアチーフ・飯村雄希さん監修のもと、テント泊や縦走に挑戦する中〜上級者向けに、軽量性・汎用性・安全性を兼ね備えた戦略的UL(ウルトラライト)装備を解説。登山靴やテント、寝袋といった必須ギアを中心に、20万円で揃える最適解と、実践的なパッキング術・おすすめルートまで網羅した登山ギアガイドです。
目次
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上級登山の鍵“ウルトラライト“とは?装備を揃える前の疑問を解消

FASHIONSNAP(以下、F)
中級から上級にステップアップするにあたって、大きく変わるスタンスはありますか?
「宿泊するための装備」という視点が加わります。選ぶ山によって、日帰りで帰ってこられないので、1泊2日くらいの準備が必要。そのため、テントや寝袋などを用意し、またそれが入るリュックが必要になるパターンも。

アルペンアウトドアーズ飯村さん(以下、飯村さん)

F
上級者が装備選びで重視すること、特に軽量化(UL:ウルトラライト)に対するスタンスについて教えてください。
UL(ウルトラライト)は、元々、自然をもっと身近に感じさせるための取り組みとして始まった考え方です。装備を軽くすることで、自然に対するダメージを減らし、心身ともに軽やかに自然と向き合うという意図がありました。現在は、より軽量な装備で山を登りたいというニーズや、流行りのデザイン性からUL装備を選ぶ方が多い印象です。

飯村さん
アルペンアウトドアーズでは、エントリーのお客様も多いため、安全性も担保したいと考えているので、今回は「軽量性」と「安定性」を両立させたアイテムをピックアップしています。安全性を考えると、ある程度の重さは許容すべきだ、というスタンスですね。

飯村さん

F
数百gの重さの違いで体の負担感は変わりますか?
アタックする山が高度になればなるほど、ほんの少しの重さが大きな差になってきます。本当に軽くするなら、リュックそのものの重さはもちろん、中身も軽くしなければなりません。

飯村さん

F
持っていくもの、持っていかないものはどのように判断するのがいいですか?
アイテムとして「これは削っていい」と一概に言えるものはありません。人それぞれですが、使わないものは持っていっても仕方ないと思います。ただ、テント泊で寒くなる恐れがあるなら、ダウンやフリースなど命に関わる防寒具は削れません。それ以外のもの、例えば食料なども過剰に持っていきがちですが、私は個人的に水なども計算して必要以上に持っていかないようにしています。

飯村さん
持ち物以外の観点で言えば「リュック本体が軽い」など、登山グッズそのものを軽量化する工夫はできると思います。

飯村さん

F
実際に店頭でよく相談を受ける、レベルの高い山を目指す人からの質問はなんですか?
「⚫︎⚫︎山に行くが、このシューズで大丈夫か?」残雪期には「アイゼンは必要か?滑るか?」といった登山靴に関する相談が多いです。

飯村さん
登山上級者は何を持ち歩いている?20万円で買える必須アイテム
本格的な縦走登山やテント泊に挑戦したい登山上級者にとって、装備の軽量化と戦略的なアイテム選びは不可欠です。限られた予算内で必要な道具をどう揃えるか。快適な山行を支えるリュック、テント、テントマット、ミドルレイヤーなど、UL志向と安全性を保った装備の新調や見直しに役立つ、20万円で揃えられるおすすめの登山ギアと選び方のポイントを、飯村さんに聞きました。
求められるのは軽量性とグリップ力「登山靴」

本格的な縦走やテント泊、岩場の多いルートの登山をする上級者にとって、登山靴には一般的なものより過酷な環境や多様な地形に対応できる性能が求められます。特に、長時間の山行や変化に富んだ地形では、軽さ、岩稜に対応できるソールの硬さやグリップ力、足首の可動域が安全性と快適性を左右することに。

飯村さん
「軽さ・剛性・足首の自由度」が鍵。剛性の高いソールや足首のサポート力、耐久性、防水性、そして軽量性のバランスを見極めましょう。
おすすめ登山靴:LA SPORTIVA|トラバース X5 GTX ¥35,200
「スポルティバ(SPORTIVA)」トラバース X5 GTXのおすすめポイント

飯村さん
なんといっても片足重量が530gと軽量なことが魅力です。そして、北アルプスや南アルプスの縦走にも耐える剛性と高いグリップ力を兼ね備えています。足首の自由度を保ちつつ、しっかりとしたサポート力があり、岩場や急斜面でも安定した歩行が可能です。

飯村さん
注目すべきは岩場に対応したソール設計。ブレーキ力が高く、あらゆる足場に対応できます。まさに「どこでも登れる一足」。多くの上級者が信頼を寄せる万能ブーツです。


✅登山靴選びのポイント
- ソールの剛性とグリップ力
- 足首のサポートとフィット感
- 軽量であること
持ち物を減らす前にギアそのものを軽くすべし「リュック」

上級者の登山グッズには、長時間の縦走やテント泊、重装備での登山に対応できる機能性が求められます。そもそもの荷物も増えるので容量も大事ですが、リュックそのものが軽量か否かも重要な判断基準。食料や水、ギアなどの持ち物を減らす前にリュックそのものが軽いかを見直しましょう。

飯村さん
おすすめの容量は50L。UL志向を極めるならさらにコンパクトな物でもいいですが、まずは50Lから始めるのがおすすめです。

飯村さん
また、フレームの有無もチェックポイント。フレームがあることでリュックそのものに重量はでますが、軸が安定し、体への負荷が分散されます。長時間歩くことが想定される上級者には、軸がぶれずに歩行できるかは重要です。
🎒パッキングのコツ
荷物が多くなり、リュックが大容量になると求められるのがパッキング力。ドライバッグなどを駆使しながら整理整頓を心がけましょう。
📦パッキングの基本ルール
- 重いものは背中側&上部に
→テントやクッカーなど。重心が安定し、体への負担が軽減されます。 - 軽いものは下や外側に
→テントやマットなどかさばるものは下部に収納することでクッション代わりにも。 - よく使うものは取り出しやすい場所に
→行動食、GPS、レインウェアなどは外ポケットやサイドポケットへ。

飯村さん
歩きながらでもギアにアクセスできることが、上級者のパッキングのポイントです。荷物を下ろす回数が減るだけで、体力の消耗も大きく変わりますよ。
📦パッキングの工夫ポイント
- 色分けしたスタッフバッグを活用
→どこに何が入っているか一目で分かり、必要なものをすぐに取り出せるように。 - 入れたものの使う順番も意識しておく
→テントや寝袋、スリーピングマットなどを出すときは山小屋にいるとき。荷物を必然的に下ろしているはず。 - 外付けは最小限に
→ 荷物が揺れたり引っかかったりしないよう、できるだけザック内部に収めるのが理想です。

飯村さん
実際にザックを背負い、必要なものがすぐに取り出せるかシミュレーションをするのも有効です。
おすすめリュック:GREGORY|パラゴン50 MD/LG ¥40,700
「グレゴリー(GREGORY)」パラゴン50 MD/LGのおすすめポイント

飯村さん
50Lクラス、かつフレーム入りでありながら本体重量が約1.5kgと非常に軽量で、たくさんのポケットが装備されているため、荷物の整理やアクセスが抜群です。特に、荷物を下ろさなくてもサイドやショルダーハーネスのポケットから必要なアイテムを取り出せる設計は、登山中のストレスを大幅に軽減します。ショルダーハーネスや腰ベルトの安定感があり、長時間歩いても疲れにくい構造です。

リュックを背負いながらサイドポケットにアクセスできる設計

サイドからメインポケットにアクセス可能
✅リュック選びのポイント
- 縦走に対応できる50〜60Lサイズか
- フレームの有無と背負い心地
- 軽量性とアクセス性
縦走の必須アイテム「テント」

登山では日帰りが難しい山域や長期縦走が増え、テント泊が必須となります。テント選びのコツは「軽さ」「設営のしやすさ」「結露のしにくさ」がポイント。悪天候や寒暖差の大きい稜線では、テント内部の環境をいかに快適に保てるかが重要です。また、上級者の中でも議論になるのが1人用か2人用かという選択。

飯村さん
重量はわずかに増えるものの、荷物の多いテント泊装備では1人での登山であっても、2Pの広さがあると快適。将来的に買い替えを想定するなら、最初から2人用を選ぶという判断もアリです。

飯村さん
テント選びの失敗としてよく聞くのは、結露を起こしやすいシングルウォールを選んでしまうこと。特に気温差のある稜線では、インナーテントが濡れてシュラフ(寝袋)まで浸水することも。結露・通気性に配慮したダブルウォールモデルが安心です。また、ベンチレーション(換気機能)があるものを選ぶのもおすすめです。
🏕️テントの「シングルウォール」と「ダブルウォール」のメリットとデメリット
- シングルウォール:テント本体が防水・防風・通気性の機能を1枚で担う単層構造
🙆♀️メリット:軽量、設営が早い
🙅♀️デメリット:結露を起こしやすい
- ダブルウォール:外側に雨風を防ぐ「フライシート」、内側に通気性と居住性を高めた「インナーテント」を備える二重構造
🙆♀️メリット:結露しにくい、雨風に強い、直射日光を防げる
🙅♀️デメリット:重くてかさばる、設営に時間がかかる
おすすめテント:NEMO|アトム オズモ 1P ¥53,900
「ニーモ(NEMO)」アトム オズモ 1Pのおすすめポイント

飯村さん
軽さと設営のしやすさ、防水性・耐久性のバランスがとにかく優秀。特に、独自開発の「オズモファブリック」は従来の4倍の撥水性をもち、強度も20%アップ。ダブルウォール構造で結露対策も万全です。

ベンチレーションも完備

折り畳めばコンパクトに持ち運べる
✅テント選びのポイント
- 結露対策は万全か
- 軽量かつ自立式で設営しやすいか
- 用途と装備量に応じて1人用or2人用を検討
快眠が決まる「テントマット」

登山の快適な睡眠を支える「テントマット」は、地面からの冷気や凹凸をしっかり遮断し、体力回復の質を高めるのに役立ちます。適切なテントマットを選ぶことで、寒さや疲労によるリスクを大幅に減らし、安全で快適な山行を目指しましょう。

飯村さん
テントマットは、シュラフの下に敷いて使用します。シュラフだけだと背中側のダウンが潰れてしまい、保温効果が落ちてしまいますが、マットを使用することで断熱性がアップし、地面の硬さや冷たさも気にならなくなります。
🛏️テントマットの選び方🛏️
😴種類と特徴
テントマットには主に3つの種類があります。
- クローズドセルマット:発泡素材の折りたたみ式
🙆♀️メリット:軽量・安価・パンクしない
🙅♀️デメリット:かさばる・収納性が低い - エアマット:空気を入れて膨らませる
🙆♀️メリット:コンパクト・寝心地が良い
🙅♀️デメリット:パンクのリスク・空気入れが必要 - インフレータブルマット:自動膨張+空気追加
🙆♀️メリット:適度な断熱性・寝心地が良い
🙅♀️デメリット:やや重い・収納サイズが大きめ
😴重要な指標「R値」とは?
R値(熱抵抗値)とは、どれだけ地面からの冷気を遮断できるかを示す数値。数値が高いほど断熱性が高く、寒い環境でも体温をしっかり守ってくれます。

飯村さん
多くの登山者が使う標準的な数値は2~4。R値2.8程度あれば、春、夏、秋と3シーズン対応できます。逆に、残雪期や雪上に行く場合はR値4〜5以上が推奨されます。
😴サイズの選び方
テントマットは、長さが短いほど軽く、収納もコンパクトになります。一般的なフルレングス(180cm前後)のマットに対し、120〜130cm台のショートサイズは200g以上軽量になることも。

飯村さん
ショートサイズのマットでも、上半身をしっかり支えられれば睡眠の質は確保できます。ザックや予備の着替えなどで長さを出せば、そこまで不便ではありません。

おすすめテントマット:NEMO|テンサー トレイル レギュラーマミー ¥27,500
「ニーモ(NEMO)」テンサー トレイル レギュラーマミーのおすすめポイント

飯村さん
全長183㎝と男性でも快適な長さでありながらも、軽量で、寝心地も優秀。R値2.8と3シーズン対応で、特に良いのが、付属のポンプサックで簡単に膨らませられる点です。疲れているときにこれは助かります。収納も非常にコンパクトで、UL志向の方にもおすすめです。


✅テントマット選びのポイント
- R値を確認する
- 用途にあったマットの種類を選ぶ
寒さをしのぐ「寝袋」

テント泊を伴う登山では寝袋(シュラフ)はマストアイテム。求めるのは「軽さ・コンパクトさ・濡れへの強さ・長期耐久性」といった総合力の高さ。そのうえで、「ダウンか化繊(化学繊維)」の素材選びが装備戦略に影響を与えます。

飯村さん
山岳地帯では、夏でも朝晩は気温が大きく下がるので、最低でも0〜-5℃程度まで耐えられるモデルを推奨します。
🐑寝袋(シュラフ)の選び方💤
😪🫧 ダウンVS化繊何が違う?
- ダウン(羽毛)
🙆♀️メリット:軽量、高い保温性、長期間の使用でもロフト(かさ高)が維持されやすく暖かい
🙅♀️デメリット:濡れに弱い、価格が高め
- 化学繊維
🙆♀️メリット:濡れても保温性が落ちにくい、比較的安価、メンテナンスが簡単
🙅♀️デメリット:ダウンに比べて重くかさばる、長期使用でロフトが減りやすく寒く感じやすい

飯村さん
縦走初心者には、軽量で保温性が高く、収納性にも優れた「撥水加工ダウン」がおすすめです。ダウンの「濡れに弱い」という弱点を補う”最強”素材です。天候の変化が読みにくい山中では、羽毛自体に撥水加工が施されているモデルを選ぶと安心です。
😪🫧シュラフカバーっていりますか?
濡れに弱いダウンシュラフを守る「シュラフカバー」。結露や雨対策として愛用する人も。

飯村さん
羽毛自体に撥水加工が施されているモデルであれば、シュラフカバーの必要性は低くなります。登山スタイルや季節、テントの結露状況に応じて判断しましょう。
おすすめ寝袋:ISUKA|エア ドライト 290 ¥39,600
「イスカ(ISUKA)」エア ドライト 290のおすすめポイント

飯村さん
770フィルパワーの高品質ダウンを使用し、軽量かつ高い保温性を実現しています。羽毛自体に撥水加工が施されているため、結露や雨にも強く、シュラフカバーが不要な場面も多いのが特徴です。夏のアルプスのテント泊や、春、秋の低山にも最適。-1〜2℃まで対応できるので、テント泊初心者はもちろん、長く使用できる信頼の一品です。


✅寝袋選びのポイント
- 保温性と対応温度
- 素材と撥水性
レベルアップには高機能な行動着を「ミドルレイヤー」

登山におけるミドルレイヤー(中間着)は、体温調節と快適な行動を両立するための重要なアイテムです。上級者向けのミドルレイヤーには、軽量性や保温性、耐水性はもちろん、行動中に脱ぎ着せずに済む汎用性が求められます。
⛰️登山ウェアのトレンド「アクティブインサレーション」とは?
保温性と通気性を両立し、行動中も着たまま快適に動ける新しいタイプのミドルレイヤーが流行中。従来のダウンや化繊中綿と違い、汗をかいても蒸れにくく、行動着と保温着を兼用できるのが特徴。登山やトレッキング、冬季のアクティビティで特に注目されています。

飯村さん
ダウンやフリースと比べて、濡れても性能を落としにくく、天候が変わりやすい登山にはもってこいと言えるでしょう。
おすすめミドルレイヤー:finetrack|ポリゴンULジャケット ¥25,410
「ファイントラック(finetrack)」ポリゴンULジャケットのおすすめポイント

飯村さん
行動中に着られる保温着=アクティブインサレーションの代表格です。濡れに強く、行動中も快適に着続けられるうえ、家庭で丸洗いできます。上級者はもちろん、ミドルレイヤー選びに迷う方にも自信を持っておすすめできる一着です。

✅ミドルレイヤー選びのポイント
- 行動中も快適に着続けられるか
- 濡れへの強さ
- メンテナンスのしやすさ
役に立つのは緊急時だけではない「エマージェンシーシート」

エマージェンシーシートは、体から発せられる熱を反射する特殊な素材で作られており、体温の放出を防いで効率よく保温します。さらに、透湿性のあるモデルなら蒸れを逃がしつつ、暖かさをキープできるのが特徴です。
おすすめエマージェンシーシート:SOL|エスケープヴィヴィ ¥10,230
「エスオーエル(SOL)」エスケープヴィヴィのおすすめポイント

飯村さん
緊急時はもちろん、それ以外の汎用性が抜群。寝袋の上にかけて保温効果をアップさせたり、シュラフカバーとして使って結露や汚れから寝袋を守ったりすることも可能です。また、リュックの中に広げてからパッキングすれば、防水シーツとして機能し、荷物を雨や湿気から守ることができます。


✅エマージェンシーシート選びのポイント
- 多用途性
- コンパクト性
- 保温力と透湿性のバランス
合計金額:22万9790円
あったら嬉しい上級者向け登山グッズ プラスα
上級者の登山をさらに快適に、便利にしてくれる“プラスα”のおすすめグッズは?飯村さんに聞きました。
あると便利な「携帯浄水器」

携帯浄水器は必須ではないものの「あれば安心&便利」なアイテム。特に長期縦走や水場が限られる山域では、浄水器があることで行動範囲が広がり、万が一の水切れリスクの軽減や、携帯する水分量を減らすことによる、軽量化に繋がります。
おすすめ携帯浄水器:SAWYER|ソーヤー ミニ SP128 ¥5,500
「ソーヤー(SAWYER)」ソーヤー ミニ SP128のおすすめポイント

飯村さん
とにかく軽くて小さい。約5000円と安価でありながら「38万lの浄水機能」とほぼ半永久的に使えます。登山だけではなく、災害時にも重宝します。重さはわずか57g程度で、手のひらサイズ。付属のストローやシリンジ(逆洗用)も含めてパッキングしやすく、衛生管理もしやすいです。

付属のパウチから直接飲むことはもちろん、別の容器にろ過水を移すこともできる
✅携帯浄水器選びのポイント
- ろ過能力と耐久性
- 携帯性
- メンテナンスのしやすさ
リュックを下ろさず水が飲める「ハイドレーションパック」

ハイドレーションパックは、リュックを下ろす手間なく、チューブから直接水を飲めるのが最大のメリットです。歩きながらでも簡単に水分補給できるため、「ボトルで水分補給する手間を省きたい」「荷物を下ろしたくない」といった登山者にとって非常に便利なアイテムです。行動を止めずにこまめに飲めることで、脱水症状になる前にしっかり水分を摂ることができ、体調管理にも大きく役立ちます。
🚿ハイドレーションパックの使い方🧴
- ハイドレーションボトルに水を入れる。
- リュックの背面にある専用スリーブやポケットにハイドレーションボトルをセットする。
- チューブをリュックのショルダーハーネスに沿わせて外に出し、胸元や肩付近にクリップ等で固定する。
- 歩きながらチューブの先端(バイトバルブ)をくわえて飲む。

飯村さん
多くの登山用リュックの背面には、ハイドレーション用のスペースが設けられています。ハイドレーションパックを背中側に縦に入れることで重心が安定し、歩行時のバランスも保ちやすくなります。
おすすめハイドレーションパック:HydraPak|ベロシティ 2L ¥6,270
「ハイドラパック(HydraPak)」ベロシティ 2Lのおすすめポイント

飯村さん
開口部が大きく、ハイドレーションパック本体を裏返して丸洗いできるので、手入れがとても簡単で衛生的です。毎回しっかり洗浄・乾燥できて、カビや臭いの心配もありません。

✅ハイドレーションパック選びのポイント
- 洗いやすいか
- 飲みやすいか
- 漏れにくいか
低山からでも違いを実感できる「インソール」

登山や長時間の歩行では、足への負担や疲労が蓄積しやすくなります。インソール(中敷き)を使うことで、足のアーチをしっかりサポートし、圧力を均等に分散。これにより、歩行時の衝撃を和らげ、疲れにくくなります。特に扁平足の方や、長時間歩くと土踏まずが潰れやすい方、靴を履いていて疲れやすい方、荷物が重く感じる方にはインソールの導入がおすすめです。
おすすめインソール:SIDAS|アウトドア3D ¥6,600
「シダス(SIDAS)」アウトドア3Dのおすすめポイント

飯村さん
登山靴のようなボリュームのある靴にぴったりフィットする設計です。足のアーチをしっかりサポートし、かかと部分には衝撃吸収クッションも搭載。フィット感やグリップ力が向上し、長時間の登山でも疲れにくくなります。店頭で購入くだされば、靴に合わせてカットするサービスも提供しているので、より自分の足に合ったインソールを手に入れられます。

かかと部分に施されている衝撃吸収クッション
✅インソール選びのポイント
- サポート力
- 衝撃吸収性
- カスタマイズ性
テント泊でも温かい食事と飲み物を「登山用バーナー」

たくさん歩いたあとは、温かい食事を食べて、翌日の登山に備えるのが吉。ストーブ(バーナー)は、温かい食事や飲み物を手軽に作れる必須アイテムです。山岳地帯では風が強かったり、気温が低かったりするため、安定した火力と安全性が重要になります。
🔥登山用バーナーの種類🔥
⛽️一体型VS分離型
バーナー本体とガス缶がどのように繋がっているかに関する分類。
- 一体型:バーナーヘッドとガス缶が直接接続されるタイプ
🙆♀️メリット:コンパクトで持ち運びやすい、組み立てが簡単
🙅♀️デメリット:不安定、ガス缶が熱くなりやすい、火力が落ちやすい - 分離型:バーナーヘッドとガス缶がホースで分離されているタイプ
🙆♀️メリット:安定性が高い、ガス缶が熱くなりづらい、五徳が大きく調理向き
🙅♀️デメリット:やや重く収納性に欠ける、部品が多く組み立てに手間がかかる、価格が高い
⛽️気化式VS液出し式
ガス缶からバーナーへ燃料がどのように供給されるかに関する分類。
- 気化式:バーナー内部で気体に変わり、その気体(ガス)を燃焼させて火を出すタイプ
🙆♀️メリット:軽量、扱いやすい、一般的な登山や3シーズンで十分な火力
🙅♀️デメリット:低温時や高地ではガスが気化しにくく火力が落ちやすい - 液出し式:バーナーの熱で液体ガスを気化させて燃焼させるタイプ
🙆♀️メリット:低温環境や高地でも安定した火力、大きな鍋や長時間の調理にも強い
🙅♀️デメリット:気化式に比べてやや重い、セットアップや操作に慣れが必要、価格が高い
おすすめ登山用バーナー:SOTO|トレックマスター ¥12,870
「ソト(SOTO)」トレックマスターのおすすめポイント

飯村さん
分離型の液出し式タイプです。大きな鍋でも安定して使えますし、バーナーヘッドとガス缶が離れているため、輻射熱の影響を受けにくく、低温時でも火力が安定しやすいです。非常にコンパクトに収納できるので、荷物の邪魔になりません。

同じく「ソト」から発売されているミニテーブルもあると調理スペースを確保できて便利
✅登山用バーナー選びのポイント
- 用途にあった種類
- 火力の安定性
- 携帯性
水がいらない「歯磨きシート」

市販の歯磨き粉には自然に還らない成分が含まれているため、山や自然環境では基本的に使用を避けるべき。環境保護の観点から、歯磨きシートの利用が推奨されます。

飯村さん
高山では水が貴重。歯磨きや洗顔に十分な水を使うことができません。歯磨きをしないという選択肢もありますが、どこでも手軽に口腔ケアができるので、ファーストエイドキットに入れておくと◎。
この装備で行ける!おすすめの縦走・テント泊ルート
装備を揃えたら、ぜひ挑戦したいおすすめの縦走、テント泊ができる山を厳選して紹介。

飯村さん
春先など残雪期は、アイゼンが必要になったりと、装備が増え、レベルも上がります。上級者向けのエントリーとしては、夏山の高山がおすすめ。
瑞牆山・金峰山(山梨県・長野県)
アクセス:新宿駅→(JR中央本線 約3時間)→韮崎駅→(バス 約1時間)→ 瑞牆山荘(登山口)
標高:瑞牆山 2,230m、金峰山 2,599m
特徴:百名山にも選ばれる人気の山。金峰山の山頂には「五丈岩」と呼ばれる巨大な岩が聳え立ち、圧巻の景観。瑞牆山は奇岩が連なる独特な山容が魅力でクライマーにも人気が高い。

飯村さん
テント泊初心者におすすめなのが瑞牆山と金峰山という二つの百名山の間にある「富士見平小屋」。駐車場からテント場までは1時間ほどで着きますし、小屋では限定ビールも楽しめますよ。
木曽駒ヶ岳(長野県)
アクセス:新宿駅 →(中央線特急 あずさ 約2時間10分)→上諏訪駅→(中央本線 約1時間45分)→駒ヶ根駅 →(バス約45分)→しらび平駅 →(ロープウェイ 約7分)→ 千畳敷駅
標高:2,956m
特徴:中央アルプスの最高峰で百名山にも選出。ロープウェイで標高約2,600mまで一気にアクセスでき、初心者でも高山の絶景を楽しめる貴重な山。

飯村さん
高山植物の宝庫です。特に登山口の「千畳敷カール」は見事で、テント上から見える朝焼けの雲海も素晴らしいです。自信を持っておすすめします!
赤岳(長野県・山梨県)
アクセス:新宿駅→(中央線特急 あずさ 約2時間)→ 茅野駅 →(バス 約1時間)→ 美濃戸口 →(徒歩 約3時間)→ 赤岳鉱泉
標高:2,899m
特徴:八ヶ岳連峰の主峰で登りごたえのある岩稜帯が魅力。ルートは複数あり、岩場や鎖場などを含む変化に富んだ登山道が楽しめる。

飯村さん
山頂へのアタックは距離が長くなるので、1泊2日の行程になるはずです。「赤岳鉱泉」という小屋があり、そこでテント泊ができます。名物「赤岳鉱泉のステーキ」は、登山者の間で“ご褒美ごはん”として有名です。
奥穂高岳(長野県・岐阜県)
アクセス:東京駅→(中央線特急 あずさ 約3時間分)→松本駅→(バス約1時間30分)→上高地
標高:3,190m
特徴:登頂ルートには「ザイテングラート」と呼ばれる岩場があり、登山レベルはやや高め。山小屋も多く2泊3日あれば余裕を持って楽しむことができる。

飯村さん
上高地から涸沢カールを経由して奥穂高岳へ向かうルートは、秋の紅葉とテント泊の名所として有名。特に涸沢カールでは、色づく山肌とともにカラフルなテントの灯りが夜景のように輝き、幻想的な雰囲気を味わえます。一度は見てほしい絶景です!
【まとめ】軽く、戦略的に、そして自由に
上級者の登山装備は、「全部持っていく」から「何を持たないか」を考えるフェーズへ。20万円という予算は、無限に装備を広げるためではなく、“必要なものだけで戦う”ための編集作業の上限とも言えるでしょう。軽量性だけではなく、機能のかぶりを減らすこと、使い回しが利くこと、体力の余力を生み出すこと。それが、縦走やテント泊において一歩先をいく登山者の選び方。
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