ホスト出身で実業家のローランド氏
ファッション・ウィーク期間中は、新ブランドの発表や新商品の展示が行われることも多い。ファッションショーのオンライン中継や映像配信が続く中、展示会では対面式の取材も増えてきた。15日には、アッシュ・ペー・フランスが主催する合同展示会「ルームス41(rooms41)」が開幕し、ホスト出身で実業家のローランド氏が立ち上げたアパレルブランド「クリスチャン ローランド(CHRISTIAN ROLAND)」を見る機会があった。
タキシードデザイナーの横山宗生氏と共同でブランドを運営し、ローランド氏はクリエーティブ・ディレクターという立ち位置になる。当初はタキシードのサンプルを見て記事にしようと考えたが、急遽インタビューを受けてくれることに。同氏の関係者や取引先とみられる多くの人でごった返す会場で、冷静に答える姿が印象的だった。
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ファッション業界の現状を把握し、ブランドの拡大には慎重なスタンス。ローランド氏は「新参者ですが、よろしくお願いします」と静かに語った。デザイナーの横山氏とは衣装提供をきっかけに意気投合、アパレルブランドをいつかスタートしたいと考えていたと言う。「自分が愛用しているベロア素材のタキシードジャケットを中心に商品を構成しています。現在はショールームで受注生産という形をとっていますが、今後はポップアップストアの展開も考えています。ただ、媚びた売り方はしたくありません」。
取引先として百貨店やセレクトショップも考えられるが、少しイメージと違うようだ。「商品自体に自信がありますし、従来通りのブランド発信でいいのか、とも思います。こんなことを言うと、生意気かも知れませんね。ファッション業界が厳しいのは分かっていて、良いブランドや企業しか生き残れないことも理解しています。でも、淘汰されれば良いブランドが残る。そんな時期に差し掛かっているのでしょう。ネガティブな話題が多いマーケットで、私はポジティブに考えていきたい。日本人は、死を連想する“4”という数字を嫌いますが、幸せの“4”とも読めます。私は後者の方で、つらいことがあっても、常に前向きに考えています」と話してくれた。ブースにはTシャツやジーンズ、マスクといった普段使いの商品も置いてあったが、あくまでもタキシードジャケットで勝負したい様子。同ブランドは、今年7月から本格展開を開始しており、既にリピーターも存在している。閉塞感が広がるファッション業界に一石を投じるか、筆者も注目したい。
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