Mitsuhiro Minami

なぜ若手デザイナーは国産生地を求めるのか?

南 充浩

繊維業界記者・ライター兼広報アドバイザー

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先日、大手生地商社の方と雑談していたら
「最近の若手デザイナーが国産生地を欲しがるのはどうしてでしょう?」と質問された。

たしかに10年前にはあまり見られなかった現象である。
筆者はなんだかんだで17年くらいこの業界にいるが、90年代後半当時の若手デザイナーから「国産生地」が話題になることはあまりなかった。

もちろん、国産生地に興味を持っていた若手デザイナーもいたが、そうでない人も相当数いたというのが体感だ。

国産品への愛着があるのはまことに喜ばしいことである。
そういう若手デザイナーもいるだろう。
しかし、そうではない若手デザイナーもいるのではないか。

そういう若手デザイナーは、自身の製品を高値で売るための言い訳として国産生地を使用しているのではないかと感じられる。

中国国内の人件費が高騰し、日本国内の工場と工賃が変わらなくなってきたとはいえ、いまだに国産生地は高額である。
その高額な生地を使うから自身が作る製品も高額になるという言い訳が成立する。

しかし、厳密にいうと国産生地でも粗悪で廉価なものもあるし、アジア産の生地でもそこそこ高額なものもある。

また品質で比べると、国内工場に比べて最新鋭の機械設備を備えたアジアの工場の方が物性的に優れた生地が製造できる場合もある。
だから、モノ重視で選ぶなら、国産一辺倒やアジア産一辺倒にはなりえない。

あとは自身の製品の販売価格との相談である。

大企業ではない若手デザイナーは製品を安く売ることを考えるよりも高く売ることを考えるべきだとは思う。
別にユニクロと競争する必要もないし、したところで太刀打ちできないのは自明の理である。

けれども欧米のラグジュアリーブランドと並ぶような価格設定にするのもどうかと思う。
多くの人は同じ値段を出すならラグジュアリーブランドを買う。
そちらの方がブランドステイタスがあるからだ。品質云々、デザイン性云々だけの問題ではない。

それよりも、若手デザイナーは生産ロットをミニマムロットまで拡大させる努力をすべきだと思う。
ミニマムロットに到達させて、製品の価格を抑えるべきである。そうすれば販売数量も今より増やせる。

なにも1000円、2000円の服を販売しろということではない。
8万円くらいしているコートを5万円弱にした方が良いのではないかということである。

その方が販売数量も伸び、ビジネスとしても一定の規模に到達できる。

欧米だと有名メゾンブランドのデザイナーに起用されることで、自身のブランドも売上高が伸びることもある。
けれども日本で活動している限りにおいてそういうチャンスはほとんど期待できない。
そうなると自身のブランドの売上高を伸ばすほかない。
そのためにも価格政策は必要だろう。

製品を高く売るために高額な国産生地を使用するという図式は本末転倒ではないかと感じられてならない。

南 充浩

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