Fumitoshi Goto

年商1,000億円以上を目標にした子供服ブランドの戦略とは?

激しくウォルマートなアメリカ小売業ブログ

在米28年のアメリカン流通コンサルタント

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■ターゲットは7日、12歳以下を対象にした子供服ブランド「キャット&ジャック(Cat & Jack)」を発表した。年商10億ドルを目標に作られたキャット&ジャックは、約1,000人の子供や両親の聞き取り調査から開発された。年末商戦前の7月17日に全店で発売されるキャット&ジャックは4歳~12歳向けと、8月7日に発売されるベビー用の「ベビー・キャット&ジャック(Baby Cat & Jack)」がある。ベビー・キャット&ジャックの新生児用品コレクションの20品目は「オーガニック・テキスタイル世界基準(Global Organic Textile Standard:GOTS)」を認証した素材や染料で作られている。GOTSは環境にも配慮したオーガニック製品であることを保証した世界的認証基準。またキャット&ジャックのパンツやレギングはコットン・インコーポレイテッドが開発したタフコットン技術を採用し、洗えば洗うほど丈夫になり長持ちするという。同ブランドのバッグやデニム、水着はペットボトルを含めたリサイクル材100%から作られたリサイクル・ポリエステル「リプリーブ(Repreve)」で製造されている。なお、キャット&ジャックは1年間保証がついており服がほつれたり気に入らなかった場合、購入から1年以内でレシートがあれば返品可能となっている。
ターゲットは昨年から重点カテゴリーとしているファッションの「スタイル(Style)」や子供を対象にした「ベビー(Baby)」「キッズ(Kids)」、そして「健康(Wellness)」でのブランド刷新を掲げており、今年初めにはキッズ用ホームグッズブランド「ピローフォート(Pillowfort)」を発表している。

トップ画像:12歳以下を対象にした子供服ブランド「キャット&ジャック(Cat & Jack)」にはなんと1年間の保証がついている。1年で急激に背が伸びたりなど急成長する時期に着用する服に1年間の保証を掲げたのだ。節約に長けた母親が子供服の1年間保証を乱用しだしたら、ターゲットにとっては大変な負担になる。

⇒こんにちは!アメリカン流通コンサルタントの後藤文俊です。成長過程にある子供にとって1年という期間は大きいです。同じ学年でも誕生月の差によって運動能力や知的能力の差が現れることもわかっています。日本の場合は4月~6月生まれより1月~3月生まれが不利となり、アメリカだと9月~12月生まれより6月~8月生まれが不利になるのです。同じ学年でも誕生月で発育の差が現れるのは仕方がないことでしょう。で、後藤がここで強調したいのはターゲットの子供服新ブランドの「キャット&ジャック」の1年間保証!1年で急激に背が伸びたりなど急成長する時期に着用する服に1年間の保証を掲げたのです。キャット&ジャックは丈夫さを謳っているのですが、気に入らないという理由でも返品可能です。つまり、子供が1年程度で急激に成長してキャット&ジャックの服が小さくなり弟や妹の「お下がり」になる前に返品できるということ。節約に長けた母親が子供服の1年間保証を乱用しだしたら、企業にとっては大変な負担になります。
⇒なぜこんな非常識な保証をつけてまで始めようとするのでしょうか?ターゲットはキャット&ジャックを子供服ブランドとして大成功させたいのです。無名ブランドや商品を試してもらう前、アメリカの大手チェーンは無謀な保証を付けます。ウォルマートがスーパーセンターを成長の基軸にしていた15年~20年前、精肉やデリに200%保証を付けていました。商品が気に入らなければ購入した金額の倍で返金するという非常識なオファーでした。当時、ウォルマートは激安ディスカウンターとしては知られていましたが、生鮮品は「安かろう、悪かろう」と思われていたのです。そのイメージを払しょくするため、あり得ない200%保証を提案したのです。とにかく試してもらう、大がかりなサンプル販売みたいなものです。それが功を奏してウォルマートの生鮮品は受け入られたのですね。ターゲットも同様に企業にとっては不合理となるような提案をして「まずは購入してもらい試してもらう」という戦術にでたのですね。

⇒なぜターゲットは新たに子供服ブランドを作って、プッシュしようとしているのでしょうか?それは顧客の世代交代があります。ミレニアルの女性が結婚し出産しているのです。彼女らは他の世代とは、情報面で大きく異なっています。SNSなどを駆使し情報に長けています。企業には「情報の透明性」を求めるのです。製品に使われている原料や素材、製造方法、生産地などにも強いこだわりがあるのです。ターゲットにはベビーブランドに「サーコ(Circo)」があり、子供服は「チェロキー(Cherokee)」にあります。ターゲットにとってどちらも大きく成長している主軸ブランドなのですが、こだわりのあるミレニアル世代のママにはブランドとしては弱いと判断したのですね。で、新たなブランドを立ち上げ「オーガニック・テキスタイル世界基準(Global Organic Textile Standard:GOTS)」を認証した新生児用品のコレクションまで開発しているのです。キャット&ジャックは、出生数が2007年でピークとなった人口動態も理由です。
1年間で432万人が生まれた「住宅バブルブームキッズ」は今年9歳。ターゲットはキャット&ジャックで人口の波に乗ろうとしているのです。

20160716kids2.jpg出生数推移グラフ。住宅バブルがピークとなったのは2006年。1年後の2007年には432万人の子供が生まれた。人口の波がピークとなり、成長が著しい時期の子供に向けてターゲットはキャット&ジャックを立ち上げたのだ。

後藤文俊

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