Sayumi Gunji

TOGAが見せた、すべてを超越する日本モードの可能性

軍地 彩弓

編集者

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 「トーガ(TOGA)」が12年ぶりに東京コレクションに帰って来る。

 店のショッピングバッグと同じシルバーのインビテーションカードを受け取った時点から心が熱くなった。すでにロンドンで発表されたレディスをそのまま持って来るのかと思ったが、それは見事に裏切られた。ロンドンの会場の重厚な教会は、東京では新国立美術館の長く大きなエレベーターに置き換えられた。

 ショーが始まり、ニーナ・シモンの力強い歌声を背景に、逆光を浴びながらエレベーターから粛々と流れるように現れたモデル。神々しいカテドラルにいるかのように、瞬間で内側から興奮が湧き上がる。

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メンズとレディスを混在させた構成はジェンダーやボーダーを超えた東京らいしいショーとなった。テーラードスーツを解体して、自由に再構築したルック、切り取られ露出した肌、最近よく使われる袈裟のようなシースルー素材、PV素材の透明なトレンチ。肌の思いがけない露出はトーガがここ最近追い求めているテーマだ。肩を露出したりワンピースを着たメンズモデル。"HOLES、SUITS、CRUMPLED"と題されたエキセントリックでありながら知性が宿る、大好きなトーガの世界は私たちを容赦無く刺激する。

 私自身、トーガの服をずっと着続けている。その理由はこの服がいつも着る人に挑戦をさせるからだ。毎回予定調和を崩される。だから日本でも海外でも着ていると「どこのブランドか」と必ず問われる。どこにも似ていないデザイナー古田泰子の世界。その魅力は中毒となり人をわくわくさせる。

 20年は長い。その過程の中でトーガは海外に発表の場を移した。海外で挑戦しつづける難しさも聞いていた。だがその結果、トーガは海外のバイヤーも一目置く存在となった。その年月があってこその今日。いろんな思いが胸をよぎった。

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 東京のファッションウィークはパリやミラノとはまったく似ていない。ここには権威が存在しない。今日表参道ヒルズの前に溜まっていたショーの観客たちは、性別も時代もジェンダーもわからない、すべてがミックスしたスタイルを楽しんでいる。その常識を超越する力が他の都市にない魅力なのだと今日のショーで改めて気付かされた。

 20年の時を経た今もトーガはインターナショナルなブランドとして成長を続けているが、その根底は図らずも日本らしい境界を超えた存在なのだと。

改めてこのトーガの20年を東京で祝福できたことを幸せに思う。

>>TOGAの2018年春夏コレクション

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