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「ファッションとは何か?」問い続けた10年、リトゥンアフターワーズが"戦後"コレクションで表現した日本らしさ

2018年春夏コレクション
2018年春夏コレクション
Image by: FASHIONSNAP

 山縣良和が手掛ける「リトゥンアフターワーズ(writtenafterwards)」が11月17日、1年半ぶりとなるファッションショーを東京都庭園美術館で開催した。テーマは「After Wars」で、戦後の日本をファッションで表現。観覧者には谷川俊太郎が今回のために制作した詩「十二の問いかけ」が配布され、展覧会の展示と合わせて広義での「ファッション・装いとは何か」を問うショーとなった。

 

 デムナ・ヴァザリア(Demna Gvasalia)とヘレナ・ルメルスキー(Helena Lumelsky)が手掛けていた「ステレオタイプス(STEREOTYPES)」や「タロウ ホリウチ(TARO HORIUCHI)」、「ミキオサカベ(MIKIO SAKABE)」などと共に21_21 DESIGN SIGHTでインスタレーションを行った「ヨーロッパで出会った新人たち」が開催されたのは、ブランド立ち上げの2007年。リトゥンアフターワーズは今年10周年を迎え、その記念となるショーが、展覧会「装飾は流転する」の開幕イベントとして東京都庭園美術館のエントランス前の屋外で行われた。一般に向けた観覧募集の枠はすぐに埋まり、当日は門の外まで長い列ができるほど多くの観客が来場。期待が寄せられる中「仰げば尊し」の曲が流れ始めると、森に囲まれた会場はノスタルジックな雰囲気に包まれた。

 2017年春夏コレクションから「Flowers」をテーマに制作してきた3部作は、戦前・戦中・戦後がコンセプトで、その最終シーズンとなる2018年春夏コレクションの「戦後」のイメージがランウェイに落とし込まれた。軍服や焼かれた服など当時を連想させるようなディテールが散りばめられ、千羽鶴や棺桶まで登場したが、そのアプローチは生々しくもポップで、リトゥンアフターワーズらしいユーモアが込められている。ビニル素材を収縮させたり、縦と横にプリーツをかけてチェック柄に仕上げたりと、テキスタイルには様々な日本の技術が反映され、布を巻いたような装いは原始的でもある。多くのルックの随所に花のモチーフが取り入れられるなど、スタイルは極めて装飾的だ。

 演出として、モデルを追いかける記者や、赤いずきんの子ども達、詰襟の学生など様々な集団が登場したが、彼らはみな個性的なモデルたちとは対照的に、画一的な服を着ている。日本人特有の集団性を表現したアイロニーとも捉えられるが、山縣はそこに日本やアジアならではの精神性を感じているという。

 ショーの後半は、木や山が登場。多種多様な自然と、山々に囲まれた環境で育ってきた日本人が持つ土着性が表現された。ここまでくると「これはファッションなのか?」という疑問が沸くが、山縣にとってはそれが狙いだ。「ゴミから神様まで、これまで様々な切り口で『これ"も"ファッションじゃないか』と提案してきた。でも理想は『これ"が"ファッションじゃないか』と提言すること」。これからも装いとは何かを問い続け、外に向けて表現し続けていくということを約束するようなショーになった。

全ルックはこちら

「十二の問いかけ」 谷川俊太郎

どうしてコトバが欲しいのだろう?
柔らかな布の手触りだけで十分なのに

どうして服を着るのだろう?
誰もがvaginaやpenisを持っているのに

どうして色を塗るのだろう?
花々と小鳥に任せておけばいいのに

どうして形を創るのだろう?
自然は形の宝庫なのに

どうして文字を書くのだろう?
声がこんなに暖かいのに

どうして箱が要るのだろう?
見えないものは入れられないのに

どうしてなんでも飾るのだろう?
はじめはみんな生のままなのに

どうして平和が戦争を生むのだろう?
戦争は平和を生みはしないのに

どうして入道雲が湧くのだろう?
凍える冬の心の底から

どうして道しるべがあるのだろう?
迷わずに行くのは退屈なのに

どうして名前をつけるのだろう?
これそれどれあれ 大きな違いなどないのに

どうしてどうしてと問うのだろう?
世界は答えであふれているのに

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