Sanae Shimizu

「132 5. ISSEY MIYAKE」2018年秋冬を考える

清水早苗

ファッションジャーナリスト

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132 5. イッセイ ミヤケ(132 5. ISSEY MIYAKE)の2018秋冬のテーマは、「MODERN PRIMITIVE」 - 発想と服づくりの技術

 

 「一枚の布」という服づくりの考え方は、いかに多彩に、豊かに そして、可能性をはらんで展開されるのだろうか。そんな驚きを常にもたらしてくれる三宅一生の挑戦。

 その一つが、コンピュータサイエンティストと協働した3次元造形と、服づくりの技術によって新たな製法を生み出し、衣服構造の概念を変えた「132 5. イッセイ ミヤケ(132 5. ISSEY MIYAKE)」だ。

 三宅が、明日のものづくりを探求するため、Reality Lab.を創設し、そのチームとともに、研究・検証を重ねた結果、2010年に誕生した。

 それから8年目となる今シーズン。テーマに掲げたのは、「一枚の布」の着方の原点ともいえる "布を巻きつける" ように衣服をつくること。最もミニマルで原始的な手法によって展開されたデザインからは、衣服のもつ強さが漂い、はっとさせられた。

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 「WRAP RASCHEL」(ラップ ラッセル)と名付けられたドレスは、ファスナー1つで服になる。一枚の長方形の右辺と底辺が斜めになかに少し入り、右下の角がカットされている。袖ぐりとなるスリットに手を通せば身体が包まれるといういたってシンプルな構造。素材は、フォルムを出すために、張り感があって軽いポリエステルのラッセル編みが使われている。

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 ボーダーに織られた生地を、縦にして使用している「WRAP BOUCLE)(ラップ ブークレ)。長方形の下の左右の角をカットした形の布を身体に包み、ボタンをかけ、ファスナーを閉めれば、ダイナミックなランダムストライプが現れる。マジックのようで言葉で説明するのは難しいが、広げると一枚の布になる。また、ループ状のウールなどを緯糸に使い、温かみの感じられる布地となっている。

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 "巻き付ける"といっても、一枚の布から、ここまで衣服にしていくには、試作・検討が繰り返されたことは容易に想像ができる。布の厚みなどによって、設計は微妙に変わってくる。服づくりの手法とそれに合わせた糸も含む生地の開発。そして、テクノロジーを駆使しながらも、手の温もりを加えることも忘れない三宅の服づくり。昨今、ファッション界でも"テクノロジー"という言葉をよく耳にするが、すでに三宅がやってきていることではないかと思う。その革新的な仕事から学ぶことは、多いはずだ。

画像:132 5. ISSEY MIYAKE

清水早苗

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