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新型コロナウイルスの影響で"おこもり消費"加速、現状に酷似した内容の小説が増刷へ

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 新型コロナウイルスの感染拡大が世界中で止まらない。感染のメインが中国をはじめとしたアジアからヨーロッパに移りつつあり、イタリアでは感染による死者が3000人に迫り中国に並んでいる。経済的には中国に依存していたほとんどの産業が打撃を受けており、経済活動は停滞し、消費は落ち込んでいる。2008年にはリーマン・ショックによる世界同時不況の事態に至ったが、その時以上に世界の産業に影響が出ているようだ。

 そんな暗い話題ばかりの中で、わずかに明るい光が射しているのが出版界だ。政府からイベントの開催の自粛や臨時休校に関する発表があったこともあり、外出せずに家で過ごすという「おこもり消費」が広がる中、電子書籍を含む本の売り上げが伸びている。学校が休校になった子供に勉強させようと、学習書の売れ行きがいいのは分かるが、新型コロナウイルスが広まっている現在の状況に酷似している内容の小説が次々と増刷されているのは注目だ。

 まず、高嶋哲夫氏によって2010年に出版されたSF小説『首都感染』を、講談社は1万部増刷した。20xx年、サッカーのW杯の開催地である中国で、致死率60%に至る強毒性のインフルエンザが発生したが、盛り上がりが最高潮に達していたこともあり、大会を続行したい中国はこれを隠蔽する。もちろん隠蔽し続けられるはずもなく、大会は中止されるが時は既に遅かった。W杯の観戦に訪れた観客から世界各国にインフルエンザが持ち込まれ、世界中がパニックに陥る。しまいには東京の街が封鎖される事態になってしまう、まるで今回の新型コロナウイルスによる東京五輪中止が予言されているかのような物語だ。世界中から大勢の観客が集まるW杯とオリンピック、さらに中国から発生したインフルエンザとコロナウイルス。どちらも恐ろしいほどに現在の状況と重ね合わせることができ、「予言の書」であると話題を呼んでいる。

 また1947年に出版された、ノーベル文学賞を受賞したアルベール・カミュの代表作『ペスト』(宮崎嶺雄 訳)も新潮社が新潮文庫を1万部増刷している。物語の舞台はアルジェリアのオラン市。一匹の鼠をきっかけにペストが流行して死者の数は増え続け、やがて街が封鎖される。ペストによる死者に、それは罪のせいだと説く神父に対しての抗議が起こったり、精神的に追い込まれた人々が脱出を試みたりと、ペストの脅威や世の不条理に皆で立ち向かっていく物語である。やがてペストの流行は終息を迎える時が来るが、ウイルスが潜伏してのちに復活する可能性もあるため、戦いは終わらないのであった。新型コロナウイルスの終息はいつになるのだろうか。

『首都感染』(高嶋哲夫 著/講談社/税別950円)
『ペスト』(カミュ 著、宮崎嶺雄 訳/新潮社/税込825円)

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