シロ(東京)のコスメブランド「SHIRO(シロ)」が高成長を続けている。自前で国内に工場を持つ強みを生かし、前期(20年6月期)は新型コロナウイルスの影響下でもスピーディーな対応で商品がヒット。続く7~8月も小売り全体(EC含む)の売上高が前年同期比約87%増、実店舗の既存店が56%増となっている。
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コロナ禍では、既存の生産ラインを止めて急きょアルコール製品を製造。世の中のニーズに応えるだけではなく、シロらしい香りでブランドの世界に沿った商品にし、反響も大きかった。家ナカ関連ではルームフレグランスやアロマオイルを改めて打ち出した。「製造・小売りであることに加え、直営販売のみというシンプルなビジネスモデルのスピード感を生かせた」(福永敬弘専務)と振り返る。話題性のある限定商品も売り上げを支えた。
商品カテゴリーの構成比自体には大きな変化はなかった。メイク分野も、マスクの習慣化でリップの販売が多少減少した一方、アイシャドーやネイルカラーが伸ばした。19年のリブランディングもメイク分野の伸びに貢献したという。香水やフレグランスなどの香りアイテムも好調。特に香水は1万数千円する高価な商品だが、ツイッターを中心に人気が広がった。
コロナによる一時的な影響はあるにしても、「長期的にはコスメやビューティーの潮流は変わらないのでは。インスタライブでも、視聴者からはメイクのテクニックへの関心が高い。家にいる時間は長くなっているので、スキンケア効果のあるメイクアップ商品など、今後もプロダクトアウトでより良い物を提供したい」考えだ。
店舗では、3月のルミネエスト新宿店の増床時に併設した接客レスの「シロセルフ」業態が順調だ。結果的にコロナ禍にも対応できた。商品の箱が不要な場合の〝エシカル割〟も導入したが、自分向けが多いスキンケア商品などで利用が目立つという。「事前にネットで情報を見て、店頭では香りだけ確かめてさっと買うなど、お客様自身が買い方をよく分かっていると実感した」。シロセルフは出店オファーも多いが、慎重に判断していく。
これらの結果、前期の小売り全体の売上高は前期比57%増。計画から若干下振れしたがアルコール製品の発売やECの大幅な伸びがカバーした。実店舗の既存店も約40%増収。今期に入って更に好調に推移している。
販売チャネルへの考え方は変化しつつある。特に海外は、店舗だけに固執せず柔軟な戦略をとっていく。香り製品のファンが多い台湾にはECで進出する計画だ。米国はコロナ以前から苦戦していたため閉店したが、新たにECでの再スタートを検討している。
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