全世界的にまだまだ様々な制約がある中ではあるが、今季から期間を例年通りに戻し開催された上海ファッションウィーク。
ADVERTISING
多種多様な価値観が混ざり合い、多発的に生まれるトレンドから上海の現在について考察していきたいと思う。
スニーカーブームは未だ健在 足元にボリュームのあるスタイルが人気
昨今盛り上がりを見せていたスポーツテイストを取り入れたスタイルは少し落ち着いてきた印象はあるものの、メンズレディース問わずスニーカーの着用率は圧倒的に高い。
現地中国ブランドと大手スポーツブランドのコラボレーションスニーカーや、所謂“プレ値”で市場に出回っているスニーカーの着用も多く見られた。
中国で盛り上がりを見せるストリートテイストのアイテムやブランドの人気は依然として高く、オーバーサイズのコーディネートは今季も健在。これは中国でのHIP HOPブームは勿論のこと、現地セレクトショップのゾーニングにも関係があると考える。
日本のようにフロア毎にメンズ、レディースと区切るような商習慣はほぼ存在しておらず、その殆どがある種フラットな状態で商品を陳列している。ブームを牽引するブランドの多くはユニセックスでの着用を前提とし、小さめのサイズはレディース、大きめのサイズはメンズといった具合にユーザーが好きなサイズを選択するという習慣が根付いていることもこのブームの要因になっていると感じている。
上海をはじめとする中国においての”ストリート”は一大ムーブメントとなり“ストリート”の定義の幅さえも広げているようにも見受けられる。
» 参考:【上海のストリートシーンが90年代の裏原化??あらゆるトレンドが渦巻く上海の今】
少なくとも5年以上は続くこのムーブメントは果たして一過性のトレンドなのか、はたまた中国マーケットを象徴するスタイルになるのか、世界でも有数のマーケットとなった以上、今後も注視していく必要があるだろう。
マーケットの発展に伴い生まれはじめた、バイヤーやセレクトショップの意識改革
トレンドというには時期尚早かも知れないが今季はマニッシュなスタイルも多く見受けられた。
これはここ数年で急速に発達したマーケットに伴い消費者側の選択肢が増えたことと、昨今の国潮ブームが追い風となりファッションの側面のみならず個々のダイバーシティが確立され旧態依然とした性別という概念に対するカウンターに起因しているのではないだろうか。
ファッションに対する消費額が少ない市場においては、同額の商品でもコンサバティブ且つ普遍的なデザインで長くデイリーユースに使える物が売れる傾向にあるが、こと中国マーケットに関してはマーケット自体も発展を続けファッションに対して良くも悪くも消費思考、水物的な感覚がある為、コストパフォーマンスとのバランスはあるものの、ブランド自身のアイデンティティが色濃く反映されたものや、より強いデザイン、カラーが好まれる傾向にあると考察している。
流行りのブランドや商品を数多く扱い、そのラインナップが多いショップに価値があるといった見方は現在でも続いてはいるものの、グラフィックやサイジングのトレンドをはじめ、ネームバリューに頼ることだけでなく、自分たちの力で新たなブランドを発掘し売っていきたいというバイヤーの声も多く聞くことができた。
こういった事象を踏まえ、バイヤーやショップ側も、はたまたエンドユーザー側も、よりファッションに対する消費意識に変化が訪れていることは言うまでもない。
変化と発展を繰り返し、更なる飛躍を遂げようとしているこのマーケットには今後も注目していく必要があるだろう。
Writer:石本 遥路
Photographer :Daisuke Tominaga
ADVERTISING
PAST ARTICLES
【WFN -Asia-】の過去記事
RANKING TOP 10
アクセスランキング
MM6 Maison Margiela 2025 Spring Summer