株式会社ミマキエンジニアリングは、皮革・合皮へのプリントに特化した高画質インクジェットプリンター「SUJV-160」(ワイドフォーマットソルベントUVインクジェットプリンター)を開発、10月1日より販売を開始している。このプリンターは富士フイルム株式会社が開発した画期的なインク、「SU200」(ソルベントUVインク)に対応したものだ。
このプリンターの開発によって、アパレルのみならず、スポーツやインテリア、自動車等の皮革・合皮へのプリント技術が格段に向上し、本分野でのイノベーションが期待できる。今回は、株式会社ミマキエンジニアリング営業本部グローバルマーケティング部の雲 卓思さんにお話を伺った。
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皮革・合皮の幅広いクリエーションが可能に
雲さんによると、従来の「本革などの皮革や合成皮革へのインクジェットプリントは、今までも染料や溶剤系インクなどでプリントされてきましたが、表面保護を1台のプリンタで行えるものが少なかった」といい、「今回のSUJV-160では、クリアインクを搭載し、カラーインクの上にクリアインクをプリントすることで、プリント面の保護ができ、高い耐摩擦性能を有することができる」という。
構造としては通常のインクジェットプリント設備と同じとのことだが、「SUJV-160」は最大1,610mmというワイドな印刷幅に対応している。また、対応する皮革素材はPVC系やPU系合皮などへのプリントが可能だが、プリンターの構造上、合皮の厚さや伸縮性、基布により搬送できない素材があるとのことで、事前の搬送テストが推奨されている。
柔軟性、高耐擦性、高画質なインク技術
この画期的なプリンター「SUJV-160」は、前述した富士フイルム株式会社が開発したインク「SU200」に適したものを、ということで開発された。
「SU200」は富士フイルム株式会社の「UVIQUE(ユビーク)技術」を活用したインクである。「UVIQUE(ユビーク)技術」は、「富士フイルム社が開発した独自のインク定着技術を有しており、延伸性、耐久性を生かした本革や合成皮革へのプリントを可能にしている」という。「SU200」の特徴は、「① 高耐擦過性」、「② 素材質感の保持」、「③ 高画質」、「④ 高柔軟性」といった4つが挙げられ、またUV硬化で基材に瞬時に定着するため、インクの乾燥を待たずに後工程に移行でき、オペレーターの作業を大幅に効率化することができる。
多分野での活用に期待
「SUJV-160」は発売が開始されたばかりで導入実績はまだないとのことだが、「自動車やバイクなどの内装装飾、靴やカバン、家具など合皮をよく使用されるジャンルへ販売をしていきたいと考えている」という。
今後の展望としては、「大ロット生産に向けたプリントシステムから小ロット生産用の小型設備、染色工程に必要な付帯設備、さらには生産工程などの管理ソフトウェアなど当社で一貫の生産を提案できるようなプリンターやソフトウェアを企画、製造、販売、保守をできるようにしていきたいと思っております」と雲さんは語ってくれた。大ロットのみならず小ロットの生産へも対応が可能になれば、若手のクリエーターやデザイナーも活用でき、創作の幅が広がりそうだ。
今回取材したプリンター「SUJV-160」は、幅広の生地幅に対応しているのが作り手にとって嬉しいポイントだ。また「SU200」のインクの特性を保護する技術が搭載されている。ファッション・デザインの領域でも導入しやすいのではないだろうか。今後の様々な活用事例に期待したい。
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