
英国有数の非営利芸術組織スタジオ・ヴォルテールとロエベ・ファンデーションは、「ロエベ・ファンデーション/スタジオ・ヴォルテール賞」の設立を発表した。
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(青木規子)
同賞のプログラムは7人の芸術家に2年間、賃料無料のスタジオスペースや、専門技術開発の場、一人当たり2000ポンド(約30万円)の奨学金といった各種サポートを提供する。また、本年中に発表予定の同プログラムの第2段階では、国際的芸術家1人に対し、スタジオ・ヴォルテールを拠点とする1年間のレジデンシーを提供する。スタジオ・ヴォルテールが大規模リニューアルを終えて再オープンする21年10月に実施される予定。
同賞は、芸術家が経済的に無理なく安心して作業ができる場が必要だという切実なニーズに応えるために考案された。近年、ロンドンではスタジオの数が著しく減少し、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的流行)によって機会や収入が減少し、孤立に悩む芸術家が増えた。同賞は、クリエイティブな可能性の模索だけでなく、情報や知識の交換を円滑にするサポート体制を備えたスタジオ環境において、芸術家がつながれる空間を醸成することを目的とする。
また同賞は、新進気鋭から過小評価される芸術家まで、あらゆる芸術家をサポートすることも重視する。公平に評価を受ける機会を増やし、社会的階級、人種、性別、障害などの壁を越えて芸術の声を広く届けることを目指す。
同賞の授与は、素質とニーズに基づき判断される。申し込みはネットで受け付ける。要件はない。特定の推薦者を通じて申し込むこともできる。受賞者は、キュレーターや芸術家らによる審査員団によって選出される。
スタジオ・ヴォルテールのジョー・スコットランドディレクターは「プログラムの実現は急を要する。ロンドンの既存スタジオは24年までに3分の1以上がなくなると予想される。芸術家へのサポートや他とつながれる空間を確保することは非常に重要」という。ロエベのジョナサン・アンダーソンクリエイティブディレクターは、「クリエイティビティーに対する支援はロエベのあらゆる活動の中心にある」と語った。
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