


「きもの、面倒臭くない?」最近、男性から立て続けに問われた。アラフィフになり、記者の周りのファッションに関心の高い女性たちが改めてきものに興味を持つケースが増えている。その理由が分からないという。着るのに時間がかかるうえ動きづらいのに、なぜそんなに良いのかと。きもの沼にはまる女性の一人として理由を考えた。
一つは様式美だ。一枚の布で構成されたきものはシンプルで潔く、布そのものをめでられる。そこに全体を引き締める造形的な帯。日本で長く受け継がれた、その定型が美しい。
季節との調和を楽しめる点も魅力だ。春は新緑に合わせ淡い色、夏は涼が感じられる水の模様。四季の移ろいを装いに取り入れるのは、実に豊かで楽しい。
何より体に合う。西洋人と比べ起伏の少ない日本人の体形は、直線的なきものによくなじむ。百年前までは、きものが日常着だったのだから。年を重ね、似合うものが分かってきたのだろう。
魅力は尽きないが、生産量は衰退の一途だ。産地は高齢化が進み、関係者は「職人はあと1、2年で激減する」と嘆く。古着も、今は和装産業全盛だった昭和初期のものが充実しているが、次第に減るだろう。救いはきもの文化を広げようと活動する女性が増えていること。個人が受注生産する動きもある。素晴らしい文化を後世につなげたい。
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