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主要上場アパレル企業7社の2022年2月期の第1四半期(3-5月)が出揃った。前年度はコロナ禍の影響で自粛を強いられたため、記録的な減収、損失計上となったが、今期は各社の対策も進み、全社で増収を達成した。利益面でも、6社が黒字を回復した。
オンワードHD、全セグメントで営業黒字を達成
対象にしたのは、オンワードホールディングス、TSIホールディングス、アダストリア、三陽商会、パルグループホールディングス、しまむら、バロックジャパンリミテッドの計7社(順不同)。いずれも2月期決算で、5月末に第1四半期を迎えた企業だ。2020年度の本決算で損失を計上した企業の大半が、第1四半期では利益を確保するに至った(別表を参照)。
オンワードホールディングスは売上高460億2,200万円(7.9%増)、営業利益11億4,700万円(前期は18億5,100万円の損失)で増収、黒字回復を果たした。度重なる自粛要請の影響もあったが、一昨年より取り組んできたグローバル事業の構造改革の成果が表われ、売上総利益率(粗利率)が51.7%(5.9ポイント増)と大幅に改善した。全セグメントで営業黒字を達成した。
ECビジネスの強化も着実に進んでいる。国内のEC売上は102億7,900万円(5.1%増)と堅調に推移。売上比率は30.8%と30%台を維持している。事業セグメント別では、主力の「国内アパレル」が売上高289億2,600万円(19.3%増)と健闘した。「国内ライフスタイル」も売上高88億7,500万円(20.2%増)と好調な推移だった。
TSIホールディングスは売上高342億1,500万円(57.8%増)、営業利益22億7,300万円(前期は64億4,500万円の損失)とV字回復を果たした。3月は好調に推移したが、4月以降は自粛の影響(約30%の店舗が休業)で苦戦した。利益は確保できたが、今後の推移は手堅く見積もっている。
構造改革による組織の効率化、経営コントロールの精度アップにより、第1四半期の利益は過去5年間で最高額を達成した。粗利率の回復、販管費率の低減も貢献した。セグメント別では、ゴルフやアスレジャーなどのスポーツ系、ストリートブランドが収益のけん引役になった。
しまむら、手堅い収益性を発揮
アダストリアは売上高463億8,700万円(39.4%増)、営業利益6億2,400万円(前期は47億5,800万円の損失)と黒字を回復した。在庫のコントロールにより値引き販売を抑制、粗利率が改善した。自社のECビジネスは国内売上高が142億円(5.6%増)と堅調な推移だった。
パルグループホールディングスは売上高312億1,000万円(97.1%増)、営業利益17億9,300万円(前期は30億8,800万円の損失)と黒字転換した。ECの強化や、巣ごもり需要を意識した生活雑貨ブランドの強化が功を奏したようだ。バロックジャパンリミテッドは売上高132億800万円(54.2%増)、営業利益8億200万円(916.4%増)で、増収増益を達成した。中国・米国を中心に、海外ビジネスが好調を維持したこともプラス材料になった。
三陽商会は売上高87億1,000万円(51.4%増)、営業損失5億6,600万円(前期は29億9,600万円の損失)。増収を果たしたが、黒字回復とはならなかったが、損失額は前年同期より縮小している。粗利率は50.1%(6.9ポイント増)と当初予想を上回った。
しまむらの第1四半期は、売上高1,425億3,900万円(33.2%増)、営業利益130億1,900万円(前期は12億8,100万円の損失)。粗利率も回復し、販管費率も低下した。営業利益30億円は、第1四半期では過去最高益。手堅い収益性を発揮した。主力業態の「しまむら」が売上高1,054億8,400万円(34.0%増)と復調したことが大きい。コロナ禍の影響がなかった一昨年(2019年度第1四半期)の実績と比べても、4.1%増と増収を達成した。
その他の主要ブランド──「アベイル」(38.5%増)、「バースデイ」(27.8%増)、「シャンブル」(31.9%増)も好調な推移だった。また「しまむら」同様、3ブランド共に一昨年の数値も上回った。プライベートブランド、サプライヤーとの共同企画商品の強化が売上増に貢献したようだ。
(樋口尚平)
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