ARがファッションの1つの新しいキーワードとなるなか、いよいよ現実味を帯びてきたのがARグラスだ。ARグラスのなかでも、数々の実績を持ち注目を集めてきたのがNrealである。
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5Gの登場により需要と期待が高まるなか、Nrealのデバイスは「軽量」「快適」「スタイリッシュ」をコンセプトに、5G時代のウェアラブルデバイスとして、日本でも各方面から注目されている。
Nrealは今回、独自の認証も受けている携帯可能な高画質大型ビューイングデバイス「Nreal Air」を日本で発売することを発表した。そこで今回は、Nreal 日本・韓国 副社長 Joshua Yeo(ジョシュア・ヨー)さんとNreal 創業者兼CEOの徐驰(チー・シー)さんに、Nreal Airを中心に開発の経緯とお話を伺った。
国際的な認証を獲得した機能性
Nreal Airは、繊細で光沢のあるディスプレイを持っている。Nreal独自の3D操作環境「Nebula」と空間上配置機能により、ユーザーは「MRスペース」内で複数の仮想画面を同時に開き、空間情報に基づいた視聴体験を実現することができる。
これに加えて、サイクリングをしながらARグラスで世界中の自然風景を走り抜けたり、室内でヨガの瞑想ができる「Cycling App」などのARアプリケーションも発表している。
Nreal Airの大きな特徴として、まず携帯性とファッション性がある。デバイスは、最大201インチのIMAX級の巨大スクリーンをポケットサイズで持ち歩けるように、本体が79gという非常に軽量で折り畳める仕様となっている。
そしてARグラスの課題となりがちだったファッション性にも配慮し、人間工学に基づいたスタイリッシュなデザインだ。
今回のNreal Airは国際的な独立第三者検査・認証機関であるテュフラインランド(TÜV Rheinland)からハードウェアレベルの「低ブルーライト・フリッカーフリー」認証を取得している。
この試験・認証は、世界中のディスプレイ業界で広く認知されており、消費者が安全で高品質な製品を選択するためのガイダンスを提供している。つまり、今回の認証は、同社の製品が品質、安全性、視覚健康保護の面で高いレベルに達したことを意味しており、本プロダクトのポイントだろう。
今作のNreal Airは、当社の2つめのプロダクトに当たる。前作のデバイス「Nreal light」は、ARグラスと携帯電話を接続して、プラグアンドプレイでモバイルコンテンツのアップグレードを体験でき、HDモバイルIMAXの大画面でARコンテンツを3Dで体験できるデバイスだった。
サイズ、重量、視野角の点で業界をリードしたNreal lightは、CES 2019でベストスタートアップ賞を受賞し、開催以来中国のスタートアップとして唯一の受賞となった。AWE2020では、Nreal lightがBest Headworn Deviceを受賞している。
2019年にはKDDI株式会社、ソフトバンク株式会社と共同で、ARアプリケーション体験イベントを多数開催し、日本の消費者にリアルに体験できるARグラスの魅力を紹介する活動を開始した。2020年には、KDDI株式会社と連携し、渋谷、札幌、仙台、名古屋、大阪、福岡など、全国のauショップで「Nreal Light」の体験と販売を開始している。
そして2021年に、株式会社NTTdocomoと提携を開始し、2022年、全国約130店舗のショップ(NTTdocomo、KDDI、ヤマダ電機など)とNTTdocomo、KDDIのオンラインショップでNreal Airの販売までに至っている。
創業者の徐さんは、ミネソタ大学で電気・コンピューター工学の博士号を取得後、シリコンバレーでNVIDIAとAR業界のベンチャー企業であるMagic Leapに勤務した。 この間にAR業界への理解が深まると共に、これらの製品を消費者が体験するにはまだ改善の余地が多いと気づき、誰もがどこでも使えるコンシューマー向けARグラスを作りたいと考え始めたのが、最初のきっかけだったと徐さんは語る。
その思いから、2017年に中国に戻り、エンジニア出身の共同創業者とNrealを設立した。 当初は、創業者自らが研究開発チームを率い、ARのハードウェアとソフトウェアのイノベーションについての研究を開始したのだという。
ハード/ソフトの商品開発
Nrealは軽量化を目指し続け、2年間で500gのヘルメット型の試作品から、最終的に現在の79gのアイウェア型へと進化した。
ジョシュアさんによると、製品開発のアプローチは、単にハードウェアやセンサーを積み上げるのではなく、プロセスの美しさを追求し、センサーの数を極力削減し、光学部品を磨き上げ、アルゴリズム開発で体験を担保し、機能とデザインのバランスを取ることを両立しているとのことだ。
Nrealの強みはハードウェアの革新・躍進だけでなく、ソフトウェアやエコアプリケーションサービスにも投資し、消費者に完全でプレミアムなAR/MR体験を目指している点にある。
実際にNrealはARグラス「Nreal Light」と「Nreal Air」を発売しただけでなく、開発者向けにARコンテンツやアプリケーションを開発するための専用開発キットを発売している。
ジョシュアさんによると、 今までにNrealは世界中のあらゆる国から約10,000人の開発者を惹きつけ、ウェブサイトの登録へと誘導し、当社の製品や技術に関するフィードバックを得るための定期的な交流を行っているとのことだ。
また、自社開発の動作環境「Nebula」は、開発者がより簡単にAR/MRコンテンツやアプリケーションを開発できるようサポートするNRSDKとしてリリースされ、コンシューマー向けAR/MRエコシステムで採用されている。
5Gビジネスの加速を背景に
今回Nreal Airの発売は、世界に先駆けて日本が初となったが、その理由について徐さんは、日本のデジタルエンターテインメント産業の基盤と、5Gビジネスの加速が背景にあるのだという。
そのなかで、Nrealは2020年に日本で最初の製品「Nreal Light」を発売するタイミングで、東京にNreal日本法人を開設して以来、日本のオペレーターパートナーから強い支持を受けているようだ。
同時に、日本のAR/MR開発者エコシステム、コンテンツエコシステム、ユーザー意識のすべてが比較的成熟しており、エコロジカルな閉ループを形成しやすく、グローバルなARエコシステム構築という新しい潮流をリードするチャンスでもあることも、今回の日本発売の背景にあると徐さんは述べる。
ARグラスのような新しいデバイスとしては、これからの普及の動向が気になるところだが、最後に今後の展望について徐さんは以下のように語ってくれた。
「ARグラスは携帯電話よりも持ち主により近い距離で身につけるものであり、視覚、聴覚、触覚など、人間の知覚が最も豊かな場所にARメガネを装着することに加え、画面が大きいのでさらに相互作用しやすいという本来の利点があります。 将来的には、さらに多くのセンサーを搭載することで、心拍数や脳波など人間のデータを収集することも可能となります。 このように、ARグラスは携帯電話に代わる新たな中心的デバイスとなり得るのです。クラウドコンピューティング、人工知能などの技術の発展、光学技術とAR技術の成熟により、ARデバイスは消費者と企業に最適な体験とシナリオのアップグレードをもたらし、生活と生産に深い変化をもたらすものとなるでしょう」
今回、Nreal AirはKDDI株式会社と株式会社NTTドコモより発売される。Nrealとしては、今後ともAR技術に関連するハードウェアだけでなくソフトウェアの開発に注力していく予定なのだという。
特に、日本での開発プログラムの刷新と、ARメガネを使った美術展やARスポーツ観戦など、より質の高いARコンテンツやARシナリオの開発を日本の事業者と進めているとのことだ。Nreal Airの日本での普及と活躍に大注目だ。
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