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映画には余白が大事だと思う――映画「PLAN 75」出演、俳優 磯村勇斗にインタビュー

映画には余白が大事だと思う――映画「PLAN 75」出演、俳優 磯村勇斗にインタビュー

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映画『PLAN 75』は問いかける。人が生きるとはどういうことか。

出演俳優の磯村勇斗が、役として生きること、そして自分自身を生きることについて語ってくれた。

映画には余白が大事だと思う

映画『PLAN 75』は、第75回カンヌ国際映画祭の「ある視点」部門での上映が決まりましたね。

すごく嬉しかったです。いずれは自分が携わった作品で海外の映画祭へ行きたいと思っていたので。それが早川千絵監督の『PLAN 75』という作品だったこともとても嬉しく思います。

※当取材後、磯村さんはカンヌ国際映画祭のレッドカーペットや公式上映にも参加。早川監督は新人監督賞にあたるカメラドールの特別表彰を授与。

海外の方にも観ていただける機会になります。

脚本を読んだときや撮影しているときから、海外の人たちに届く作品であることは感じていました。『PLAN 75』を海外の人たちが観た時、どういう反響があるのか気になります。観る人によって感覚や捉え方も変わってくると思うので、いろんな意見を聞いてみたいです。

磯村さん自身は完成した作品を観てどんなことを感じましたか?

倍賞(千恵子)さんの生きる姿に心が苦しくなる瞬間もありましたし、その分生きる強さみたいなものも学べました。僕はすごく好きな世界観です。作品の内容だけでなく、画の色味や画角の使い方など、日本映画ではあまりないような撮り方で、海外の作品を観ているように感じました。

また、『PLAN 75』は後期高齢化の問題だけではなく、外国人労働者の実態など今現在起こっているさまざまな社会問題を取り入れていることを改めて感じました。

『PLAN 75』のように、観た人それぞれに解釈が生まれる作品は、役者として難しさを感じませんか?

映画には余白が大事だと思っているので、すごく有難い機会だと感じました。感情移入したり考えたりする余白があるからこそ、そこから先を自分で想像するようになる。この役はこうなんだとか、このシーンはこうなのかなとか、この作品はここで何を伝えたかったのだろうかとか。その時間がやっぱり楽しいので。

― 作品内の余白は観る側だけでなく、演じる側にも面白さがあるんですね。

最近はそういう部分が削ぎ落されてしまっている作品が多いなと感じています。でも『PLAN 75』は空間や間であったり、お客さんに考える時間を与えているような作り方をしているんです。僕自身がそういう作品が好きだということもあり、すごく良い現場でした。

役者として背負うものも大きかったですか?

俳優として背負うものがあるという意識はありませんでした。ですが参加するからには、作品が持つテーマに責任をもちたいと思い、しっかりと脚本を理解して撮影に挑みました。

本作は75歳以上が自らの生死を選択できる<プラン75>という架空の制度を媒介に、「生きる」というテーマを問いかける作品です。磯村さんは<プラン75>の申請窓口で働く岡部ヒロムを演じられていますが、<プラン75>に対する高齢者の心情は掴めましたか?

ヒロムとしてはその感覚を掴んだらダメだな、そこに付け込んではいけないなという思いがありました。一人の人生を知ってしまうと、<プラン75>を人に勧められなくなってしまうので。

なるほど。早川監督とは現場をご一緒してみていかがでしたか?

早川監督はト書きの描き方がすごく丁寧で、風景や物で人物の気持ちを表現していることが脚本を読んでいる段階から感じられました。例えば「・・・」というシーンに、ト書きで「赤信号で止まっている」と書いてある場合は、今この人物は心が迷っているんだろうなとか。青信号ではなく、わざわざ赤信号にして立ち止まっているということは、きっと何かに対して進めない状況なのではないかなと。

でも実際に現場に立ってみると気持ちが変わることも?

考えてきたことと違う場合もあるので、現場で監督と話しあってお芝居のプランを変えていくこともあります。僕は現場で生まれるものが一番大事だと思っているので、臨機応変に変えていくようにしていますね。早川監督はよくディスカッションをしてくださったので、「今の気持ちはどうか」ということを話し合いながら進めていきました。

口に出すことで希望を手繰り寄せる

役と向き合うときは、何をポイントにしてますか?

基本は脚本が全てだと思うので、そこから自分が役にどう馴染んで、どのように役を捉えていくのか。そしてその役に対して何か技術面で必要なことあれば習得して、クランクインまでに自分の身体に馴染ませていくという感じです。

撮影が終わるまでその役のことをずっと考えているので、恐らくその役として生きているんだと思います。

「役として生きる」というのは、どんな感覚ですか?

「借りる」という感覚ですかね。その期間だけ役柄をお借りするという。役のすべてを自分に溜め込んでいくわけでなく、撮影が終わったら一度クリーンにして、また新しい作品や役と向き合っていく。その繰り返しだと感じています。

どのようにして自分をクリーンに?

物理的にクリーンにするとしたらサウナで、汗とともに流すようにしています。でも結局は意識の問題だと思っているので。クランクアップしたらすぐにすっと抜ける感じはあります。

磯村さんはサウナが好きでサウナに関係するお仕事もされていますが、好きなことを仕事にする、好きな人と仕事をするために心掛けていることがあれば教えてください。

有言実行という言葉があるように、口に出すようにしています。やりたいこととか興味があることを誰かに話すと、その話を聞いた人が繋げてくれたり、紹介してくれたりすることもありますし。あと、言えば言うほど、自分にプレッシャーをかけていることと同じだと思うんですよね。もうやらざるをえない、みたいな。だからより行動していくことに繋がるんだと思います。こうなりたいとか、こういう仕事をしたい、この監督とご一緒したいとか、こういう趣味を作りたいとか言えば言うほど、その要素が寄ってくるんですよね。それを手繰り寄せていくことで、自分の希望に辿り着くという感じがあります。

その考えに至ったのにはきっかけが?

今までそうやって夢が叶ってきたからかもしれないです。俳優をやりたいと周りに言って、今実際に俳優としてお仕事ができていますし。仮面ライダーをやりたいと言ってそのお仕事ができて。朝ドラに出演したいと言っていたら周りの人たちが力を貸してくださって、朝ドラのオーディションに参加できるようになって…。やりたいことが徐々に叶っていったのは、その時の言霊を信じて進んできたからだと思います。

自分が良いと思ったものを選ぶ

磯村さんが好きなファッションのスタイルについてもお聞きしたいです。

僕はいろいろなスタイルの服を着たいタイプですね。以前はモノトーンのモード寄りだったんですけど、最近は私服でも色を使ったコーディネートをしていて。ストリート系にしたり、キレイめカジュアルにしてみたり、いろいろなアイテムを組み合わせています。古着が好きな時期もありましたし。

トレンドはあまり意識しないですか?

そうですね。トレンドにとらわれず、自分が良いと思った服を買うというのが自分のスタイルなので。そうやって買い物をしていくといろいろなタイプの服が揃って、合わせて着てみると「これはなんのスタイルなんだろう?」というときも(笑)。でもそれが意外と自分のなかでハマっていたりするので、そういう形でファッションを楽しんでます。

好きなブランドはあります?

<MIHARA YASUHIRO>が好きで、そこから派生した<MYne>というストリートブランドもよく着ています。あと<TOGA><PRADA><Maison Margiela>も好きですね。

磯村さんは、俳優の泉澤祐希さんとも仲がいいですよね。以前、泉澤さんが手掛けるブランド<iD>についてお話を伺ったんですが、お二人で洋服の話もよくされますか?

服の話もしますね。それこそ祐希からは<iD>のサンプルをもらったり、買ったりもしていますよ。

服をあげたりもらったりすることも多いんですか?

基本はあげることが多いかな。着なくなった服を事務所に持っていって、後輩たちが持って行くみたいなこともあるんです。

また作品のお話に戻りますが、磯村さん自身は75歳になったら<プラン75>で自ら死を選ぶ可能性はありますか?

僕は使わないですね。自分の生きる力を信じたいと思います。

その、今を生きようとするモチベーションはどこから?

まだ見たことがないことが多すぎるので、それを知りたいという欲ですかね。もったいないって思ってしまうんです。こんなにいろいろな人がいて、いろいろな国があるのに、まだ全然世界を周れていないし、出会えていない人たちもたくさんいるので。

好奇心でしょうか。

そうですね。好奇心が生きる力になっているのかもしれません。

では最後に、本作を観る方へメッセージをお願いします。

若い世代の方が<プラン75>という制度をどうとらえるのか、僕自身もすごく気になっています。作品を観た皆さんの意見を聞いてみたいですし、現代社会が抱えているものに少しでも関心を持つきっかけになれば嬉しいです。

Profile _ 磯村勇斗(いそむら・はやと)
1992年生まれ、静岡県出身。2015年、テレビドラマ「仮面ライダーゴースト」(EX)で頭角を現し、連続テレビ小説「ひよっこ」(17/NHK)で脚光を浴びる。その後大河ドラマ「青天を衝け」や「恋する母たち」などに出演。22年、『ヤクザと家族 The Family』(21/藤井道人監督)、『劇場版 きのう何食べた?』(22/中江和仁監督)で、第45回日本アカデミー賞 新人俳優賞を受賞した。近年の映画出演作品は、『東京リベンジャーズ』(21/英勉監督)、『彼女が好きなものは』(21/草野翔吾監督)、『前科者』(22/岸義幸監督)など。公開待機作品に『ビリーバーズ』(22/城定秀夫監督)、『異動辞令は音楽隊!』(22/内田英治監督)、『さかなのこ』(22/沖田修一監督)がある。
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jacket ¥47,850・pants ¥26,400 / wizzard (TEENY RANCH 03-6812-9341)、knit vest ¥22,000 / Myne CODEX (SOSU 070-6660-0692)、necklace ¥29,700・ring ¥23,100 / PLUIE (PLUIE TOKYO 03-6450-5777)、sandal ¥24,200 (ASHIMOTO KOGYO 03-6434-5763)、T-shirt Stylist’s Own.

Information

映画『PLAN 75』

2022年6月17日(金)より、新宿ピカデリーほか全国公開

出演:倍賞千恵子、磯村勇斗、たかお鷹、河合優実、ステファニー・アリアン、大方斐紗子、串田和美
脚本・監督:早川千絵
配給:ハピネットファントム・スタジオ

『PLAN 75』公式サイト

©2022『PLAN 75』製作委員会/Urban Factory/Fusee

Photography : Toshiaki Kitaoka
Styling : Tom Kasai
Hair&Make-up : Tomokatsu Sato
Art Direction : Kazuaki Hayashi(QUI / STUDIO UNI)
Text : Sayaka Yabe
Edit : Yusuke Takayama(QUI / STUDIO UNI)

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