さよならサードプレイス スターバックスは持ち帰りやドライブスルーが売上の7割に?
■世界最大のコーヒーチェーンの「サードプレイス(第三の場所)」はスターバックスのコンセプトを語る上で重要な言葉であり、スターバックスの強さでもある。
■世界最大のコーヒーチェーンの「サードプレイス(第三の場所)」はスターバックスのコンセプトを語る上で重要な言葉であり、スターバックスの強さでもある。
さよならサードプレイス スターバックスは持ち帰りやドライブスルーが売上の7割に?
■世界最大のコーヒーチェーンの「サードプレイス(第三の場所)」はスターバックスのコンセプトを語る上で重要な言葉であり、スターバックスの強さでもある。
サードプレイスとは家庭(ファーストプレイス)や職場(セカンドプレイス)でもなく、気軽に人々と集うことができる場所のことを指す。
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仕事や家庭でもないサードプレイスの非日常的な空間は、一人で過ごすのにも友人とのおしゃべりにもくつろぎや楽しさを与えてくれるのだ。
スターバックスはサードプレイスとしての機能に多くの支持を集めて成長していったと言える。つまりスターバックスはサードプレイスをアイデンティティとしていたのだ。
しかし直近の四半期で、強みでもあったサードプレイスが終了していることが明らかになったのだ。
スターバックスではモバイルオーダーを介した注文が同社としては記録となる47%に達した。
モバイルオーダーとはスマートフォン・アプリから注文を行える事前注文・事前決済のことだ。
モバイル・オーダーはレジ待ち行列を緩和し、注文の聞き取りミスや勘違いによるヒューマンエラーを回避できることでクレームが減り、顧客ロイヤリティが高まる。
スタッフもより調理に集中できることで、店内オペレーションの合理化も図れるメリットがある。
コンタクトフリーとなるモバイルオーダーは、お客とレジ係りの物理的な接点がなくなることで感染リスクも最小化できコロナ禍で特に利用が加速した。
最近ではドライブスルーにもモバイルオーダーが応用されている。
8月2日に発表された第3四半期決算では、スターバックスのモバイルオーダー&ペイを介した注文売上が全体の47%に達した。前年同期から13%も増え、第2四半期となる前期からも4%も増加したのだ。
またモバイルオーダー、ドライブスルー、宅配サービスの売上が全体の72%にも上っていることをスターバックスは明かした。
言い換えればバリスタがレジ対応したお客の売上が全体の28%しかないことになる。
そのうちの一部がスターバックス店内で滞在したことになる。つまりスターバックスをサードプレイスとして使うお客がほんの一部になっているというのだ。
実際、同社が5月に発表したところによるとスターバックスの新店の9割がドライブスルーを持っている店舗となる。
顧客トレンドからスターバックスがサードプレイス・コンセプトから決別しようとしているのだ。
ドライブスルーがない新店でもそれを見ることができる。
スターバックスは先月12日、ニューヨーク・マンハッタンに2店舗目となる「スターバックス・ピックアップ・ウィズ・アマゾン・ゴー(Starbuck Pickup with Amazon Go)」をオープンした。
アマゾンの自動決済システム「ジャスト・ウォークアウト(Just Walk Out)」をもつコンビニ「アマゾンゴー(Amazon Go)」とコラボした新店はミッドタウン・ウエストサイドにある52階建てニューヨーク・タイムズ・ビル (The New York Times Building)の1階部分にある。
2019年9月までディーン&デルーカがあった場所(420 8th Ave New York NY 10018)で、8番街と40丁目のコーナーとなっている。
3,100平方フィート(約87坪)となる店の入り口近くにスターバックス・ピックアップのカウンターがあり、その横にはレジなし決済システムのジャスト・ウォークアウト用ゲートが設置されている。
ジャスト・ウォークアウトのゲートではアマゾン・アプリのインストア・コードからQRコードを表示させスキャンする。
もしくは生体認証の「アマゾン・ワン(Amazon One)」に事前に登録しておけば手のひらをかざすことでゲートが開くのだ。
またゲートでクレジットカードを挿し込むことでもアマゾンにアカウントがなくても入店できるようになっている。
ゲートを通るとサラダやサンドイッチ、スナック類が置かれているアマゾン・ゴーのエリアで、左側はイートインスペースでテーブルや椅子などがある。
つまり飲み物はスターバックスのアプリを介して注文しながら、食べ物はジャスト・ウォークアウトを通ってアマゾン・アプリでお会計とするのだ。
なおスターバックス・ピックアップは主にアプリでの注文を推奨しているが、その場でもレジ会計が可能。
スターバックスと提携した店舗ではゲート内にカフェテリアがあることで、注文や決済せずに陳列されていある食品をそのまま食べれるということになる。
カフェテリア内でコーヒーを飲んでいる途中、お腹が空いてきたら焼きたてのパンなどをそのまま手にとって会計なしに即座にありつけるのだ。
アマゾンは昨年11月、ミッドタウンの59丁目沿いでパーク・アベニューとレキシントン・アベニューの間に1号店をオープンした。
サードプレイス・コンセプトはコア客から利用されなくなっているため、アマゾンゴーと提携してイートインスペースを設けていると言える。
くつろぎ空間が少なくなるのは寂しい気もするが、今のお客が求めていることでもあるのだ。
⇒こんにちは!アメリカン流通コンサルタントの後藤文俊です。「最も強い者が生き残るのではなく、最も賢い者が生き延びるのでもない。唯一、生き残るのは変化できる者である」というのは、チャールズ・ダーウィンが1859年に発表した「種の起源」にある進化論です。で「変化を例えれば、阪神ファンが巨人ファンになること(もしくはその逆)である」というのは後藤の言葉。変化の重要さは誰でもわかっています。しかし、それは簡単にできることではないということです。物理的というより感情的な側面で、人は変化できないのです。特に成功体験があれば自分のやり方を否定することなどは絶対にできません。環境変化によって変化を受け入れざる得ない時になくなく変化するだけです。生粋の阪神ファンでも攻めてきたロシア軍が家族に銃を向けながら「今から巨人ファンになれ」と言われれば(笑)、拒むことなどできません。未曾有のコロナ禍では多くの人のライフスタイルが変化しました。多くの飲食チェーンではコロナ禍、モバイルオーダーやドライブスルー、宅配の売上が急加速しました。
「生きた化石」シーラカンスが生き残ったように恐竜と同様、サードプレイスも絶滅もしくは個体数を減らしながら深海やガラパゴスなど一部の環境では生き延びるのでしょう。もしくはアマゾンゴーとのコラボ店のように、強い遺伝子をもつ他の種と交わりながら生き残っていくのです。
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