画像や音楽などの素材販売サイトの事業を展開している「PIXTA」。2022年10月、3DCGで作られたモデル素材を販売する「フォトリアル・バーチャルヒューマン」の提供を開始した。
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そこで今回、架空の人物が既存のモデルやコミュニケーションを代替する存在となる可能性や、PIXTA内外にバーチャルヒューマンコンテンツが広がっていく未来について、ピクスタ株式会社取締役 PIXTA事業本部 コンテンツ部部長 内田浩太郎氏に話を聞いた。
PIXTAが3DCG分野に進出した理由
PIXTAといえば写真やイラスト、動画、音楽などのデジタル素材販売サービスとして高い認知度を誇っている。実際のモデルも登用し、人物写真を筆頭にさまざまなシチュエーションに適した素材を提供していて、使い勝手の良さが人気だ。
そんな同社は、「フォトリアル・バーチャルヒューマン」に先駆けて、2022年5月末より3DCG・アバターを制作する新サービス「3DCGオンデマンド」をスタートし、3DCG分野への進出を開始した。この分野にPIXTAが進出した背景には、3DCGコンテンツの市場が急速に拡大する一方で、「3DCGデザイナー等の人材獲得競争が激化し、メタバース市場への参入はもちろん、3DCGを活用したコンテンツを必要とする人や企業が、気軽に参入・入手することが難しい」という現状を踏まえ、メタバースをはじめとする「さまざまな仮想空間でアバターを簡単に制作できるようにしたい」という同社の思いがあった。
「『3DCGオンデマンド』は、人体3Dアバター自動生成の研究開発を行うPocketRD社と連携して、個人、法人問わずオリジナルの3DCG素材を作製・提供するサービスです。
VTuber、VR、AR、メタバースといったさまざまな仮想空間で必要なアバターの制作を気軽に発注する先としてPIXTAがその場を担えればと考え、提供を開始しました。
私たちの本業である素材サービスの一分野ですが、『フォトリアル・バーチャルヒューマン』との親和性も高く、互いの相乗効果にも期待しています」
「フォトリアル・バーチャルヒューマン」とは
そんなPIXTAが人物素材にCGを使用する「フォトリアル・バーチャルヒューマン」とは、どのようなサービスなのか。
「『フォトリアル・バーチャルヒューマン』は、画像素材中の人物の“顔部分のみ”を3DCGにて作製したコンテンツです。
これまでは高品質な画像素材(人物・イラスト)を販売してきましたが、肖像権の問題で使用範囲が制限されるケースもありました。それがバーチャル素材であれば用途も広がると考えたのです。数点ですが販売もスタートしており、反響についてはこれから収集していくところです」
同社は、「フォトリアル・バーチャルヒューマン」をストックイメージ(=素材)における、トライアルとして位置付けている。
「『既存の人物写真をバーチャルヒューマンの顔に加工する』という新しいクリエイティブ手法が現在のビジュアル市場(広告・宣伝・マーケティングなどの用途で使用されるビジュアルイメージ)に受け入れられれば、『既存の人物写真素材の顔を架空の人物(フォトリアル・バーチャルヒューマン)に加工して提供するサービス』へと展開できる可能性もあると考え、その可能性を探るためにも、今回の制作を決めました」
今回の3DCGを制作する上では、「バーチャルヒューマンというコンセプトにいかに馴染ませるか、という点に重きを置いたリアルの撮影」を心がけたという。
「撮影時に配慮したのは光の傾向です。特に人物の顔周辺の情報をいかに多く残す光の使い方をするか、という点には細心の注意を払いました」
バーチャルヒューマンのコンテンツエージェントとして新しいポジションを築く
「フォトリアル・バーチャルヒューマン」の販売を開始したが、肖像権問題をクリアできるサービスとして、どのような需要を見込んでいるのだろうか。
「需要について、日本ではまだ顕在化していませんが、海外ではこうしたサービスが既に始まっており、この先日本でもニーズは高まっていくと思います。PIXTAでは先行して市場に提案していく姿勢で今後の需要喚起に努めていきます」海外の動向を踏まえて、今後PIXTAはどのようなポジションを狙っていくのか。
「顔部分が3DCG、身体部分についてはリアルな人物を用いた撮影の組み合わせですので、まずは、そこが求められる市場でのリーディングプレイヤーを目指します。また提携先の企業を開拓し、『バーチャルヒューマンのコンテンツエージェント』というポジションも確立したいですね」
バーチャルヒューマンをコンテンツ化することで、ビジュアル市場に新たな動きが生まれるかもしれない。PIXTAのさらなる挑戦に注目したい。
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