テレビ、インターネットなどを主体としたマルチプラットフォーム通信販売業を手掛ける株式会社QVC ジャパンは、2022年12月16日(金)から12月22日(木)の期間限定でメタバース空間「未来空間 QVCプラネット」を公開した。
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スマートフォンやパソコンから参加でき、アバターを使って商品を試着できるとともに、アバター同士で自由にコミュニケーションも行えるメタバース空間となった。
そこで今回、同社で広報を担当している齋藤尚美さんに、未来空間 QVCプラネットの全貌やメタバースの特徴、今後の取り組みについて聞いた。
アバターとシミュレーション空間の双方を楽しめる環境を構築
同社がメタバースプロジェクトをスタートした経緯は「顧客との新しいタッチポイント」をつくることにあった。齋藤さんによると「メタバースの技術を使って、今までにない新しい顧客体験をどのように提供できるか、可能性を模索している最中」であるという。
当媒体が過去に取材したように、3DCGなどを駆使した新たなショッピングの可能性を模索してきた同社。これまでの成果なども踏まえ、シミュレーション空間が設計された。
「仮想空間でのお客さま=アバターが、衣服のサイズ感やシルエット感をわかりやすく確認できる360°ビューアや、バーチャル試着ができる3DCGに遷移できるようにすることで、アバターの将来性を感じられる設計にしています。
メタバース上のアバターは現状の描画技術では限界があります。そこで、お客さまに必要なフィッティング機能はWebページで案内する形としました。高精細な3DCGでシミュレーションできるので、アバターとシミュレーション空間の双方を楽しめるような環境を構築・検証できたと考えています」
「未来空間 QVCプラネット」は商品を試着できるメタバース空間
未来空間 QVCプラネットでは、生放送でのテレビショッピングが主な販売チャネルになっている同社の利点を活用し、空間内で生放送を見ながらアバター同士がコミュニケーションをとれるようにした。「ブランドブース」も設けられ、実際の商品をメタバース空間内で試着できる環境も提供した。
このような空間を実現するために、開発ではどのような点に苦労したのだろうか。
「販売するファッションアイテムやアバターの顔を制作するのに試行錯誤しました。各ブランドイメージもあるため、どのように個性を出すかを工夫しています。
また、操作方法をどのように伝えるかも苦労しました。今回の施策は『まずはメタバース空間に入ってみよう』という目的でもあるので、弊社のメインの顧客層である50~60代の女性に、3Dのオンライン環境に親しみを感じていただけるだろうかという懸念もありました。特集ページで操作方法をビジュアルで説明したり、入場してすぐ目のつくところに看板を設置したりするなど配慮しました」
また、未来空間QVCプラネットでは、全てがCGではなく、写真が多用された。それは技術的な理由だけでなく、メタバース空間特有の課題を解決しようとする試みでもあった。
「オブジェクト(3D空間内の物体)を多用するとサーバーに負荷がかかります。また、商品がどのように見えるかはお客さまが気になるところだと思うので、写真も多く使っています。全てをCGにすると無機質な空間にもなってしまう可能性もあり、商品写真を交えての設計にすることでバランスをとっています」
ブランドブースに関しては、各ブランドが年末商戦に向けて販売するラインアップをもとに構築したため、「新しいプラットフォームで新商品の紹介もできるなら是非とも」と各ブランドの協力があった。商品開発の関係者からは「素敵なアバターが完成しましたね」といった言葉もかけられたという。
参加者からはアバターやコミュニケーションについて反響があった。アンケートでは、「将来は360°ビューアを使ったフィッティングや試着ができたら良い」などの意見も寄せられ、技術に対する期待が伺えた。
3DCGやメタバースを使って実現したい新しいショッピング体験
今回の未来空間 QVCプラネットでは、アバターに変身し、ライブビューイングが実現できたことで、ブランドや参加者から好感触を得ることができた。それでは次回以降、どんな施策に挑戦していくのだろうか。最後に、今後の取り組みについて聞いた。
「今回、お客さまがアバターを着せ替えてくれて、そのブランドに合わせてライブスクリーンの前に立って見てくださったときは感動しました。
今後は、もっとお客さまの滞在時間が長くできるように、コンテンツをより豊富にしていきたいと思います。空間内を楽しみながら、かつお買い物ができるような設計にしたいですね。
また、そもそもメタバース空間に参加する目的をどうつくるかが課題だと思いますので、限定イベントなどにも取り組んでいきます。
メタバースは描画やリアリティに課題はあるものの、あらゆることができることに可能性があります。今回のお客さまの意見を踏まえ、さまざまなことにチャレンジしていきたいと思います」
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