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アパレルOEM事業が儲かりにくくなった理由【続】

アパレルOEM事業が儲かりにくくなった理由【続】

繊維業界記者・ライター兼広報アドバイザー
南 充浩

先日のOEM屋が儲かりにくくなったというブログに恐らくはOEM関係者ではないかと思われる匿名の方からリアルなコメントをいただいたので改めて、儲かりにくくなった理由を考えてみたい。

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改めて断っておくが、当方の思いつく理由を述べているがそれが全てではなく、当方の知らない理由や当方の目にはそれほど重要とは映らない理由も複雑に絡み合っている。

また、あらゆることを余さず書こうとすると恐ろしい長文になるため、ある程度は間引いた形でまとめることになる。これは今回に限らず、すべての記事においてそうである。

まず、OEM屋(実質はデザイン作りから請け負うODM屋)は国内アパレル業界にとっては最早必要不可欠な存在となっている。否定したい方もおられるだろうが、商社のOEM部門も含めてすべてのOEM屋を排除するとたちどころに服を作れなくなるブランドが数多くある。インフルエンサーブランドなんて100%死滅する(あえて断言する)。あと、世間的に名の通った大手ブランドや有名ブランドなんかは半数以上が死滅するのではないかと推測される。さらにセレクトショップのオリジナル品は全滅するだろう。

それにもかかわらず、OEM屋が儲かりにくくなった理由をいくつか考えてみる。

1、OEM屋が増えすぎた

2、アパレル各社が製造原価を極力抑える風潮が強まった

3、一部の大手を除いて各ブランドの生産ロットが年々縮小している

他にもさまざまな理由はあろうが、大きくはこの3つではないかと考えられる。

1は言わずもがなだろう。90年代後半以降、続々とOEM屋の新規参入があった。またこれまでOEMを手掛けていなかった大手生地問屋各社までもが「生地だけじゃ売れないので生地を売るために」OEM生産を手掛けるようになった。「当社の生地を買ってくれたら製品にしてお渡ししますよ(御社の若い企画担当者では生地だけ買っても製品に企画立案できないでしょ)」というセット販売である。

次に2である。

もともと、アパレル各社は製造原価、仕入れ原価を低く抑えようとはしていた。これはアパレルに限らず全ての分野で共通することだが「商売とはできるだけ安く買って(作って)、できるだけ高く売る」という姿勢が正解である。

しかし、2000年以降の低価格ブランドブーム、アパレル販売不況、などの進行によってこれまでの時代よりも売れ残り品が増えた。売れ残り品が増えるとバーゲンで値引き販売しなくてはならなくなるので、値引きの総額も増えることとなる。その結果、増えた値引き総額でも粗利益を残すためには仕入れ原価・製造原価をこれまで以上に安く抑える必要がある。OEM屋への発注金額がより安く抑えられることは当たり前の結果といえる。

そして3である。

近年はエシカルガー(笑)とかで、オーダー販売すればアパレルの在庫問題は解決するという論調がイシキタカイ系メディアから発信されているが、3カ月とか半年先の納期ならいざしらず、巷で流行っているオーダーなのに即納期をやろうとすると、生地・副資材(ボタン・ファスナー・芯地・織りネームなど)をどこかの問屋か何かが大量に備蓄しておく必要があり、ひいては生地を作るための糸も大量生産して備蓄されておく必要がある。即納期オーダー生産を持て囃せば囃すほど大量生産の呪縛からは逃れられなくなるというのが実状である。

それはさておき。

アパレル不況によって各ブランドの消化枚数が減少し続けた結果、ブランドの生産数量はそれに合わせて減少し続けている。たしかに「不良在庫を減らそう」という観点と「粗利益をできるだけ確保しよう」という観点からこの行動は正しい。

だが、一方で、生産数量が減少するとOEM屋が使っている縫製工場の生産ロットに合わなくなる。ひいては購入する生地ロットにも合わない。

例えば、13年前までは国内生産だとアイテムによって差異はあるが、だいたい1型100枚くらいが縫製工場の生産ミニマムロットだった。これを下回ると時間的にも作業的にもロスになるので、縫製工場は工賃を値上げして対応していた。その一方で、大手プチプラブランド以外は年々販売数量が減っている傾向が強いので、生産請負数量も減る。そうすると工賃は上がるわけだが、アパレルブランド側はOEM料金を上げてくれない。上げてくれないどころか引き下げることの方が多い。

そうなると、OEM屋の利益は削られてしまうので、儲からなくなる。

以下にいただいたコメントをそのまま転載する。

「OEM屋の利益が薄いのは、ロスが大量に発生する点がある。
チャーハンを1杯作るのに、米30kg・塩5kg・タマネギ50個とか、必要な全ての材料を業販単位で買うわけです。
表地の反単位で受注をもらったとしても、スレキや接着芯が20m残るとか、1000個単位で仕入れたボタンが400個残るとか、目に見えないロスが薄利をさらに圧迫する。
アウトドアのような、配色や資材が多い商品はロスはさらに倍々で増加する。A品しか引き取ってもらえないので、洗い加工のあるものはB品のリスクも少なくない。
営業担当者はロス率数%を機械的に入れただけの見積りを作って、ちゃんと利益出してまっせと胸を張るも、最終的に利益がどれだけ残ったかは誰も知る由もない。そうして、注文が多いOEM屋ほど、小ロットを引き受けるほど、気付かぬうちに資金が枯れ、倒産する」

とある。要するに糸の生産ロット、生地の生産ロット、染色加工の生産ロット、縫製の生産ロットはそれぞれ元来噛み合わない。どこかの工程でいくらかロスが出ていた。そのロスを売れそうな時が来るまで備蓄したり、安売り業者に投げ売りしたりしていた。特に糸・生地の場合は。この手の生地が西日暮里や船場センタービルで安値で投げ売られている。

また細かい要因かもしれないが、いただいたコメントの後半部分もボディーブローのようにジワジワとOEM屋の利益を削ってくる。

例えば、本生産に入る前にかならずサンプル品が生産される。絵や画像だけでは実物になったときに不具合が生じやすい。そのため、サンプルを作って修正する。例えば、首回りがきついから少し大きくしよう、とかそういう修正である。

当たり前の話だが、元来サンプル製作にも料金は発生する。だが、最近はサンプル品に製作費が発生するということを知らない有名ブランドが多々ある。もしくは知っているが踏み倒す有名ブランドも多々ある。そうなると、サンプル製作費はOEM屋のもち出しになってしまうから利益どころか損失になる。そして出来上がったサンプルは引き取られないから、OEM屋が抱えることとなる。商店街の在庫処分屋に有名ブランドの商品が売られているのは、引き取られなかったサンプル品である場合もある。当方の知っているOEM屋はときどき事務所で未引き取りで溜まったサンプル品を1枚1000円くらいで近所の住人や会社に販売して家賃の支払いに充てていた。

コメント後半にあるように、OEM屋は本来は注文が多ければそれなりに儲かるはずだが、現在のミニマムロットを下回るような小ロット生産の注文は増えれば増えるほどOEM屋は利益が削られる。そしてサンプル料金を踏み倒されればされるほどOEM屋は赤字を計上することになる。

必要不可欠な存在となってしまったOEM屋だが、今後は残存者メリット獲得を目指して、さらに激しいサバイバルレースが繰り広げられることになる。

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